表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/62

フィア

宿屋の中に入ると恰幅のいい女性が僕達に声をかけてくる。


「いらっしゃい。何泊、何部屋だい?」


「2部屋、3泊で。いくら?」


「大銅貨4枚。1枚追加で朝夕のご飯をつけるよ。」


「じゃあ、朝夕付きで。」


僕が銀貨を女性に渡すと、大銅貨5枚と鍵を二つ渡してくれる。


「二階の端っこの部屋二つだ。朝は4時から6時まで、夜は6時から12時まで出せる。」


「わかった。ありがとね。」


僕は女の子の手を引き、階段を上がる。

鍵をエルに一つ渡すが、一緒に一つの部屋に入る。


僕は女の子をベッドに座らせ、窓の前に立つ。


「エル、ドアの前に立って、その子が逃げようとしたら、捕まえて。さて、君、キリキリと話そうか。」


「わ、わかった。」


女の子は、ボソリと話し始める。


「あたしは、フィア。さっきの借金の話だけど。パパが、この街に引っ越して来た時に、あそこの商品を壊しちゃって、凄い金額を請求されたの。」


「いくら?後、何を壊したの?」


「金貨80枚。壊したのは、水晶みたい。調べてみても、そんな金額のものなんて、あそこは入荷してない。その水晶だって、一個銀貨2枚で取引したヤツらしいの。」


金額80枚とは、中々の金額だ。

この宿で言えば、一日の生活費が大銅貨1枚と銅貨3枚程度なのだ。

それから計算して、年間、金貨4枚、銀貨7枚、大銅貨4枚、銅貨5枚で生活費できる。

大体、金貨5枚である。

16年間の生活費を要求しているとは、中々セコイ。


「証拠は?その話の根拠は?何を持って、お前の親が騙されて借金を負わされたと証明する?借金の金額が金貨80枚もあると証明する?」


「エリュクト!何を言ってるのよ!?そんな風に言うのは…。」


僕は、下を向いているフィアの顔を無理矢理上げさせる。

目を見つめて、手を離した。


「フィア、目が笑ってる。嘘をつくなら、もう少し上手くついた方がいい。借金は精々金貨1枚程度か?なら、払えない額じゃない。エル、やはり、コイツは、僕の部屋で寝かせるコトにする。エルだと、騙されてフィアを解放しかねない。」


僕は、腕を振る。


「さてと、少しばかり、調べ物をしてくる。エルは自分の部屋に行ってもいいよ。」


「エリュクト、床を同じにしてはならないってヤツはどうするの?エリュクトが何もしないなんて、断言出来ないでしょ?」


「断言できるが…。そうだな。もう一部屋取るか?」


「そこまでは…。」


「エルも騙されないとは断言出来ないだろう?」


エルが止まる。

多分騙されると思っているのだろう。


「それに、今夜は多分宿には戻らないと思う。だから、今夜のところは大丈夫だ。それと、これがフィアの今夜の夕食だ。」


僕はアイテムボックスから取り出したお弁当を手渡す。

フィアの顔が疑問でいっぱいになるが、無視して部屋を出る。


宿屋のおばちゃんに挨拶して、僕は外にでた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ