61話 この国を音楽の頂点に君臨させるために
翌朝
カナデとの日課
神社でのセッションを終え
学校へ向かう
カナデは
いつも以上に
僕を慕ってきた
慕うと言うか
怯えてるから
かまってほしい
そんな感じだ
怖いのだろう
僕の居ない誰かのバンドで
奏でることを
そこで
超一流アーティストにしか
奏でることを許されない大舞台
”ワースクル・アーク”での演奏
10万人を収容できる
チケットは すでに完売
トッププロバンドの
”レア・シーン”の
バンドリーダー
バラド・シューターが
主体となって
バンドメンバーを集め
本物だけを集めた
本物の音を出せる
本物のバンド
”本物の音を聴かせて世界を変える”
その売り出し文句に
ファンは殺到した
さらに
バラド・シューター
シーン・ユア(ネア・シーンスの
レア・シーン時の名前)
そのネームバリューも
さらに人を集めたのだろう
だけど
それだけで
こんなに人が集まるのか?
何か
とんでもない話題性を
利用したような感じがする
学校
そこに到着すると
学校中が騒ぎになっていた
まるで誰かを探しているような
誰かを待ってるような
ザワつきを感じる
いったい何が?
カナデ「・・・どうしたんだろう?」
カナデ!
マザル君!
こっちに来て!?
カナデ「・・・え?」
ユミに引っ張られ
走って校舎裏にやってくる
・・・校舎裏
いまは
その場所に拘ってる
場合ではなさそうだ
カナデ「どうしたのユミ?
学校中もおかしな雰囲気に
なってるけど?」
ユミ「これを見て!?」
ツナグ「・・・え?」
スマートフォンの
動画が再生され
そこには
ワン リアル アクションの
バンド喫茶での演奏が
映っていた
そこに
カナデの姿も
その動画のタイトル
「これが本物の音たち!!」
ユミ「もうすでに
100万再生されてるの!
そこにカナデの姿も映ってるから
学校中が大騒ぎになってて!!」
ツナグ「・・・もしかして
・・・みんな
・・・カナデに
・・・殺到するんじゃ」
ユミ「カナデは!
今日は
帰った方が良いかも!?
カナデ「・・・え?」
ユミ「先生には
私から事情を説明するから!
見つからない内にはやく!?」
同時刻 ワンモア事務所
これも
計算したのかね?
バラド・シューター?
ワスア社長と
バラドが話し合いをしている
昨夜の
バンド喫茶での演奏が
何者かによって
動画として
ネットに拡散されていた
バラド「そのようなことが
あるだろうとは思いましたが?」
ワスア「”わざと音を見せつけた”か?
これを狙って」
バラド「この国の
音も歌声も聴いていない
哀れな狂信者共の
目を覚まさせる
きっかけにできればと」
ワスア「そして止めは
二か月後のワースクル・アークでの
本物の音を国中に聴かせることか」
バラド「ええ
”人気主義”を ぶっ壊し
人々の意識改革をします
バラド「音と歌声をちゃんと聴いて
”本物だけが台頭できる国”
その礎に
ワン リアル アクションは
なります」
ワスア「それで
そうなれた暁には
君は何をしたいんだね?
バラド・シューター?
バラド「そうして
この国を音楽の
世界中の頂点に
君臨できる存在にする
ワスア「・・・」
バラド「それが俺の使命です」
ワスア「・・・
・・・とんでもないな
ライヴハウス リアルロスト 楽屋
そこに
その動画を見ていた
”レア・シーン”のメンバー
ワトソ サトル ラマが
複雑な想いで
ワン リアル アクションの
本物の音を聴いていた
ワトソ「・・・まるで
・・・別次元だな
・・・俺たちの音が
・・・陳腐に聴こえる」
サトル「わかっちゃいたけどな
バラドが我慢して
俺たちに合わせて
音のクオリティを
落としてるってことは」
ラマ「・・・俺たちは
・・・はじかれたのか
ラマ「・・・俺たちの音じゃ
・・・満足できなかったのかよ」
サトル「わかってやれよ?
本物って言う生き物は
そういうものだ?
どうしても
同類が欲しくなってしまう」
ラマ「・・・だけどさ
・・・疎外感
・・・ハンパねえな
翌日
カナデは
学校に通えなくなった
特別措置として
これを単位が失わないように
することを
職員会議で話し合ったらしいが
そうなるかは わからない
カナデは
部屋に引き籠るようになった
そして
責任として
ワン リアル アクションの
音楽活動には参加している
ツナグ「・・・なんで
・・・こんなことに?」
カナデは
いつも笑ってた
いつも笑顔だった
その微笑みが
カナデと言う人物を
表していた
ツナグ「・・・でも
・・・今のカナデは
・・・笑っていない
ツナグ「・・・どうして
・・・こうなった?」
机に向かい
ノートにペンを走らせる
今の想いを感情を熱を
そのまま言葉にして
ツナグ「・・・」
ツナグ「・・・僕は
・・・何を
・・・やってるんだ?
ツナグ「・・・良い歌詞のネタになるとか
・・・そんなこと
・・・考えるなよ




