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友達の従姉妹が可愛すぎるっ!  作者: ちゆちゆん


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1/1

友達の従姉妹が可愛すぎる


 ――放課後。

 私は同級生の 香月かづき彩葉いろは に誘われて、彼女の家に遊びにきていた。


「ちょっと散らかってるけど、気にしないでねー」

「う、うん!  お邪魔します!」


 彩葉とは同じクラスで、部活帰りに一緒になることが多い。

 今日は部活が休みなので彼女の家で遊ぶことになってる。

 でも家に行くのは今日が初めてで、ちょっと緊張していた。


 ……そんな私が玄関に足を踏み入れた瞬間――


「ん?  彩葉の友達?」


 奥の部屋からふわっと現れた彼女はとにかく可愛かった。

 腰まで伸びた艶めく黒髪、すらっとした脚。

 鼻筋は通っていて、横顔がとにかく綺麗。


 肌も透明感があって、

 ほんのり血色のある唇が、黒髪とのコントラストで

 やたらと映える。


 まつ毛も長くて、笑うと大人っぽいのに、どこか猫みたいに気まぐれそうな目。


「は、はいっ!  初めまして、藤森ふじもり……、りんですっ!」


 自分の声が裏返って、私は心の中で転げまわった。

 なにこれ。

 可愛い。いや、可愛いを超えてなんか……刺さる。


 え、女の子相手なのに、なんで心臓こんなにバクバクいってるの私!?


 彼女はにこっと笑って、ゆっくり近づいてくる。

 その歩き方ひとつひとつが妙に絵になるというか、危険というか……。

「初めまして、私は綾瀬あやせ 莉央りお。彩葉のひとつ上の従姉妹なの」

「へぇ、凛ちゃんって言うの?  彩葉にはもったいないくらい可愛いじゃん」


「ッッ!?!?!?」


 思わず変な声がでた。

 耳の先まで熱い。

 莉央の顔が近い。

 なんでそんな、初対面で距離ゼロに来るんですか!?


 そんな私の動揺を見て、彩葉が慌てて割って入る。


「ちょ、莉央!  凛をからかわないでよ!」

「んー?  ただ褒めただけだよ。ね、凛ちゃん?」


 そう言いながら、莉央は私の髪先を指でつまんでヒョイッと持ち上げた。


「この前髪、ちょっとクセあるんだね。かわいー」


「ひゃっ……!」


 や、やばい。この人、圧倒される……! 。


 彩葉は私の肩をつかんで、後ろにかばうように引いた。


「ちょっと離れて!  莉央、ほんとにやめて。凛に変な事しないで」


「変なことなんてって失礼だなぁ。私はちゃんと優しくするよ?」


「何いってんの!!」


 二人が言い合う横で、私はただ一人、心臓を押さえて震えていた。


 ――私、なににドキドキしてるの?

 女の子なのに。

 なのに、莉央さんを見てると息が……止まる。


 あれ、これって、もしかして。

 いやいやいやいやいや!  ないないないないないない!!!!


 頭の中がパニックのまま、莉央が私に向かってひらりとウィンク。


「凛ちゃん、また後でゆっくり話そ?」


 その瞬間また心臓が痛いほど跳ねて、私は彩葉の背中に隠れた。


 彩葉は深いため息をつく。


「……凛に変な事したら許さないからね、莉央」


「ちゃんと責任とるから大丈夫よ?」


「とらなくていい!!」


 彩葉は私の制服の裾を掴むと、自分の部屋に連れ込む。


「ごめんね凛、今日は従姉妹が来てるの忘れてた」


「ううん、大丈夫、それにしても美人な従姉妹だね」


 彩葉はため息をついた。

「見た目は良いんだけど中身がね……」


 その後は彩葉とお喋りしたり、お菓子を食べたり、平穏な放課後を過ごした。



「じゃ、今日はありがとね、彩葉。また明日!」


 夕方の風が少し冷たい。

 私は彩葉の家を出て、家までの道をのんびり歩き始めた。


 頭の中では、さっきの出来事がずっとリピートされている。


(莉央さん……距離近すぎじゃない? ていうか、なんであんな顔で見てくるの……)


 思い出しただけで胸がざわざわする。

 女の子にときめくなんて経験、これまで一度もなかったのに。


 そんな自分に半分混乱しながら道を進んでいると――


「凛ちゃん、帰るの一人?」


 その声に、びくっと振り返った。


 街灯の下で髪が揺れて、

 あの、やたらと絵になる人が立っていた。


 莉央。


「ひっ……!  な、なんでここに……?」


「ん?  後で話そって言ったでしょ。ぜんぜん彩葉の部屋から出てこないから待ち伏せしちゃった」


 軽く手を振りながら近づいてくる。

 ゆっくり、でも迷いのない足取り。


 ただ歩いてくるだけなのに、なんでこんなに迫力あるのこの人……。


「そこまでしなくても大丈夫ですよ!?  家すぐだし!」


「凛ちゃん、ちょっと道暗いよ?  危ない危ない」


 少し前屈みになり上目遣いでこちらを見ている。

 距離が、また近い。

 心臓が勝手に走り出す。


「……じゃあ、一緒に歩くだけでいいなら」


 私がそう言うと、莉央は満足そうに微笑んだ。


 二人で並んで歩きはじめる。

 静かな住宅街、遠くで犬の声、アスファルトの上の足音。


 間が持たなくて、私はぎこちなく口をひらいた。


「莉央さんって、彩葉とは仲いいんですか……?」


「うん。まあ、よくケンカもするけどね。彩葉、凛ちゃんのこと気に入ってるみたいじゃん」


「えっ、えへへ……そうだといいけど」


「私は……」


「え?」


「私は、もっと気に入ったけど」


 言葉が空気を震わせた瞬間、

 胸がぎゅっと掴まれたみたいに苦しくなる。


 なんでこんな涼しい顔でそんなこと言えるの?


 顔を見るのが怖くて、私は視線を前に向けたまま歩く。


 すると、ふっと手の甲に温かい感触。


 ――つながれた?


 指先から、じわじわと熱が上ってくる。

 触れる部分が燃えるみたいに熱くて、全身が固まる。


「り、莉央さんっ……?」


「ん、なに?」


 何でもないように私の手を握ってくる。

 その自然さが逆に心臓に悪い。


「て、手……えっと……」


「ダメだった?」


 真横から覗き込むように聞かれて、

 その目に見つめられた瞬間――言葉が全部、喉にひっかかった。


 ダメなんて言えるわけない。

 むしろ、心臓の音でバレそう。


「……だ、大丈夫……です……」


 かろうじて出た声は情けないほど震えていた。


 その返事に、莉央はなんでもない顔で「そっか」と微笑む。


 だけど、手をつなぐ力だけは少しだけ強くなった。


「凛ちゃんの手、思ったより小さくて可愛いね」


「ひゃっ……!」


「こういうの、嫌いなら言ってね?  女の子同士で手をつなぐのは苦手?」


「……っ、嫌じゃ……ない、けど……」


「ふふ。じゃあ、そのまま」


 家が近づくのに、足はどんどん遅くなる。

 離れたくないとか、そんな図々しい気持ちじゃなくて。


 ――このドキドキの正体を、まだ確かめきれなくて。


 莉央は何も言わず、ただ私の手をあたたかく握って歩いてくれた。


 初めて触れた指先が、胸の奥まで火を灯す。

 とめられない鼓動が、静かな夜に響いていた。


 次の家の角を曲がると、すぐ私の家が見えてくる。

 いつもはほっとする距離なのに、今日は胸がざわつく。

 やっぱりまだ、この手を離したくない――なんて思っちゃうなんて。


「ここが凛ちゃん家?」


「う、うん……その、送ってくれてありがとうございます」


「どういたしまして。女の子1人の夜道は危ないからね」


 夜風に揺れる街灯の下で、

 莉央の髪がさらっと流れて、横顔がやたら綺麗に見えた。


 手はまだ、つながれたまま。


(そろそろ離さないと……いや、でも……いやいやいや、でもじゃなくて。落ち着け私!!)


 頭の中で自分にツッコミを入れていると、

 莉央がふいに私の手をゆっくり離した。


「……あ」


 声が漏れて自分でびっくりする。

 離された瞬間、手のひらが急に冷たい。


 そんな私の反応を見て、莉央がくすっと笑う。


「名残惜しそう」


「なっ……!?  ち、違います!  そういうんじゃ……!」


「ほんと?  私は、もう少しつないでたかったけど」


 またそんなこと言う!  心臓が破裂する!!


 うまく返事もできない私を見て、

 莉央は少しだけ屈んで目線を合わせてきた。


 距離が近い。

 近すぎる。


「じゃ、今日はゆっくり休んでね。また彩葉の家で会えるといいな」


「……っ、うん」


「おやすみ、凛ちゃん」


 その声が、耳の奥にずっと残る。

 まるで触れられたみたいに。


 私はふらふらと玄関へ歩き、鍵を開ける。

 背中に莉央の視線が刺さる気がして、ドアの前で一度振り返る。


 街灯の下で手を振る莉央が、

 映画のワンシーンみたいに綺麗だった。


「お、おやすみなさい!」


 ドアを閉める。


 かちゃり、とロックがかかった瞬間――


「………………っっ!!」


 腰から力が抜けたみたいに、へなへなと床に座り込んだ。


 心臓が痛いほど早い。

 顔は熱いのに、手はまだあたたかさが残ってる。


「なにこれ……なにしてんの私……!!」


 両手で顔を覆って、床でじたばたと転がる。


(やばい……ほんとにやばい……莉央さん、距離近いし、あんなの反則じゃん……! ていうか私、なんであんなにドキドキして……)


 思い返すたびに胸が焼けるみたいに熱くなる。


「無理……落ち着けるわけない……!」


 玄関の冷たい床が、逆に現実感を奪っていく。


 ――ほんとに、どうしよう。

 莉央のこと、どの瞬間も忘れたくない。


 いや、忘れることなんてできない。


 心臓の音がなかなか止まらないまま、

 私はしばらく玄関から動けなかった。

 

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