70話 どっちが欲しい?
今の大爆笑
これが”人気主義”だ
こうやって
ウケの良い言葉を使って
面白さで人気を取って
音も歌声も
ごかましている
俺は
そんな物が大嫌いだ
”・・・・・”
静まる
10万人のオーディエンス
バラド「みんなに聞きたい
いつから
音も歌声も
無視するようになった?
秘書 チェリ
チェリ「大きな賭けではありませんか?
ワスア社長?
ワスア「・・・」
チェリ「このライヴが失敗すれば
ワンモア事務所は潰れ
この国の音楽ファン
すべてを敵に回しますよ?」
ワスア「革命なんて
それでも前を進む
人間にしか
起こせないのだよ?
ワスア「まあ
バラドの夢に
夢を見てしまった
私の想いが
そうさせた
ワスア「チェリ?
何かあった場合の
社員たちの保証は」
チェリ「わかってますよ
社長は
そこまで考えて
くださっている
私は
全力でサポートするだけです
ティア「ここで突きつけますか
音も歌声も無視するようになった
この国の音楽の実状を」
ヴェル「たしかに
今じゃ音と歌声は
”ついで”みたいな物だ」
リエル「ライブを成功させたいだけなら
こんな挑戦的なこと
オーディエンスに聞きはしない」
いいの?
ツナグ「え?」
ユミ「・・・まるで
大金 払って
説教を聞きに
来たようなものじゃん?
ステージ
バラド「リズムカルなダンスナンバーに
ロックを取り入れた1曲目
”なんかズレている”
普通なら盛り上がって
大歓声が起こるはずだ
”普通ならな”
だが起きなかった
聴いたことがなかったんだろ?
本物の音と歌声を?
バラド「だから圧倒されて
心が激しく騒いで
言葉が出なかった
ちがうか?」
”・・・・・・・”
バラド「これが
これが
本物の音と歌声だ
この国が
みんなが
ずっと
無視してきた本物だ
バラド「俺は
媚びることも
へつらうことも
機嫌を取ることも
ウケを狙うことも
バラド「そういうこと
しねえからさ?
ただ
俺ら
ワン リアル アクションに
できるのは
本物の音と歌声を
みんなに届けることだけだ
バラド「それを
受け入れるか否定するかは
ライヴが終わった後に
みんなが決めてくれ?
俺は
みんなの答えを待っている
”・・・・・・・・・”
バラド「じゃあ
バンドメンバー?
2曲目 やろうか?
ネア「さあ
はじまるよ?
2曲目は
「伝えたい想い」
私の心 どうしてくれるの?
ぐちゃぐちゃにして許さないよ
貴方の居ない頃なんてもう怖くて戻れないよ
愛している
想いが止まらないんだ
貴方と出逢ったせいだね
どうして愛しくさせるの?
何も想ってなかったのに
そっと抱き寄せて
耳元で囁いたんだ
ズルいよ?
私の想い どうしてくれるの?
めちゃくちゃになって切ないよ
私の全部あげるから
貴方のすべてをちょうだい?
ずっと
何度でも呼び続けるよ
愛しい貴方の名前を
手を繋ごう?
星空の下歩こう??
ずっと居てね?
つかまえていてください
愛しさで溢れている
今日は何を話そうかな
気づけば貴方を考えている
こんなにも変えられてしまった
じっと見つめたら
みとれてくれたんだ
かわいい人
どうすればいい?
この想いは止めることができなくて
貴方に伝えたい届けたい
私の この想い
どうしよう
貴方の色に染まっているよ
どうしてくれるの?
伝わった 私の心?
こんなにも
ぐちゃぐちゃなんだよ?
届いた 私の想い?
こんなにも
めちゃくちゃなんだよ?
切ない
「愛している」それが私の想い
貴方は何て答えてくれる?
こんなにも震えている
返事を聞くのが怖い
お願い
貴方に伝えられた
「愛してる」って言ってよ?
やっぱりズルいよ?
私は怖かったんだよ?
こんなだったら
早く言えばよかった
イタズラしちゃおう
困らせてあげるね
抱きしめさせて?
今夜は冷えるから
そっと寄り添う
「温かいね」って呟いた
ギュっとしてね?
愛されていると感じさせて?
”・・・・・・・・・”
ティア「心の核心を
棘のように刺しておいて
甘いスローバラードの
恋愛歌でギャップを
ねらったのでしょうかね」
リエル「オーディンエスの反応は?」
ヴェル「困ってるんじゃねえの?
感動したくても
感動していいのか?
そう思わされるような
空気なんだが?」
ツナグ「オーディエンスに
問われているんだ」
ユミ「なにを?」
ツナグ「どっちが欲しい?って
”人気主義”か
”本物の音と歌声”か
ツナグ「それを
突きつけられて
問われているから
大多数で安心したい
オーディエンスは
素直な反応が
できないんだよ




