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結婚したら彼が変わった!?  〜婚活後に待っていた“理想と現実”のギャップ白書〜  作者: アレックス・フクリー
Case.1:結婚準備で見えた「温度差」

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エピソード①

「プロポーズされたとき、本当にうれしかったんです。泣くくらい感動して、もう"夢が叶った"って思いました。彼も笑顔で『これからもよろしくね』って言ってくれて、そのときは"この人となら大丈夫"って思ったんです。でも、あとから思い返すと……どこか冷静というか、淡々としていた気もして。私が泣きながら『ありがとう』って言ってたときも、彼は少し照れくさそうに笑ってるだけで──なんだか、私ひとりで盛り上がっていたのかな、って」


 ミカさん(仮名・33歳)は、結婚式を3ヶ月後に控えた女性。彼とは婚活アプリで出会い、約1年の交際を経て、プロポーズを受けました。


「まじめで誠実で、浮ついたところがないところが好きだったんです。婚活を始めたとき、いい加減な人ばかりで疲れていたので、彼の堅実さに安心感を覚えたんですよね」


 ふたりの交際は穏やかで、ケンカらしいケンカもなく、将来の話も自然と出ていたそうです。ミカさんにとって彼は、「結婚相手に求める条件」をほぼ満たしていました。安定した職業、落ち着いた性格、そして何より、彼女の話をいつも真剣に聞いてくれること。だからこそ、プロポーズも"ようやく"という安心感で受け止めていました。


「レストランで夜景を見ながらプロポーズされたんです。定番かもしれないけど、私にとっては特別な瞬間でした。ただ……」


 ミカさんは言葉を選びながら続けます。


「彼は指輪を出しながら『一緒に暮らしていきたい』と言ってくれて、もちろん嬉しかったんですが、その後の彼の反応というか……私はもう感極まって泣いちゃって、周りのお客さんも拍手してくれたりして。でも彼は『よかった、受け入れてくれて』って言ったきり、あとは黙々と食事を続けていて……」


 その日を境に、少しずつ、ミカさんの中にモヤモヤが積もっていきます。


「彼が冷めたのかなって思う場面が、増えていったんです。私はプロポーズ後、すぐに結婚情報誌を買い集めて、毎日のように式場のブログやSNSをチェックし始めたんです。ところが彼は『まだ先の話だよね』って感じで……」


 ミカさんは「一生に一度の結婚式を素敵なものにしたい」とウェディングフェアの日程をチェックし始めました。何度か「一緒に行こう」と誘っても、「仕事が忙しい」「そんなに急がなくても」という返事。やっと重い腰を上げてくれたのは、3回目の誘いのときでした。

 たとえば、式場選び。彼女が3つの会場をピックアップし、スケジュールを調整して見学に行こうとしたとき、彼は「どれでもいいよ。ミカが好きなところで」と言ってくれました。最初は"優しい"と思いました。でも、2軒目くらいから、彼の態度に違和感を覚え始めたそうです。


「説明聞いてるときもずっとスマホいじってて、写真とか全然撮ってなくて。私は、"ここは招待人数的に大丈夫かな""料理はみんな満足するかな"って必死で考えてたのに、彼は『へぇ〜』しか言わないんです。話し合いも何もなくて、ただ私が選んだものに『うん』って言うだけ」


 会場を決める段階になっても、彼の反応は薄いままでした。


「『どこがいいと思う?』って聞いても『全部よかったよ』って。でも、違いを聞くと答えられなくて。結局『じゃあ、私はここがいいかな』って言ったら『そうだね』って……。一人で決めている気分で、なんだか寂しかったんです」


 ドレスの試着に関しても、同様でした。写真を見せても「うん、似合ってる」で終わる。式次第やスピーチの相談をしても「決まってから教えて」だけ。招待客リストを一緒に考えようとしても、「友達は2、3人でいいかな」と素っ気ない返事。


「わたし、一人で結婚式挙げるのかな……って思ったくらい。彼の実家への挨拶の段取りも私が全部調整したんです。日取りも、持っていく手土産も、交通手段も。彼は『お任せ』って感じで……」


 結婚指輪を選びに行ったときも、ミカさんが「どれが好き?」と聞くと、「つけるのは君だから、君が好きなのでいいよ」と。


「もちろん、私のことを考えてくれているんだとは思うんですけど……それだけじゃなくて、彼自身の意見も聞きたかったんです。『一緒に選んでる』って実感が欲しかった」


 ある日、ついにミカさんは「私ばっかり頑張ってるみたいで、正直しんどい」と口にしてしまいました。すると彼は、ちょっと驚いた顔をしながらこう言ったのです。


「え? だって、ミカがやりたいようにしたいって思ってるのかと思ってた。俺が口出したら、逆に嫌かなって……女の子って結婚式にこだわりあるじゃん?」


 その瞬間、ミカさんは"違和感の正体"に気づき始めたといいます。


「私が思ってた"優しさ"って、彼にとっては"無関心じゃない"ことの証明だったんですよね。でも、私は"共に作っていきたい"っていう温度で話してた。そこでズレてたんです。彼にとっては『彼女の夢をかなえてあげよう』という感覚で、私にとっては『二人の新しい人生の第一歩』という感覚。根本的に違ったんです」


 この"温度差"は、結婚準備という具体的な場面で浮き彫りになりがちです。恋人のときには見えてこなかった「相手の関わり方のクセ」「物事への温度の持ち方」が、この時期に露呈するのです。


「今は少しずつ改善しています。『意見を言わないのは私の気持ちを尊重してくれてるからなんだ』って理解できるようになりました。でも、それに気づくまでは本当に苦しかった……結婚前だからこそ見えた『私たちの関係性の課題』だったのかもしれません」

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