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第四話 謁見

「ほう、君が例の?」

俺の目の前に王様がいる。

「お父様、こんな野蛮な男が予言された方とは思えません!

今すぐ追い出しましょう!」

ついでにお姫様も。


さて、どうしようか。



ここはヴァファール王国というところらしい。

何でも王国一番の占い師が予言をしたそうだ。

「この国から東へ行った洞窟に黒目・黒髪の若者が現れます。その若者が

勇者となり、魔王を必ずや打ち滅ぼすでしょう。」


ドラゴンの次は魔王ときた。

もうお腹一杯だ。


昨日、洞窟の中で見られてしまい姫に恥をかかせたとして殺されるところ

だったが、仮にも予言と同じ黒目・黒髪である俺を即処刑という訳にもいかず、

体裁もあるため連れ帰られた次第だ。

そして本物か確かめるために占い師とやらを待っている最中だがお姫様が

やかましいのなんの。

ここが物語の中ならお姫様もお淑やかじゃなきゃいけないはずでは?


「もう1分1秒も待てませんわ!今すぐ「恥をかかせたって言うが、

恥をかいたのは俺の方だ。それに処刑だなんだと

雑魚にできるわけないだろ?」」


空気が凍りついた。

話してる最中に割り込まれたお姫様は顔が真っ赤だし、雑魚と言われた

周りの兵士は凄い目でこっちを睨んできている。

その時、ドアが開いて占い師が入ってきた。


「遅くなってしまい大変申し訳ありません…何かありましたか?」

「いや、何でもないぞ?では早速始めてくれ。」


占い師と王様が軽く言葉を交わして俺を見てくる。

一体どのくらい年取ってるのかと思いきや想像と違い若い女性の占い師だった。

そして俺に水晶玉をかざして、なにやらブツブツと呪文のようなものを

唱えたと思ったら水晶玉が光りだした。


「ウルム王。」

「お、どうだ分かったか?」

「それが、まったく分かりません。」


さっきまで凍っていた空気が緩んだというか、何ソレ?みたいな感じになった。


「どういうことだ?」

「はぁ……確かに黒目・黒髪で勇者になる素質もありそうなのですが、

聖なる気があまり感じ取れないんです。」

「その聖なる気というのはどういうものか説明してもらえるか?」

「つまり人間の活力というか凄く噛み砕いて言えば前向きな気持ちですね。

それが満ち溢れていると魔物に対抗する力になるのですが、この方にはそれが

感じ取りにくいと。」


不愉快なことを言われている気がする。


「結論から言いますとこの方は性格が悪いのか暗いのか分かりませんが、

実力があっても闇への耐性が低いので、あんまり勇者に向いてないですね。」


周りがザワつき始める。

「え?つまり根暗すぎて勇者になれない?」

「性格悪いって、いやさっきの台詞で大体分かったけど。」

ザワつきが大きくなりどこからか笑い声が少しずつ広がっていった。


アッハッハッハッハッハッハ!

マジかよ!

腹痛ぇ!


周りから笑われると昔を思い出して嫌な気分になる…


「ぷっ!あははは!あなた、か…可哀想に!

そんなことで勇者失格とか初みアハハハハ」


「うるせぇよ」

こう言っただけで謁見の間にプレッシャーが広がる。

誰も口を開けなくなった。と思ったが、


「いやはや凄いな!仮にも王宮を守る騎士たちを一声で黙らせてしまうなんて。

やはり素晴らしい素質の持ち主なのだな!うむ見事!」


その後はウルム王の高笑いのみが響いていた

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