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第三十一話 リュリュの呼び名

どうしよう、どうしよう!

二人で考える。

「さすがに私でも素手で熊と戦える程は強くないです!」

「私も攻撃魔法はあまり得意じゃないのよ!」


熊が水の中だという事を感じさせないスピードで迫ってくる!

もうだめだ!そう思った瞬間!


ゴキッ!!

「グルァオ!!!」

変な音が鳴ったと思ったら熊が吹っ飛んでいた。そして、

バシャァァァン!

水の中に勇者殿が落ちた。


「勇者殿!」

「ちょっと大丈夫!?」

どうやら熊を蹴り飛ばしたらしい。

確かオークもそうやったと言っていたし、本当に非常識な。

そう思って助け起こそうとしたが、

「……!」


こちらを一瞬見た勇者殿が慌てて後ろを振り向く。

なんかあったのだろうか?こちらも慌てて近付く。

「勇者殿!どうされましたか!」

「来るな!」

怒鳴られた。

「……服を着ろ。」


「「……キ、キャアアアァァァァァァ!!!!」」


本日2度目の絶叫が響き渡った。



「も、申し訳ありません。」

「まったくだ。」

「何よ!せっかく見た事を許してあげようってのにその態度は!」

「……俺のせいじゃない。」


勇者殿の耳が赤いのが見える。もしかして照れてる?

「勇者殿、恥ずかしかった……とか?」

「馬鹿を言うな、俺は先に戻るぞ。」

ずぶ濡れのまま戻ろうとしている勇者殿の前に回って顔を覗こうとすると、

真っ赤になってる驚いたような顔が見えた。

「じゃ、じゃあな。」

そう言うと、さっさと戻ってしまった。


「可愛いとこあるじゃない。」

「あんなに赤面してる勇者殿は初めてです。きっと悲鳴を聞いてすぐに

駆けつけてくれたんですよ。ね?根は優しいでしょう?」

「そうね。」


そう言って戻る準備を始めた。



……剣を持って行くべきだった。

飯食うときに外したっきりだったのを忘れていた。

「何か……精神的な疲れが……」

どこかでゆっくりできないだろうか?


元の場所に戻ると少し眠気がした。

天気もいいししょうがないよな。

荷物やらを近くに置き、木に背を預けて寝ていた。


しばらくすると、

「お待たせしました。」

「いいのよ、男は待つのが甲斐性ってもんよ。」

ウザイこと言いながら戻ってきた。


「先ほどは助かりました、ありがとうございます。」

「いや、別に……」

「あ~照~れ~て~る~!ねぇコイツ照れてる!」

道具袋とは別に持っていた紐付きの小袋に入れ、手首のスナップを利かせて

回転させる。

「……!……!」

ノイズが聞こえる。



「あ~……う゛ぁ~……ぎぼぢわ゛る゛い゛~……」

「もう、からかうからですよ。」

そういや脳筋ってアダ名は称号見て決めたんだったな。

コイツの称号はなんだ?


【見た目詐欺】☆

攻撃時、状態異常を付与する事があります。


……この世界の称号名はどうやって決められてるんだ?


「なにしてくれんのよ~…」

「なんだ見た目詐欺?」

「誰が見た目詐欺よ!」

さすがに通じるか。


「見た目と中身が違い過ぎるしそれでいいだろ?」

「いい訳ないでしょ!リュリュと見た目詐欺ってそっちのが長いじゃない!」

「じゃあ詐欺師。」

「嫌よ!人聞き悪い!」

言い合ってると、


「あの~……」

脳筋が手を上げていた。

「そういえば、私も名前で呼ばれた事がないような…」

「脳筋で十分だからな。」

「そのノーキンの意味がいまだに分からないのですが……」

「お前みたいなや「私は!?私のアダ名は詐欺師って酷くない!」」


五月蝿い

やっぱり見捨てて置けばよかった。

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