60話 君の前だけだよ私が素顔で居られるのは?
ワン リアル アクションの
メンバーが家に帰っていく
シアンに
「夜も遅いから家まで送ろうか?」と
言われるが
私は
ひとりになりたい気分だった
22時 帰り道
ワン リアル アクションの
みんなはあり得ないほど
盛り上がっていたけど
私は
その対極を行く
カナデ「だって私は
”人気主義”を
ぶっ壊すとか
超一流のアーティストにしか
演奏をゆるされないような大舞台
”ワースクル・アーク”での
演奏を望んでるわけではない
カナデ「・・・私は
ツナグの歌うとなりで
音を奏でたかっただけの女の子
カナデ「・・・こんなのは
・・・望んでいない
今日は一日中
仮面を被っていた
この
価値ある素顔を
仮面で隠して
偽りの自分しか演じられない
カナデ「・・・永遠に
・・・抜け出せない
・・・プロローグ
・・・いつまで
・・・続くの?
家に帰って
お風呂に入って
洗顔クリームで
日焼け止めを落として
自分の部屋に入って
パジャマに着替えて思う
カナデ「・・・私って
・・・なに・・してるんだろう?
カナデ「・・・それでいいの?
それでいいの?
そんなことのために
生きてないでしょ?
カナデ「この価値ある素顔を仮面で隠して
偽りの
自分しか演じられない
カナデ「・・・ツナグの
ライヴハウス
リアルロストで
1曲目に歌った
歌みたいだね
カナデ「・・・もしかしてツナグって
こんな想いしながら
生きて来たの?
鬱々として
世界が広がってたもんね
カナデ「・・・ツナグ?」
自分の部屋の窓に
コンコンとノックする音が聞こえる
カナデ「・・・え?」
ベッドから飛び起き
急いで窓を開けた
カナデ「・・・」
ずいぶんと遅かったな?
カナデ「・・・
・・・ツナグ?
ツナグ「どうだった?
ワン リアル アクションの
みんなとは?
うまくやれそうか?」
カナデ「セッションしたよ?」
ツナグ「え?いきなり??」
カナデ「みんな
すごい喜びを露にしていた
ネアなんて
出逢った中で
最高の笑顔をしていた」
ツナグ「・・・」
カナデ「バンド喫茶でセッションしたんだけど
ここはライヴハウスですか?と
思ってしまうような盛り上がりだった
もう すごかったんだよ?
オーディエンスの盛り上がりはわね」
ツナグ「・・・その割には
悲しそうな
表情をしているのな?
カナデ「・・・」
ツナグ「参加したこと
後悔してるのか?」
カナデ「・・・ツナグ?
・・・なんで
・・・止めてくれなかったの?
ツナグ「・・・」
カナデ「・・・私は
・・・止めて・・欲しかったな
ツナグ「・・・
・・・気づけなくて
・・・ごめん
カナデ「いいよ
人間エスパーじゃないんだから
人をすべて理解するなんて無理だよ?
私だって
ツナグがどんな想いで
人生を生きてきたのかだって
ツナグ「・・・」
カナデ「・・・ようやく
・・・気づいたんだから」
ツナグ「気づいてくれて
ありがとうな?」
カナデ「ねえ?
歌って?
カナデ「ツナグが
リアルロストで歌った
1曲目の歌
たぶん きっと
今の私がその想いだから」
私の気持ちを知ってほしい
君に伝わって欲しい
私の 今の想いを
ツナグ「わかったよ
タイトルは
「この価値ある素顔を
仮面で隠す必要なんてない」
世界は
いつだって そう
悲しい物ばかり
どんな時だって
裏切りが付き物
泣いて泣いて
いつも泣いて
涙なんて安い物
こんなにも流してる
価値なんてあるわけない
永遠を奏でるプロローグ
いつまでも
前に進めない
この価値ある素顔を
仮面で隠して
偽りの!
自分しか演じられない
それでいいの?
そんな物のために
生きてないでしょ?
その仮面壊して
本当の素顔を見せて?
誰が止めたって
走るのをやめない
だって
私は美しいの!!
・・・もう
・・・止まれない
この歌詞の続きを
歌おうとしたが
カナデ「次のステージは」
ツナグ「カナデ?」
カナデが
この先を歌うらしい
僕は
カナデの歌に
耳を傾けた
カナデ「・・・
次のステージは
もっと自由に生きられる
もう縛る物なんてない
涙の分だけ素直になるの
次のエピローグに進みたいのだから
そう!
私は!
美しいの!!
仮面なんて
要らなかったんだ!!
カナデ「・・・
・・・壊しちゃえ
ツナグ「・・・カナデ」
否定された分
世界を壊して
欲しかった分
欲望を出して
誰が止めたって
走るのをやめない
だって
私は美しいの!!
・・・もう
・・・止まれない
カナデ「・・・そう
・・・このまま
・・・壊しちゃえ
アァァァァァァァァァァア!
アァァァァァァァァァァァ!!
カナデ「・・・」
ツナグ「・・・」
カナデの
感情が伝わってくる
いまが
その想いだからなのか
怖いくらいに
歌に感情を乗せて
魂の叫びをしてくる
ツナグ「・・・似合わないよ?」
カナデ「・・・え?」
ツナグ「・・・カナデに
カナデに
そんな感情は
似合わないよ!?
想いのままに
感情のままに
叫んだら
気づいたら
こんな言葉を発していた
カナデは
いつも笑ってて
楽しそうにはしゃいでて
そんなカナデしか
見て来なかったから
僕の人生のほとんどで
僕のとなりで笑うカナデを
ずっと見て来たから
耐えられずに叫んでいた
悲しそうにしているカナデに
咄嗟に叫んでいた
カナデ「・・・ツナグ
・・・どうすれば・・いい?
ツナグ「・・・」
カナデ「・・・私は
・・・どうすれば」
ツナグ「続けるしかないよ?
やめると違約金も
発生するんだろうし
助っ人なんだから
そう長く続かない」
カナデ「・・・そうだよね」
ツナグ「・・・だから
僕の今の想いを
いま ここで
歌ってもいい?
カナデ「・・・え?」
ツナグ「悲しんでるカナデに
届けたい歌があるんだ」
カナデ「・・・うん
・・・届けて?
ツナグ「そうするね」
ツナグ「タイトルわ
「貴女には笑ってて欲しい」
ツナグ「・・・
あぁ
僕がそうさせた
貴女の笑顔を
消してしまった
何も気づかずに
もうイヤだって
悲しませたくないって
そうすると誓ったはずなのに
貴女を傷つけた!
どうすれば良かった?
何が正解だった?
貴女を
救う方法を
どうすれば
貴女は笑うことができる?
いつもみたいに
はしゃいでくれる?
・・・笑って
・・・くれるのなら
カナデ「・・・ツナグ?」
深い後悔が
襲ってくる
なんで僕は
引き留めて欲しかった
カナデに
”行ってらっしゃい”と
言ってしまったのだろう?
でも
もう取り返しがつかないこと
だったら
もう取り返せないのなら
いま
僕にできることは
ツナグ「・・・カナデには
・・・笑ってて欲しい
カナデ「・・・ツナグ」
もう
こうやって
もう
そうやって
もう
手段を選ばないよ?
僕は
貴女が笑ってくれるのなら!
僕をあげたい
すべてをあげたい
もう
傷つく貴女を
二度と見たくない
貴女には笑ってて欲しい
・・・僕が・・貴女を救う
カナデ「・・・ツナグ」
ありがとう
選んでくれて?
僕のとなりで笑ってて?
貴女が居るのなら
僕も笑えるから
笑顔になれるから!
貴女には笑ってて欲しい
僕の人生には
いつも貴女がとなりに居る
ここに居るよ?
貴女も僕も
カナデ「・・・」
もう
こうやって
もう
そうやって
もう
手段を選ばないよ?
僕は
ツナグ「・・・」
貴女が
笑ってくれるなら
カナデ「・・・
・・・ツナグ
ツナグ「何があったって
どんな運命が待ち受けてたって
カナデのとなりには
僕が居るから?
カナデ「・・・」
ツナグ「カナデには
笑ってて欲しい
カナデ「・・・
この溢れる感情は何?
さっきまで
溜息しかついてなかったのに
さっきまで
悲しみしかなかったのに
なんで私は今
カナデ「・・・幸せで
・・・いっぱいなの?」
ツナグ「カナデ?」
カナデ「・・・フフフ
・・・やっぱね~♪
ツナグって~
いつも私に
笑顔をくれるね~♪
ツナグ「カナデ?」
カナデ「私には
笑ってて欲しいの~?
私のとなりには
いつもツナグが
居てくれるの~?♪」
ツナグ「・・・お、おぅ」
カナデ「だったら~
18歳になった
お互いの誕生日に
役所に
婚姻届け
提出しに行こうか~?♪
なんで
そうなったああああ!?
カナデ「そうしたら~
私は一生
笑うことができるからね~♪」
ツナグ「なんか!
カナデの悲しい表情も
このための伏線に
思えてきたあああああ!!」
カナデ「フフ~♪
やっぱり私は
君の前では素顔で居られる




