フォーアの特訓
僕の口が言霊を紡いでいく。
パズルのピースがはまっていくように、形作られていく魔法。
「フォーア、遅いよ。」
その一言と共に、僕の魔法は崩壊した。
僕の前に立つのは圧倒的力を持つ、絶対者。
敵うわけがないとわかっていても、やるしかないのだ。
「美しき景色に一編の火なる物語を描け。
『炎華』」
パチリとエリュクト兄さんが指を鳴らすと同時に魔法が目の前から消え失せる。
「うん、もっと集中して。魔力の操作が緩慢になってるよ。」
僕は横っ飛びに、エリュクト兄さんの魔法を避ける。
魔法の詠唱が遅ければ魔法を消され、魔力の操作がダメなら魔法が飛んでくる。
だから、やるしかない。
「紡ぐ言葉に意味はあるのか?尚我は言葉を紡ぐ。我が声に応え彼の者を貫け『炎牙槍』」
僕の魔法の直後に、エリュクト兄さんが同じ魔法を重ねる。
ぶつかり、二つの魔法が相殺し合った。
これは、合格の合図だ。
「うん。上手いね。」
僕はそのまま地面に寝転がる。
魔力はもう底を尽きている。
「お疲れ様。随分出来るようになったね。」
優しげに微笑むエリュクト兄さんには、さっきの絶対者の姿はなかった。
「ありがとうございます。」
僕の思っていた魔法と、エリュクト兄さんが言う魔法は全然違った。
決まった言葉、決まった陣、決まった魔力で放つのが僕の教わった魔法。
エリュクト兄さんが言う魔法は、イメージをすれば勝手に言葉が出るというコトだった。
意味がわからぬままにやった僕は驚いた。
勝手に口が動き、魔法を作り上げてくれる。
しかし、気をつけなければならないのは、魔力をキチンとコントロールして適度に使わないと、バカみたいにデカイ魔法が出来上がるのだ。
これが出来るようになってからでないと、無詠唱はできないらしい。
僕は魔力というスタミナを切らさぬように、魔法を使う訓練をしている。
30分間の間、戦い続けられる配分をしなきゃいけない。
魔法を使わなくても魔法が飛んでくるし、魔力のコントロールに失敗しても魔法が飛んでくるし、遅かったら消されるし…。
ふと、エリスがエリュクト兄さんの前に立つ姿が見える。
多分、エリスは僕よりスタミナがある。
というか、確実にある。
今の僕なんかよりもずっと強いエリス。
僕も早く、エリスに追いつかないと。
僕はエリスが好きだから、エリスを守れるようになりたい。
エリスがエリュクト兄さんのコトを好きなのは知ってるけどね。
むしろ、ゼズ編の方が書きやすいかもしれない…。
なんとか必死に書いてます。
よろしくお願いします。




