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第三十九話 アリアの夢

さっきの場所近くまで走って戻ると、二人が間抜けヅラしていた。

「どうした?」

「どうした?じゃありませんよ。何ですか、あの速さ。」

「アンタ本当に人間なの?」


確かに普通なら馬車に追いつかんな。


「偶然、速く走れただけだ。気にするな。」

「嘘つきなさい!いくらごまかすのが面倒でも少しは捻りなさいよ!」

「まぁまぁ、リュリュさん。落ち着いて、勇者殿は変わってるんですから。」



「ほほほひふはほひへ、ふはふひゃへへひゃへん……」

「何言ってるかわからん。」

自業自得だがな。

「うわ~……ほっぺたって、あんな伸びるもんなんだ。」


「ひょれにひへほ、ひゃんへ「何言ってるか分かんないよ。」」

詐欺師が呪文を唱えた。

「我、尊き神に願い奉る。目の前にいる者の傷を癒したまえ。」

「……あ、治った。すみません、こんな事に魔法を使わせてしまって。」

俺を見るな、自業自得だ。


「で、さっき何て言おうとしてたの?」

「あぁ、あそこまで慌てて追いかけなくても良かったんじゃないかと思って。

次の町で仕入れやらするのでは?」

「仕入れしなかった場合はどうなる。それに結婚式用の装飾品だったからな、

あまり無くしたくはないだろ。」


脳筋が目を輝かせている。

「結婚式をやるんですか!?」

「あぁ次の村でと言ってたからミルズ村の事だろう。」

「いいですね、見に行きましょうよ!」


脳筋のテンションがやたらと高い。

「別に知り合いが結婚する訳でもあるまいし。」

「いいんです!ああいうのは見てるだけで心が華やかになるんです。

ねぇリュリュさん?」


「え、あぁそうね。」

詐欺師のテンションがやたらとひくい。

なんなんだお前ら。


「だが、式をいつやるか聞いてなかったから下手すると間に合わんぞ?」

「う~ん……じゃあちょっと早歩きで!」


先頭に立って歩いていく脳筋。


「何でそんなに張り切ってるんだ?」

「昔の夢でしたし。」

「夢?何が?」

「騎士になる前の夢はお嫁さんだったんです。」

「「お嫁さん?」」


俺と詐欺師が声を合わせる。

「そうです、お嫁さんです。」

「そうか……」

「子供の頃の夢だしね……」

その相づちに不満そうな脳筋。


「何ですか、二人して!いいじゃないですか!」

「悪いとは言わんが…そんな夢があったくせに、騎士を目指したのは何故だ?」

「凱旋パレードがあったんです。勇者殿も4年前の戦争はもう知りましたよね。」

「あぁ。」

「最後は同盟を結びましたけど、それまで国境付近で戦い続けた騎士達の栄誉を

称えるって事で開かれたんです。」


そんな事があったのか。


「首都クックルの移設記念も含まれてたんで、盛大なお祝いだったんですけど、

その時に見た騎士の姿が格好良くて!私も絶対に騎士になるって決めたんです!」


「でも、その前までお嫁さんが夢だったんでしょ?むしろ結婚しても

いい歳だったんじゃない?」

「12歳じゃまださすがに若すぎますよ。」


……?計算が合わない。


「4年前って言ったか?」

「えぇそうです。」

「え?じゃあ今って……」

「16ですけど。」


マジか!?俺の一つ下だと!?

「20歳くらいじゃないの!?」

「違いますけど、何でですか?」

「何でってそりゃあねぇ……」


身体が成長した分、頭に栄養が回りにくかったんだろうか?

「?」

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