58話 確信
盛り上がるバンド喫茶
止まることの知らない大歓声
”ワン リアル アクション”の
メンバーたちは己の視界に
メンバーたちの姿を映した
初めてだった
誰にも理解されない
本物であり過ぎて
迷子になっていた
歌声と音たちが
初めて交われた奇跡だった
ネアは
”レア・シーン”の
本来のバンドよりも
いつも以上に歌声が出て
感情が昂るのが止まらない
それが歌声になって
出てしまった
明らかに
いつも以上の
クオリティが出せてしまって
ネア自身も驚いている
ザファイドも
今まで彼のギターは
クオリティが高すぎるゆえに
誰とも音が交われなかった
交われなかった
独りぼっちの
本物の音のギターが
初めて誰かと交われた
孤独なギターが
初めて独りではないと知った
シアンに限っては
迷っていた 戸惑っていた
”壊し屋”の自分を
受け入れてくれた
”欠けている”のメンバー
彼らに罪悪感があるのか
ワン リアル アクションの
音の交わりに魅了されている
複雑な想いが
心を駆け巡る
20人ほど収容できる
ここのバンド喫茶では
オーディエンスの
盛り上がりはあり得ないほど
「ここは本当に
バンド喫茶なのか?
どこかの
ライヴハウスの
人気バンドの曲の終わり
そうではないのか?」と
疑ってしまうほどだった
これが
ライヴハウスだったら
どれほどの彼らの感情が
叫びをあげたのだろう?
ゆるされるのなら
感情を止めることを
やめたくない
「この音楽を
無料で聴けていいのか?」
ひとりのオーディエンスが
それを言葉にした
もはや
この1曲だけで
数千円 払う価値は
充分にあるだろう
そして ひとり
不敵な笑みをうかべ
今にも解き放ちたい感情を
必死で我慢している
人間が居た
バラド・シューター
この
ワン リアル アクションを
メンバー集めから立ち上げまで
主導してきた
バンドリーダー
彼は確信してしまった
バラド「・・・これなら
・・・この
ワン リアル アクションなら!!
この国の”人気主義”を
ぶっ壊すことができる!!




