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呼び出し

エルから話を聞いた次の日の昼頃、とある客が宿を訪ねてきていた。

珍客、とでも言うべき人間がとある人に面会したいと宿のフロントで大声で言いつづけたのだ。

さすがに、気になった僕達は階下へと降り、状況の把握をしようとした。

今思えば、その行動は余りに安易で軽率だったと言えよう。

既に、予測が出来ているであろうが、訪ねて来た客とはサウザス子爵である。


このままでは、宿に迷惑がかかると判断した僕とエルでサウザス子爵の対応をする事にし、予定外とはなるが今日は休養日として自由にさせる事にした。

僕とエルはサウザス子爵の予約したというレストランに招かれていた。


「ウィンディ殿、葡萄酒でも如何ですかな?ここのは、中々良いものが揃っておりますから。いえいえ、勿論。ここは、私が払わせていただきますので。」


僕達が着替えて席へと案内された時には、サウザス子爵はお酒を片手に寛いでいた。

僕がエルについてきているのを見て、不満気な顔をしていたがスグにそんな表情を消した。


「いえ、この後も幾つか用事がありますから、結構です。ところで子爵。私を呼びつけるとは、随分な事ですね。」


テーブルの上に綺麗に並べられたナイフやフォーク、皿には芸術品のような料理が盛られていた。

スッとサウザス子爵が手を挙げれば、近くにいた店員達が下がった。


「申し訳ございません。しかし、早めに言っておかなければ、ウィンディ殿がこの街を後にした後では困りますからな。さて、いただきましょう。」


サウザス子爵は、料理を口に頬張る。そんな最中、僕はどうしようもない程に後悔をしていた。

森の中で育ってきた僕に、こんな場所で食事をするスキルなど持ち合わせているはずがなかったのだ。


「すまないが、この子はテーブルマナーなど学んでいないのだ。多少、不手際があっても許して欲しい。」


そんな事を考えて固まっていると、エルからの援護射撃があった。

エルと目が合うと、エルはフワリと微笑んだ。


「構いませぬ。その為に下げたのですから。それと、ウィンディ殿。先日は申し訳なかった。私の不手際でお時間を取らせてしまって。」


深々とサウザス子爵が頭を下げるが、エルの表情が柔らかくなる事はない。

どころか、少しずつ目が鋭くなっている気がする。


「いやいや、サウザス子爵に限って、このような事は二度とないと思っている。そういえば、昨日は急用故に先に通りたいと言っていたな。その急用とやらには、間に合ったのか?」


顔を上げたサウザス子爵は、ハエのように手をこすり合わせながら、額に汗を浮かべていた。

エルが話を掘り下げたからだ。


「え、ええ。なんとか。先方にも、事情を説明するとわかっていただけましたし。」


「そうなのか。しかし、貴方にも立場というモノがあるだろう。そうだ、私が相手に謝罪をしておこう。そのお相手とやらは、どこの誰なのだ?」


更に顔を青くしながら、必死に言い訳を考えているのか、手をこするスピードは増していくばかりだった。


「そのような事をウィンディ殿にさせる訳には参りません。それに、先方にもご理解いただけましたから。」


その言葉を聞いたエルが、ニッコリと笑みを貼り付けて、サウザス子爵に笑いかける。


「そうか。ならば良かった。」


そんな風に食事が進んでいった。

料理は美味しいのだが、食事を共にする相手が悪すぎると思う。

エルと二人ならば、もっと楽しかっただろうに。

また書きましたが、どこまで書けるのか僕にもわかりません。

というか、読んでくださっている方はいるのでしょうか…。

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