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妖怪じゃ!妖怪の仕業じゃ!


夢というのは一般的には自分の欲望だとか、興味があるものを見るらしい。

ならば通常なら、私が今興味を抱いているもの――女の子らしくファッションだとか、夜に動く人形だとか。そんな類のものを見ても良いと言うのに、何を血迷ったのか私の脳は、謎が謎を呼ぶモノを見せてくれた。


その夢は私が見るには珍しく自分視点で、私を抱き上げたと思われるのは黒髪の男性。

しかも頭には三角の耳つき。いわゆる獣耳という属性持ちである。

私は特に猫耳やら兎耳やらに恋焦がれる性質ではないのだが、その時は何故か胸ときめいたのである、不覚。

しかしここで間違えないで欲しいことは、その無自覚は恋だとか、萌えではないということである。


――何かが、何処かが引っかかる。

この思い出しそうで思い出せないイライラを解消する手立てとして、最初に我が家で一番物知り(だと思われる)祖母に、私が見た夢について説明してみた。

すると祖母は、「穗村神社」という名の、京都の山奥にある神社の名前を会話に出し、さらにはそこに行けば何か分かるかもしれないということまで教えてくれた上に、そこに知り合いが居るとかで、穗村神社で夏休みの間しばらく厄介になることにまでなった。

正直、そこまで急にされると引き気味になるが、もう決定してしまったことは仕方ないのである。

かくして私は諦めて穗村神社へ行くための兵装を整え、出陣したのだ。



               ××




一日目。


「のぁああぁああ!!!………あ、暑い…暑すぎる………」


穗村神社へ行くために荷物をまとめて、電車に乗り目的の駅に着いた。

――までは良い。

問題はそれから先だったのである。

少し涼しくなる山の中であっても山道は山道。

石というよりは岩がごろごろ転がっているし、木の根が地面からこんにちはしている所もある。

そのうえ道はアップダウンが激しく、神社への距離がかなりある。

そんな道を超文化系女子と呼ばれる私が歩いて、息が上がらないわけが無い。


暑くだるい泥の様な身体を引きずりつつこの山の頂上へとひたすら歩を進める。

やっとのことで見えた石造りの鳥居をだらだらと潜り、そこらへんに居た神社の巫女さんと思われるおばさまを捕まえ、からからに乾いた喉から声を絞り出した。


「おっ、お水っ…!お水をくだ、さい…っ!」


おばさまは素敵な奥様でした。


湯飲み一杯に満たされた水を持ってきてくれたおばさま――仲野さんは、巫女ではなくここのお手伝いさんで、私がここに来るのを待っていてくれたらしい。

通りで私の名前を知っていた訳である。


そのまま水を飲みつつ木陰のベンチで仲野さんに待たされていると、仲野さんと一緒にこちらにやって来る男の人。

ここの神主さんとみえる初老の男性は私の顔を見るなり申し訳なさそうな顔をして、こう言った。


「すまへんなぁ、わざわざ来てもろた所悪いんやけど――あんさんが会いに来た焔はん、あ、ここの宮司さんな!その人がまだ帰ってきてへんのや…」

「へ、え?」

「せやから帰ってくるまで、ちぃと事務所の方で待っとってくれへんか?」

「私は別に問題ありませんけど…ちなみにその方は何分ぐらいで帰ってこられるので?」

「…重ねてすまへんけど、それは儂にも分からへんのや。最短で――せやな、1時間ぐらい。長ぉて……一か月」

「一か月!?それだと私帰っちゃいますよ…!」

「あの人放浪癖あってなぁ……まぁとりあえず事務所の方で待っとってもらって」

「………わ、分かりました…」


呆れた。事前に私が会いに来ると分かっているはずなのにでかけるとは。

ある意味大物である、重役出勤ですか?

事務所へ向かうおじさまの背中をしぶしぶ追っていく私、あぁなんてみじめなのでしょう。

まさかこんな所でそんな横暴な人物に出会うとは…正確にはまだ会っていないのだけれど。


私のテンションと比例して下がった頭に突然感じる鈍い衝撃!

何事かと思い顔を上げると、神主さんが突然歩くのを止めていて、誰かと話しているようだ。

それならそれで一言言ってくれればいいものを。


会話相手は私と歳が変わらないか、1,2歳年下ぐらいの男の子。

黒髪に3本の細い白のメッシュを入れてあって、長い髪を後ろで一つに束ねている。

長髪系男子――なんてまさかこんな所で見ると思わなかった。と言うかこの人生で見ることになろうとは予測していなかった。

そこらへんにいる男性なら似合わず思わず顔をしかめてしまう所だが、この人はまるで長髪であるべきかの様に違和感が無い。

それもこれも纏められて丁寧に一つに凝縮されているのは、この人の纏う雰囲気と顔のおかげか。

美男子と言うべき中性的な顔立ちをしている。

声を聞かなければきっと女性と間違えてしまうだろう。

突然現れた黒髪美男子に見惚れていると、話が終わったのかおじさまがものすごーく嬉しそうな顔で振り返った。


「お嬢さん!良かったなぁほんまよかったわ!この人がうちの神社の宮司さん――焔はんや!」


―――は。

あの面倒くさそうな放浪癖を持つ人の約束をすっぽかした人としてどうかと思う宮司さんが、この人?

ついおじさんと宮司――焔さんの顔を交互に見てしまう。

嘘だ。

だってこんな、若い人が神社の社長的存在の宮司?


「おい、岩村。お前はもう仕事に戻れ」

「は、はぁ…ほなら」


この人今おじさんを呼び捨てにしませんでしたか!?いや完全にしました。

しかも「お前」と呼んだ。

呆気にとられる。こんな人が神様に使えても良いのだろうか。


「なぁ、もしかしてお前が五百蔵(いおろい)の婆さんとこの孫ちゃん?」


五百蔵、と言うのは祖母の苗字。

祖母は私の父の母にあたるので、私の苗字も五百蔵ということになる。


「あ、はい!これから一週間宜しくおね――」

「なんか、田舎臭ぇ」

「え」

「髪型も体型もモサい」

「も、もさ…!!?」

「良いのは…ここぐらいか?」

「のわっ!!!」


むにゅり、と触られた(と言うよりも鷲掴みの方が近い触り方)のは私の胸。

突然の事に頭がついていかず、真っ白になる。


「なななななな、ななっなにをなさっているのでありますかぁ!?」

「おーその反応から見るとまだ生娘なんだな」


しかもご覧ください、このセクハラ発言です。

これにはさすがの私も怒りのボルテージがマックスなのです。


「っ………この…っ変、っ態!!!!」

「おぶふっ」


キレイな顔をフッ飛ばす勢いで変態野郎の顔面を殴ってやった。

残念ながらスナイパーライフルなんぞは持っていないので、某世界一腕の立つ殺し屋みたくはいかないけれど。

殴ったきり起き上がらない変態をそのままにして、おじさまもとい岩村さんがいるであろう事務所に向かう。

さすがにこれから一週間お世話になるであろう部屋ぐらいは確認しておきたい。



               ××




二日目。


布団越しに感じる周期的な振動、そして音。

これは、足音?

まだ半分以上寝ている頭の中でぼやけた思考を続けていると、私の隣にある襖が乱暴に開けられた。

その音で私の頭は完全に起き上がった。

何事かと思い勢いよく身体を起き上がらせ、音の発生源に目を向ける。


男性神官が着ている着物を着た焔さんがそこにいた。

彼とは昨日殴り殴られたきりそのまま会わず、私はここでこれから7日間お世話になることが決定し晩御飯をいただきお風呂もいただき就寝したのである。

何と言うか――気まずい。むしろそんな相手に朝一であって気まずくない訳が無い。

何を最初に言うべきか悩んだ挙句、まずこの言葉を言うべきだろうと思った。


「お、おはようございます…」

「おはよう、挨拶ぐらいはできるんだな」


さすがに怒っていらっしゃるのか、それとも元々そういう性格なのか。

どちらにせよそういう事を言われるのはあまりいい気がしない。

しない、がここは変なことを言わない方がいいだろう。私の方が悪い…と思うし。


「おらさっさと着替えろ寝坊野郎」


言葉と一緒にぶっきらぼうに投げられたのはいわゆる巫女装束。

そんなものこの人生で着たことがないし、そもそも着物自体着たことが無い。

そのことを焔さんに伝えようとするが、有無を言わさない目をしている。

どうしようかと悩んでいると、焔さんの脇から仲野さんが登場し、さっさと焔さんはどこかへ行ってしまった。

仲野さんは私は着付けができない、ということを見越して焔さんと一緒に来てくれたらしい。

苦笑いしながらも、明日からこれを着ることになるだろうから覚えておいてね、と丁寧に着付けを教えてくれた。

ありがたや仲野さん。


それから仲野さんについていき、顔を洗い朝ご飯を頂いた。

ご飯はとても美味しいもの――のはずなのだが、何故かちょうど前の椅子に座り、私の顔をずっと凝視していた焔さんのお陰で満足に味わえていない。

しかも二人っきりだった、かなり気まずい。そして私は焔さんが変な人だと再確認した。

普通なら自分から「モサい」と言った人物の顔なんか凝視しないからだ。私なら絶対にしない、目の毒になるから。

喉にご飯をつもらせ気味に口にかきこみ、やっとのことで食べ終わると、目の前の変人についてくるように言われ、言葉に従う。

朝はバタバタしていたので気付かなかったが、まだ午前6時。

つまるところ私は5時30分ぐらいには起きたことになるのでは?

……少しだけ眼前の背中に殺気を飛ばす。

しかし郷に入ったら郷に従え、とも言う。仲野さんも岩村さんも皆さん既にテキパキと働いていたことだし。

密かに明日からは早く起きよう、と心に誓う。

それから焔さんに境内を案内してもらった。

どうやら夏祭りが近い日にあるらしく、屋台や提灯、のぼりの準備がされていた。

案内が終わり、倉庫前に来るとすぐに焔さんから今日の私の仕事を言い渡された。


「適当に境内を掃除しといてくれ、ほれ箒」


それだけだった。

周りが忙しく準備をしているなか、私もそれを手伝いたい衝動に駆られる。

しかしこれは私にしかできない仕事なのだ。

意気込んで差し出された箒を掴み、私は掃き掃除の鬼と化した。



               ××




三日目。


「眠い……果てしなく何処までも眠い……」


宣言通り私は前日より早く起き、仲野さんに教えてもらった着方を頭に浮かべながら試行錯誤しつつ、なんとか巫女装束を着ることに成功した。

朝ご飯はいつも早めに作られるらしく、私が食卓に行けば既に出来上がっていた。

ありがたく頂戴し、朝食と一緒にあったメモ通りに今日のお仕事をこなす。

今日も境内の掃き掃除だった。


今日は焔さんに会う事もなく、そのまま今日の業務終了となり、就寝した。



                ××



五日目。


朝から焔さんに出会った。

居るのが当たり前なのだが、昨日一昨日会っていないと人物が当然の様にそこに居ると違和感を感じる。


「今日は俺の仕事を手伝ってもらうから」


そう言われ、結構歩くのが早い焔さんの背中を追うと、到着した先は本殿――の横にある、私が掃除の時に使っていた箒を取り出した場所とはまた違う倉庫だった。


「探し物、手伝って。二日間も探してやってるのに出てないんだよな」

「…そんなもの私が見つけられるわけ、無いじゃないですか」

「大丈夫だ。だってお前探し物得意だろ」


そんなに得意でもない。むしろ苦手、だと思う。

自分で無くしたものは大体見つけることが出来ないし。

それにその情報はどこがソースなのだろう…

拒否したかったが、ここでも焔さんの眼力に負け、探し物をすることに。

倉庫内は思った以上に広く、探すのに今日一日かかるだろうと見込んでいたが、予想よりも早くお目当ての小道具を発見した。

しかし半日かかったが。


「焔さん、あの、これ」

「…やっぱり見つけたか。な?俺の言った通りだろ」


少しだけ曇った表情を見せ、すぐさまふっ、と笑顔を見せた。

何故だろう、その表情はどこかで見たことがある。

心配させまいと無理やりする顔、何かあっても絶対表には出さないあのヒトの……


あのヒト?

あの人…って一体誰の、事を。言っているのだ…?


突然襲う言い知れぬ恐怖、懐かしさ。

その感覚に吐き気と目眩を感じる。

駄目だ、ここで倒れてはいけない。

私はあの夢の何かをここで掴もうとしている。


「…、おい、大丈夫か」


焔さんの声を聞き、先ほどまで混沌としていた頭がクリアになる。

しかし気持ち悪いのは治らない。


「まだちょっと、気持ち悪い…かもしれません」

「そうか、熱中症もあるかもしれない。ちゃんと水分補給してもう今日は寝ろ」

「…はい、すみません」

「じゃ、ここで解散。おやすー」


焔さんのお言葉に甘えて今日は休むことにした。

それにしても、あの感覚は一体何だったのか。

疑問を抱きつつ、私は意識を空中へと手放した。



               ××




六日目。


いつもより遅く起きてしまい、時計の針は既に正午になることを伝えていた。

いくらなんでも寝すぎである。


しかし、ついに明日には私がここを離れてしまう。

今日やるべきことを精一杯やろう。満足して家に帰れるように。

まずそれをやり遂げる流れとして、昨日今日と迷惑をかけてしまった焔さんにそのことについて謝るついでに体調が良くなったと伝える。

開口一番に辛辣な言葉をかけられる、と思い身構えていれば、いたって普通に


「そうか、なら良かった」


だけで終わり、拍子抜けしてしまった。

そのうえ私が今まで見てきた焔さんにしては珍しく神妙な表情をしていたので、なんだか話しかけにくい。

聞きにくいながらも、今日は何をすればいいのか聞けば、夕方まで屋台の準備を手伝ってくる様に言われた。

外に行くと表に並ぶ屋台の屋根……の骨組みやら、色々と焼くために使う鉄板がズラリ。

せわしなく動く今までに見なかった沢山の人に少し酔いそうになりながらも、屋台の資材を肩に担ぐ。

まだ山積みされている資材を見ながら、この肩のずっしりとした重みと照りつける日光に負けないぞ、と心に誓った。


苦戦を強いられたが何とか持ちこたえ、結果、疲労との争いは私の勝利となった。

夕方になり日が傾いてゆく今でも、じんわりと暑い。

まだ少しは涼しくなる日陰にいてもその暑さを感じるのだから、日向に出ればどれだけ暑いことか。

眼下に見える(ふもと)から神社への道にはずらりと並ぶ屋台と人。

浴衣を着ている人たちを多数見かける。


今日は夏祭り、この神社のメインイベントの一つだ。

それが今日あると知ったのはほんの半時間ほど前、屋台の準備が終わったころだった。

大方の屋台がきっちりと出来上がり、私の仕事もなくなったところに仲野さんがいらっしゃり


「今日はもうこれから祭りがあるんよ、もう仕事も手伝いもええから回ってきたら?」


という素敵な提案を頂き、そのお言葉に甘え今に至る。

正直あの人混みの中を一人寂しく歩く元気はない。それほどまでに疲労している。

――せめて本題の舞とか色々、見たかったな…私はそういうのに人一倍目がないのにこの疲れさえ無ければ。

それならばせめて音ぐらいは聞こうと、耳を澄ませてみる。

ほほを撫でる心地よい風、草木の揺れる音。それと足音。

…足音?

今の私のだらけきっている様子を誰かに見られたくないので、木陰に寝そべっていたい状態から瞬時に起き上がる。

どうやら手遅れの様だった。完全にその影は私を見ていた。

影は焔さんだった。


「え、あっええっ焔、さ、今って宮司さんは色々としてる時間なんじゃ…」

「そんなのはなから岩村にまかせっきりだってーの。ほらこっちこっち、はよこい」


急かされ、上体を起こしていた状態から立ち上がり服に付いた木の葉やらなんやらを払い、駆け足で近づく。

焔さんの横に立ったと同時に手を握られる感覚。

―――あれ、焔さん何してるんです?


「あの焔さん手、」

「うっさい、見れなくなるぞ」


見れなくなるぞ?一体何が見えなくなるんですか?

そう質問しようと思った矢先、手を引いて山の上の方へ駆け足で向かう焔さん。

――なんだかこれ、この感触、懐かしい。こんなことをされたのは初めてかもしれないのに。

焔さんが立ち止り、手を離した。目的地に着いたのだろうか。


「ほら、ここからだと良く見えるだろ」

「――わ…すごい、ちょっと遠いけどちゃんと見える……」


指差された方向を見れば、私が見るのをあきらめていた舞。

人混みを全く無視して、舞台全体が見渡せる。

こんな穴場があったとは気付かなかった…これに気付いた焔さんは宮司特権故に発見したのだろうか。

何にしろありがたいことである。

しばらく見惚れていると、焔さんが喋りだした。


「お前、明日は地元に帰るんだろ」

「、はい」

「楽しかったか?」

「まぁそれなりに」

「なんだよ、それ…まぁいいけどさ」


まだ舞に夢中で生返事しかしない私をよそに、言葉を続ける。


「で、お前の…その夢のひっかかりは――とれたか?」


ちゃんと思い出せたか――――――俺の事を。


その言葉を聞いて驚いた、どうして私が焔さんの事を思い出さなくてはいけないのだろう。

私はこの人を知らないはずなのに。


――いや、知らないわけがない。

だってこの人は、私の、恩人で、私が好きな、あの―――






               ××





七日目。


起きるとそこは布団の中だった。

私は何が起きたのかさっぱりきっぱり何もかも分らなかった。

身体は鉛の様に重く、動かすことが出来ない。

どうすることもできないので、布団の中で頭をひねっていると、ちょうどそこに仲野さんが現れた。

話によると、どうやら私は山中で一人倒れていたらしい。

熱中症やったかもしれへんね、と言われた。


おかしい、腑に落ちない。

だってあの時は私は焔さんと居たはずなのだ。

いくらあの人が酷い人間でも、目の前で倒れた人間ぐらいは運ぶか、そこまで行かなくても誰かを呼ぶとか――それぐらいはしてくれるはずだ。


「あの、仲野さん。私、一人で倒れてたって言いましたよね」

「おぉ、せやで。それがどないかしたん?」

「…私、あのとき焔さんと一緒に居たはずなんです。一人はさすがに可笑しいなと思いまして」

「はて、焔サン?それってどちらさんのことや?」

「――――え?」

「そないな名前は聞いたことあらへんなぁ」

「そ、そんなはず、ありませんよ!だって、ここの宮司さんですよ!?」

「ここの宮司は岩村やけど……ふぅん、おかしいなぁ」


――もしかして、狐に化かされたんとちゃうやろか


その言葉が木霊(こだま)した。

私がこの1週間、喋っていたのは一体、誰だったのか。


何もかも謎のまま、私は家に帰ることとなった。

…もしかして私は、本当に狐に化かされていたのかもしれない。



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