第二十七話 新たな出会い
ヴァディマールの町を出た、俺達は歩き続けていた。
「確か、前に国境までは徒歩で7日くらいと言っていたな。」
「そうですね。途中で馬に乗ったりもしたので4、5日で着くと思いますよ。」
「次のクアーズ王国はどんなところだ?」
「クアーズ王国は獣人の国です。」
獣人?
「なんだそれ?」
「コボルトやワーウルフ、ミノタウロスなどです。」
そんなものがいるのか、少し楽しみだ。
「魔物と近いのか?」
「人によっては姿形は近いから邪悪だ、などという人がいますが普通に知能も
ありますし喋ると案外普通ですよ。」
「そんなもんか。……ん?」
道のそばにある森がゴソゴソと動いてる。敵か?
俺達は戦闘態勢を取った。
「助けて~……」
何か小さいのが助けを求めてきた。もしかしてコレは、
「妖精か?」
「そうですね。クアーズ王国と逆に位置するガングルフ王国の住人です。」
とりあえず戦闘態勢を解いて近寄り、話を聞く。
「おい、どうした。何があった?」
「実は……」
グゴゴゴゴ~~~~~~~~
何だ今の音?魔物か?しかし【見識】で確認したが見当たらない。
周りを見渡す俺達に妖精が少し恥ずかしそうに、
「今の私のお腹の音です。」
と言ってきた。なんかイメージと全然違うんだが。
「さて、行くか。」
「「え!?」」
こいつらは何を驚いているのか?
「勇者殿、助けてあげないんですか?」
「こんな可愛くて小さい女の子が倒れてたら普通助けない!?
しかもアンタ勇者なの!?ならなおさら助けてよ!」
二人で何か言ってくる。
「いや、何かお前は脳筋と同じニオイがするしな。」
そういうと、
「ゆ、勇者殿、私の匂いを嗅いでいたのですか!?えっと、あの、その…
そういうのはその……」
「匂い嗅いで判断するとか変態じゃないの!?近寄らないで!でもご飯はおいてって!!」
そういうところだよ。
「同じニオイってのは同類みたいな感じがするって意味だ。
お前ら二人からは面倒くさそうなウザい感じがする。」
脳筋はショック受けてる。妖精は、
「ちょっとどういうことよ!面倒くさいとかウザいとか失礼過ぎるでしょ!」
もうすでに面倒くさい。
「じゃあ今度こそ行くぞ。」
そう言って立ち去ろうとすると、妖精が飛んで俺の顔をペチペチ叩いてきた。
「ご飯~ゴハン~ご・は・ん~!」
……ハエ叩きを持っておくべきだった。
「勇者殿、私達も朝食を抜いてきましたし休憩いたしませんか?
妖精の方も一緒にどうでしょう?」
これ以上、付きまとわれるのは御免こうむりたい。
「……そうだな、そうするか。」
「え、ホント!?やったー!!」
少し道から外れたところに脳筋が簡易的に休憩できるところを作る。
「へぇ凄いな。」
「騎士団は野宿もしますし、簡単なことは一通りできますよ。」
「ようやく役に立ったな、戦闘以外で。」
「ぐっ!!」
言われたくない言葉だったらしいな。
一通り作業が終わったみたいで、早速飯を作る事にした。
俺は小さい鍋と食材を持っているが、脳筋はどうするんだ?
と思っていたら。
「勇者殿と……妖精さん、お名前は?」
「リュリュよ。」
「リュリュさんも少し待っていてください。」
そう言って森の中に入っていった。
現地調達か。そっちの方が食材を減らさずに済むしな。
取ってきてくれるというなら、その間に話でも聞いておくか。




