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恋とかるたと赤い糸  作者: 黒熊
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百人一首物語

百人一首で繋がれる恋、ゆくあてのない恋、どうなるのかなんて私も分からない

1話  【心にも夜半の月かな】


『ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ  からくれないに みずくくるとは』


『こいすちょう わがなはまだき たちにけり  ひとしれずこそ おもいそめしか』


「百人一首…、私にはもう…縁はないのに…忘れられない…忘れたいのに。」

葵は電車の中に、ただ一人、考えていた。秋のきれいな夕日が、葵を照らす。

「敦士…今もまだ…続けてるのかな…かるた…。」

葵は考えながら寝てしまった。

『敦士、憂希、またね…。私、頑張るから、かるたで、また会えるって、信じてるから。次会うときは、かるたの大会でね…ばいばい』

『あお、俺…お前のこと…す…好きだった。』

『俺もだ、葵、俺もお前のこと好きだ。今も、ずっと』

それは、葵の小学生の時のことだった。敦士と、憂希は、葵の転校する前の時、空港での会話だった


「あぉ…あお…」

男の人の声が聴こえる。

「おい、起きろよ、駅つくぞ!」

(この声…どこかで聞いたことが…。)

その、起こしてくれる声は、優しく、とても聞き馴染みのある声だった。

「あおっおい!浜崎葵さーん起きてくださーい」

(何で名前知ってんだろう…あお…そう呼ぶのはただ一人。)

「憂希!」

葵は自分の声でハッと、目が覚めた。目の前にいた男の人は、びっくりした顔で言った

「そうですよ~、あお、お前何で寝てんだよ、いくらゆっても起きやしないし、最近寝てんのか?」

声は確かに憂希なのに、顔とか全然変わっていた。

「本当に憂希ですか?井上憂希君でしょうか」

私は何度も聞いていた。もう飽き飽きしたのか、憂希は

「駅、着いた、降りるぞ。」

ちょっと乱暴な口調だが、本当に憂希らしい。葵は憂希に付いて行きながら、電車を降りた。

「ねぇ、憂希高校はどこ行くことになったの?」

私はわかりきった言を聞いた見た。

「やっぱり憂希だから、その辺のS高にでも行くんでしょ?」

「行かないよ」

憂希の答えにびっくりした葵は

「えっ、じゃぁ…どこ行くの?」

と、もう一度聞いてみる。憂希の答えは

「多分葵と同じ、阿紫原高校だよ。」

その憂希の言葉に驚かされ、それともう一つ

「俺、そろそろ行くわ、彼女またしてるから」

そう、憂希には、彼女ができていた。あの日のことは…忘れてそうだった。

「最後に一つ、俺、葵の家の隣に引っ越すことになった、よろしく」

驚きであふれていた、何故なのか、全くわからなかった。

「もぉ~憂ちゃん遅いよぉ~、デートなのに」

(可愛い子だな)

憂希の彼女はツインテールが似合う女の子だった。

「あの子誰?優ちゃんが言ってた初恋の?レベル低くない?」

可愛いのに口は悪く、人を貶す最低な人だった。葵は憂希があんな人と付き合えることに驚かされた。そんな彼女の言葉に憂希は

「そうかもな、でもお前よりあおの方が可愛いと俺は思うな。」

と、彼女の心にくいを指すかのように言った。

「何よそれ、最低、もう別れましょ!この最低男!」

と、捨て台詞を言って、女の子は走り去っていった。

「いいの?あんなにかわいい子」

葵は心配そうに言った。

「あお、聞いてただろ、あいつよりあおの方が何倍も可愛いっての」

照れくさそうに言う憂希が可愛く見えた。

「あ…ありがとう」

葵はよくわからないのだが、お礼を一応言っておいた。

「あお、知ってるか、敦士も阿紫原高らしいよ」

と、憂希が言った。嫌そうな顔で。

「そう…なんだ。憂希どうしたの?憂希、敦士嫌いなの?」

「嫌いじゃないけど…。ただ…ごめん言いたくない」

と、ちょっと目に涙をためながら話した。葵は何がなんだかわからいが、もう聞くのはやめにした。

「…。じゃ、帰ろうか、あお」

憂希は、こっちも見ないで歩き出した。

「うん、…てゆうか、いつこっちに来たのよ、来るんなら連絡くらいちょうだいよ」

葵は、少し起こり気味に聞いた。

「付き合ってもないのに、何でそんなことしなきゃなんねんだよ、意味わかんねぇ」

憂希は葵の方に振り向き、怖い顔で言った。

「何でって、付き合ってないけど、友達じゃん」

葵は少し焦りながら答えた。憂希の冷たい顔が真っ赤に染まった夕日に照らされて、余計に怖く見えた。

「そうだな、ただの友達だよな、悪い悪い」

何でそんな風に言うのかよくわからない。

「あお、家通り過ぎたよ、何やってんだよ」

憂希は、あれからこちらを向くことはなかった。

「ばいばい、明日、一緒に入学式行こうね」

葵は憂希に約束ね、と言い家へ帰っていった。

「あお、何であんなに可愛いのかわからん、ずるいだろ、あお、…あおだけは、無くしたくない」

憂希はそうつぶやき、家へ帰った。


「敦士、会いたいよ、また試合…。かるた続けてるのかな、私、もうやってないから、もう相手になんてなんないか。かなり悔しいな…試合もしないで負けた感じがして」

「敦士お前にも、他のやつにも、もうあおは渡さない…絶対に。敦士、お前には、勝てる地震なんて無いけど、俺はあいつのことが、好きで好きで

しょうがないんだ」

「葵、憂希、俺、お前らとまたかるたしてぇよ、葵お前もまだ、続けてるのか?かるたでつながるんじゃなくて、もう、赤い糸で繋がれたい…。憂希悪い、俺も諦め乱ねぇ…悪い」

夜の月がいつもより寂しそうで、光っていた。

『心にも あらでうき世に ながらへば  戀しかるべき 夜半の月かな』


ただ、キーボードを滑らせただけの、物語のつもりが、かなりいい出来なんですにゃ

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