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第六十一話 エツでの出来事

サーシャが薬を売り歩くのを後ろから付いていって分かった。

「サーシャちゃん、久しぶりだね。」「これ食べてきな。」

「相変わらず変な喋り方だな。」「おい、サーシャ。頭痛薬くれんか?」


人気はあるみたいだが、やっぱりあの喋り方は舐められてるみたいだ。

「この街の人が優しくて良かったです。」

「何の話だ?」

「人と獣人のハーフは迫害される事もありますから……」


それは初めて聞く。

「何故だ?」

「えっと……その、何と言うか……」

脳筋が口ごもる。


「どうしたんだ?」

「あの、ですね……せ、生殖行動がですね……アレでして、望まれなかったりも

する場合があるので……」

なんとなく言いたい事は分かった。


獣人は見た目が完全に獣だ。

つまり、それと子供を作るっていうとよっぽど特殊な趣味を持ってるか、

好きでもないヤツの子を産むハメになったっていう目で見られるってところか。


「ゴホン!……まぁその周りの目があるんですけど、サーシャちゃんは

おじいちゃんといい、この街の人といい、周りの方に大切にされて

きたんだなって感じてます。」

そうだな。

少なくとも悪意ある対応をしてくるヤツらはいないみたいだ。


「あの子も変わってるけど悪い子じゃないみたいだしね。」

そうやって見てると、サーシャの荷物が結構な勢いで減っていく。

三倍程度あった荷物が、今では二倍くらいに減っている。

「今回は売り上げがいつもより多いである。」

そう言いながら、サーシャが歩いてきた。


「売り終わったのか?」

「まだ少し残ってるであるが、これを欲しがってる人は夕方にならないと

帰ってこないのである。」

「そうか、それならどこかで時間を潰すか。」

「ご飯にしましょ。」

「それがいいです。」

そうして俺達は食べ歩きを始めた。


「この街では、芋と香草を焼いて食べるリットや、ハチミツ漬けにした果物を

パイに乗せたベーヌっていうデザートが人気である。」

「じゃあ、そのお勧めを食べてみましょうか。」

「賛成です!」

俺もいろんな街を訪れる度に名産品を食べるのが趣味になってるな。


「ん~!ただの芋なのにちょっとスパイシーになってて美味しい!」

「これはクセになりますね!」

リットという食べ物は焼いただけのはずだが、じゃがいもの甘辛煮のように

なっていて美味かった。

芋自体から汁が染み出てるのだろうか?


「あま~い。やっぱデザートは甘ったるいくらいがちょうどいいのよ。」

「でも、少し甘過ぎませんかね?」

「そう?もっと甘くてもいいかなって思ったけど。」

「食べ過ぎたら太るであるけど。」

二人が固まった。

確かに味は美味いが、甘ったる過ぎて一口で十分だ。


「ふ~食べた~。」

「量はあんまり食べてないはずなんですけどね、お腹がいっぱいで。」

「芋を食べたから胃の中で膨れているのである。」

お勧めの食い物を食べ終わり、ゆったりしていたが、


「キャアァァァァ!」「うわぁぁ!来るなぁ!」

なんだ?

「サ、サハギンが攻めてきたぞ!」


空気が一変した。

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