決意
お久しぶりです。
待たせて、すいません。
僕が一人、宿の屋根の上で空を見ていると、エルが僕の横に腰を下ろす。
横を見れば、真面目な顔をしたエルがいたので、何か話しがあるのだとあたりをつけた。
「それで、どうやってご両親に会うの?」
エルが、至極真っ当な事を問うてきた。
当たり前の疑問だが、僕自身こうすれば会えるという確証はない。
「この国の王に会ってみようと思うんだ。その人なら、僕の両親のことを知っているかもしれない。」
「そんな簡単に言うけど、どうやって会うの?相手は国王よ、簡単に会えるとは思えないのだけど。」
確かに、会えるわけはない。
なんの地位も名声もない平民が国王陛下と会えるわけがない。何より、僕は国王の命令で魔の森に捨てられたのだ。
会う理由がない。
「忍び込もうと思う。今更、怖いものなんてないよ。何かあれば、また、魔の森に帰ればいい。」
僕には魔法も友人に鍛えられた身体能力もある。友人の言う通りなら、僕を止められる人間はいない。
「危険すぎるわ!エリュクト、貴方に力がある事は知ってる。でも、無茶よ。」
「エル、エルはまだ僕の本気を見たことはないよ。僕は誰よりも世界に愛されている。」
そう、スキルが証明してくれている。
この世界のいかなる子供よりも努力してきた自信がある。強くなるための努力をしてきたのだ、僕は。
「世界に愛されている?」
世界は僕を愛している。
僕が本気でしようとした事を僕は失敗したことがない。失敗を知らない…、それは怖いことでもあると言われた。
それでも、僕の本当の望みをこの世界は叶えてくれている。それは、真実だ。
「この話はよそう。エルだけに話すわけにはいかない。とにかく、心配しないで。待っててくれればいい。みんなと。」




