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第二十四話 町民の思い

アドルフの傷を治した後、脳筋のところへ戻った。

もし盛られたのが後々に残るような毒なら解毒しないと

さすがにマズイと思ったが、

「ぐ~……ぐ~……」

寝息を立てて寝ている。

そんなに寝ていたいとは知らなかった。埋めて永眠させてやろう。


土を被せようとしたところで「さすがにそれは……」と止められた。残念だ。

それよりも周りを見渡すとそこにいる全員が暗い顔をしている。

盗賊は倒したはずだが?


「勇者殿……だったんですか…」

「あぁそうだ。」

「何でこんな事をしたんですか…」

こんな事?


「私たちはここで暮らしていく以上、魔物に怯えて生きていなければ

いけなかった!こいつらはそんな俺達を守ってくれてたんだ!」

「そ、そうだそうだ!こいつらを倒したら誰が町を

守ってくれるっていうんだ!」


騒ぎの輪は広がり、


「あんたたちはいつもそうだ!こっちの都合も考えずに!」

「クックルが近付いたのだっていい迷惑なんだよ!」

「俺たちにどうやって生きていけと「じゃあ殺されたいヤツから前に出ろ……」」


そう言った瞬間、周りが静まり返る。


「魔物に殺されるのが怖い。だから盗賊に支配されて最悪、殺されても構わない?

黙っていれば誰かが奪われ殺されるかもしれないけど、自分達に関係ないから

どうなってもいい?ふざけてるのか?」


俺の声がよく響いた。


「お前ら旅人が被害に会うのを知っていたそうだな?それを町ぐるみで隠蔽して

しかもご丁寧に罪を被る事もあったと、じゃあ共犯だ。

これから生きていけないというなら罪を償うために死んでくれ。」


どこかで喉が鳴る音が聞こえる。


「安心しろ、一瞬だ。痛みは感じないと思うぞ?誰が一番乗りだ?」


最後のセリフを言い終わると緊張感がピークに達して

倒れるやつも出てきた。が、大半は足が震えて逃げるに逃げられないらしく

その場で固まっている。


ゆっくりと剣を抜いた。


「……待って!待って下さい、お願いです!」

その言葉が聞こえるとオガヒが俺の前に出てきて頭を地面にこすり付けた。

「私が指示したのです、すべては私の責任!どうかこの首一つで

許しては頂けないでしょうか!?」


皆がオガヒを注目する。

「俺がそれで納得するとでも?」

「納得してください!そのためなら私の命と家の財産全部渡しても構いません!」

「町長……」

ネアが走ってオガヒの隣に来た。

そして同じように頭を下げ始める。


「勇者様、お願いです!お父さんを、町の皆を許してください!」

「……ふぅ、興が削がれたな。お前ら、こんな子供にまで頭を下げさせて

恥ずかしくないのか?」

誰も目を合わせようとしない。


「死にたくないなら必死で生きればいいだけの話だろ。」

「必死で生きるって…じゃ、じゃあどうすれば良かったんだ?

魔物に怯えて暮らせと?盗賊だったら相手が分かりもするが、あいつらは

突然現れて作物や人を食っていくんだぞ!?」

「首都の近くに町を移せばいい。そうすれば魔物も寄りにくいし、騎士団も

周辺警備をしてるからこんなところより治安がいいだろ。」


それでも首を縦に振ろうとしない。

「でも……生まれ育った町を離れるなんて……」

「そうだよ、今さらそんなこと言われても……」

故郷への執着か。

あの世界が嫌いだった俺には分からん感情だ。



「皆、町を移る準備をしよう。」

おもむろにオガヒが立ち上がり口を開いた。

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