進路
「僕自身、簡単に言えば犯罪を起こそうとしている。国王のもとに忍び込んで、国王に両親の居場所を聞きたい。そう思ってるんだ。
そのために、みなを連れて行くことはできない。
僕一人なら逃げ切れる自信はある。でも、みなを連れて逃げ切るのは正直不可能だと思う。
だから、僕に一人で王都に行かせて欲しい。」
エルが反論しようとした瞬間、フォーアがしっかりと僕の目を見て答えた。
「エリュクト兄さん、僕は兄さんが一人で行った方がいいと思います。あくまで噂ですが、国王陛下は病床に伏せているそうです。
現在の王太子殿下、長男が近々国王を継ぐだろうと商人の方が話していました。
真実かどうかはわかりません。しかし、その可能性があるならば、僕は最速の形で行くべきだと思います。
兄さんが3日で行けるのなら、国王陛下が生きてるうちに会えるように一人で行くべきだと思います。
何より、エルさんを置いて行くなら僕たちを置いて、今日から王都へ最速で迎えますよね?」
フォーアがこんなにはっきりと意見を言うのは珍しい気がする。
でも、フォーアの意見はありがたかった。
「でもね、フォーア、一人で行かせるのは危険すぎるわ。」
エルがフォーアへと反論する。
「一人で行くことがどれだけ危険なことかはわかりません。でも、魔の森から一人で出てくるだけの実力があるなら、逃げ切るだけなら出来るはずです。あそこはSランク以上の魔物がウヨウヨしている場所ですから。
それに何より、国王陛下が死んでしまったらなんの手掛かりも失ってしまいます。なら、多少の無理はすべきです。」
エリスは夢の世界への船を漕ぎ始めていた。
ふと、フィアを見れば何かを考えているような表情をしていた。
「エルさん。あなたの意見は本当にエリュクトの身を案じて、ですか?勿論、私も一人で行かせるのは心配です。
でも、エリュクトは私達の前で全力を出したことはありません。それに、私には保護者としてフォーアとエリスを守ってあげる自信はありません。
勿論、裏社会からとか、詐欺師からなら守ってやれると思います。でも、力尽くなら、私は役に立ちません。
私はフォーアとエリスの二人とエリュクト一人ならフォーアとエリスの方が心配です。
だから、置いて行くならエルさんも残って欲しい。もしくは、皆で王都まで行く。
そのどちらかしかないと思います。」
皆の考えを聞けば聞くほど、僕が僕のことしか考えていなかったのだと言うことを再確認させられる。
僕はエルの意見を聞いた時に、自分は一人で行くべきだとしか考えていなかった。
フォーアとエリス、フィアの三人でルーゼルの学園に通わせることに、なんの疑問も抱いていなかった。
「ごめん、エル。やっぱり、僕は一人で行くよ。三人で残して行くのは心配だ。連れていければいいのだけど、それも難しい。何より逃げる時に困る。
それに、フォーアとエリスには僕の癖を残したくない。プロに教えてもらうべきだと思う。
だから、僕には一人で行かせて欲しい。」
僕はそう言って、頭を下げた。
自分の実力が足りないということを改めて思い知らされた。無力な人を守ることは、今の自分では難しいのだ。
「はぁ…。これじゃ私が悪者じゃない…。
いいわ、エリュクト、無事に戻って来なさい。貴方は、私達のリーダーなんだからね。」
エリュクト一人で王都に行かせるか、全員を連れて行くか、迷いながら書いていました。
とりあえず、エリュクト一人の方が進みやすそうなので、一人ということで…w




