第四十一話 夜襲
「そうだ!私達でこの子を逃がしちゃいましょう!」
「ちょっと待って、奴隷なら所有権があるわよ。」
「所有権?」
「だって基本的には召使いとして雇うんだもん」
そりゃそうだ。
「でも、無理やり結婚させられようとしてるんですよ!?」
「それでも急にいなくなったら下手すりゃ私達が誘拐犯よ。」
脳筋がむくれる。
「じゃあ、どうしろっていうんですか!」
「怒鳴るな、村長が雇い主なら会って貰い受ければいいだけだろ。」
「なるほど。じゃあ早速、行きましょう!目指すはミルズ村です!」
脳筋は何も考えずにミルズ村に向かおうとする。
「今は夜だし、今から行っても今日は着かないだろ。落ち着け。」
「むぅ……しょうがないですね。」
普通に話し合ったところで、息子の結婚相手にと金を払って
買い受けた奴隷を簡単に手放すとは思えんが……
「ゲェズってどんなヤツなの?」
「……あまりその、格好良くはないというか、同じコボルトと思えないというか……」
ゲェズ、可哀想に。
「でも戦闘に向いてないコボルトの中でも非常に強く、
多種族とも1人で戦えるとの事です。」
「へぇ~、コボルトは後方支援ってイメージだけどね。」
まぁデカい犬だしな。
普通の犬の身体能力があれば強いんだろうが、見てる限り人間に近い動き方だ。
「そういえばミルズ村の結婚式って、この子とゲェズってヤツのよね?」
「あ……」
脳筋のテンションが下がった。
「う~……結婚式見たかったのに~……」
「あの、申し訳ありません。」
「へ?あぁ別にあなたのせいじゃないし、むしろ被害者だし。
あ、あなたのお名前を聞いてなかったですね。」
「エーレと申します。」
深々とお辞儀をするエーレ。
その時、暗闇から矢が飛んできた。
自分はともかく、他の連中に当たりそうだった矢を弾く。
【弓の心得】をラーニングしました。
「敵襲!?」
「何よ、今の!?」
周りに敵は9人、囲まれているか。
「さっさと出てこい。」
反応がない。
「来ないなら、こっち「その娘を渡せ。そしたら見逃してやる。」」
どうやらエーレを連れ戻しに来たようだ。
茂みが動き、3人ほど出てきた。
「その娘は逃亡奴隷だ。匿っても罪に問われるだけだぞ?」
犬が2本足で立って喋ってる。
緊迫した場面なんだろうが、和むなコレ。
「事情は伺いました!奴隷だからといって、したくもない相手と
結婚させられる身にもなってください!」
「我々は依頼を受けただけでな。その娘がどうなろうと知らんよ。」
「嫌だと言ったら?」
「邪魔者がいる場合、殺していいとも言われている。……殺れ!」
短気なヤツだ
リーダーが命じると2人が動き出した。
1人は剣、1人は魔法で攻撃してくる。
「脳筋、詐欺師、相手できるか?」
「任せてください!」
「チョロいもんね!」
俺は森から飛んでくる攻撃に気をつけつつ、石を投げて攻撃する。
「ギャ!」「グッ!」
悲鳴が聞こえるから当たっているらしい。
脳筋と剣を使ったコボルトが当たるが、
「甘い!」
ギィン!! ガッ!!!
「ガァ!」
腕力だけで相手の剣を弾き飛ばし、その隙にぶん殴って気絶させた。
さすが、脳筋!
「我、尊き神に願い奉る。水を生みて我を守りたまえ!」
詐欺師が水の壁を作り相手の火魔法を消す。
「我、尊き神に願い奉る。目の前にいる者の動きを封じたまえ!」
相手の足元から土が張り付いていき、体と口をうめつくす。
呪文はもう使えないだろう。
俺が戦ってラーニングしたくもあったが、まぁいい。
「中々やるもんだな。」
「これでも騎士ですから!」
「攻撃魔法は苦手でも、このくらいならね~♪」
残りは一人か。
さて、どうするか?




