表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/62

街にて

やっとの思いで、精霊や旅人に聞きながら辿り着いた街は感動も一入だった。

門の前には門番がおり、軽く挨拶して僕たちは街に入った。


宿屋を探して歩き始めたところで、事件に巻き込まれるコトとなった。


走る軽装の女の子。

それを追いかける怖い顔の男達。


「どちらが悪者か、当てよっか。エル。」


僕とエルで同時に指を差した。


「女の子!」「男達!」


それぞれ、僕は女の子、エルは男達を指差した。


「完全に、追いかけられてる女の子が悪者だよ。だって、逃げてるのは何かしたからでしょ?」


「素直過ぎよ。逃げてるのは、女性の尊厳が奪われそうになっているからに決まってるじゃない。」


「けど、考えてみてよ。女性の尊厳が奪われそうになってるなら、なんでこんな大通りまで男達は追いかけてきているの?少なくとも、公に出来ない事情があるなら、彼らは追いかけられないはずだ。」


そんな会話を繰り広げていたが、女の子が僕らの間に割り込んだせいで、中断することになった。


「もう!如何にも女の子が困ってるんだから、少しくらい助けようとしなさいよ!ほら、あの男達を追っ払ってよ!」


「僕はパス。エル、男達が悪いって言ってたんだから、助けてあげたら?」


僕はこの子を助ける気はおきなかった。


「アンタの言ったコトを聞いた後だと、なんだかこの子の方が悪者に見えるわね。だから、私も助けないでおこうかしら。」


「ちょっと!何それ!?」


男達は僕らの前に立ち、深呼吸を繰り返していた。

しばらく深呼吸を続けてから、僕達に声をかけてきた。


「お前、その女をこちらに寄越せ。そいつには借金を払ってもらう必要がある。」


「んー、構わないけど…。ちなみに、どんな借金か聞いてもいい?」


答えは後ろの少女から返ってきた。


「アイツラが私のパパとママを騙して借金を作らせたのよ!そんなの返す必要ないわ!」


「今のは本当?後、この子を引き渡したら、どうやってお金を返して貰う気なの?」


エルを見ると、エルが戦力にならないコトを如実に表していた。


「ちげぇ。アイツの両親がぶち壊したもんの代金をいただいてるだけだ。それに、そのベッピンさんだ。返し方なんて決まってるだろ?」


エルがポケットから金を出そうとしているのを、手を掴むコトで止める。


「エル。彼らが仲間でない証明は出来ていない。詐欺グループの一人だったらどうするの?」


僕はエルへと呟く。

男達には聞こえなかっただろう。


「女性にそういった行動は、少し許せないかな。でも、君達の言い分はわかった。ならば、取引をしないか?銀貨1枚を払おう。僕らがこの街にいる間はこの子に手を出さないでもらえるかな?身柄は、僕達が預かる。」


「銀貨3枚だ。この街から出る時にソイツをこちらに渡せば1枚返す。出る時に逃げられていたら、ソイツの借金を全て負担して貰う。」


「んー、銀貨1枚と大銅貨5枚。」


男が首を振る。


「銀貨2枚と大銅貨5枚。で、一枚返そう。」


「あのさぁ、舐めるなよ?そもそも払わなくたって構わないんだ。そこの女の子に君達は追いつけてなかったし、そもそも体力的に差があり過ぎ。そんなんで捕まえられるわかないでしょ?」


男の顔が強張るが、すぐに切り替わる。


「仲間は待ち伏せしてる。どっちにしろすぐに捕まる。」


僕は銀貨1枚を弾く。

男がキャッチした時点で、僕は女の子を連れて歩き始める。


「おい!」


「ハッタリはバレた時点でダメだよ。嘘の分はマイナス。行こう、エル。」


まさか、街の入り口で事件に巻き込まれるとは思わなかった。


僕は女の子の身体を支点にして、くるりと回し蹴りを放つ。

見事に男の顎に辺り、バタリと倒れる。

ポロリと落ちた銀貨を足で弾いて、キャッチする。


「暴力の分マイナス。この場で、僕らの能力もわからずに仕掛けるべきではないね。」


歩いていた少年が恐怖を顔に浮かべていたので、僕はマジックを披露することにする。


ポケットから銅貨を一枚だす。

ピンッと銅貨を弾き、キャッチをして手を開く。

手の中には、銅貨はもうすでになかった。

僕は少年を指差してから、自分のポケットを指差す。

少年は自分のポケットを探り、中から驚いた顔で銅貨を取り出した。


「あげる。ここら辺でオススメの宿屋はどこ?」


僕が少年に問いかけると、一つの宿屋を指差した。


「ありがと。」


僕は手を振りながら、女の子の手を引いて宿屋へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ