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第十話 決闘

大臣に案内された場所は武具庫だった。

「この城で管理している物はお好きになさって結構です。」

いろいろあるんだな。でもどれも使った事ないし。


「ガナガ殿にも困ったものです。顔が広いため文句を言える人間も少ない

ですし。まともに相手できるのは同じ団長、または王か私くらいでしょうな。」

こういうとき通常は剣を使うのか?


「王も勇者殿と試合させるなど何を言ってるか分かっておいででしょうか。

あの~勇者殿?もしやとは思いますが負けることなど……」

武器の良し悪しは見えないのか。じゃあコレでいいか?

「勇者殿、聞いておられますかな?あ、ちょっとお待ちを!勇者殿!……」


ずっと喋っていたのを無視して剣を取り部屋を出る。

「そういえばどこでやるんだ?」

追いついた大臣に尋ねた。

「え!?あぁ練兵場にいると思いますよ。この通路を左にずっと行った

ところです。そんなことより勝算の方はどうでしょう?

いや私も負けるとは思っていないのですが万が一とい……ちょっとまたですか!」


あまりにも長くなりそうだったので喋ってる最中に歩きだしてしばらく

歩き続けると広い場所に出た。

「よく逃げずに来たね。」

ど真ん中にナルシストが立って周りをギャラリーが埋め尽くしている。



「ウルム王。本当にこのまま試合をさせるので?」

「そのつもりだが?お前も実力を見極めたかったから他の者に警備を任せて

戻ってきたのだろう。急に仕事が増えた副団長も可哀想に。ハッハッハ!」

見通しが良い場所で王とワミが話していた。


「予言にあったとはいえ、いきなり勇者が現れたと言われても

眉唾ですからな。」

「で、でもハァハァ……本当だったら凄い事ですハァ……」

ヨーグ大臣がその会話に加わってきた。


「何をそんなに疲れておるのだ。」

「勇者殿、早歩きだったはずなのに足が早いのなんのゲホッ!追いつけず……」

王とワミがため息をつき、大臣は息を整え続ける。


「我が国が勇者を庇護しているとなると他の国に優位になります。王の権限で

さっさと勇者認定すればよかったのではないですか?」

「それで実力不足だったらどうするんだ。」

「実力不足なら尚の事!試合させて実は弱かったらそれこそどうするのです!」


大臣は鼻息荒く詰め寄ろうとするが、

「その程度だったと言う事だろう。だが勇者殿が負けるようにも思えんし、

ほれ、まもなく始まるのだから見ておれば結果はすぐ分かるだろう。」

王はどこ吹く風で試合を見るように促した。



「では皆を待たせるのも悪いし始めようか。どうせすぐに終わるしね。」

さて、どうしようか?

さすがに本気で攻撃したらコウモリみたいに潰れるだろうしな。

ん?あれは?


脳筋がギャラリーの後ろのほうで変な踊りを踊っている。


可哀想に。ついに頭がやられ

【水魔法の心得】をラーニングしました。


なんだ?

「ば、馬鹿な僕の水魔法が効かないなんて……」

ザワザワ…

周りの反応とさっきの言葉から水魔法で攻撃を食らったらしい。


一応、ステータスを確認したがHPが1も減ってない。

ダメージにすらなってないんだが。

「ふっ……ふふ、初級魔法だったからね仕方ないね!じゃあこれなら!」

ブツブツと呪文らしきものを唱え始めた。

「アイスストーム!」

氷交じりの竜巻が体を包む。


「ハハハ!これで終わりだ!ハァーハッハッハッハ!……ハ?」

じっとしてたら終わったが、なんかくすぐったかった。

あのドラゴンやっぱり凄かったのか。今思うとゾッとするな。


「お、お前何者な……」

とりあえず走って近づいて鎧の上から腹にでこピンした。


吹っ飛んだ。

それはもう勢いよく。30mくらいか?

「……終わりでいいか?」

聞いてはみたが返事がない。

最初から使うつもりはなかったが、やっぱり剣はいらなかったな。

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