50話 ここにあるのが探し求めた裏切らない音
なんだ?
このドラム
鼓動の高鳴り
止まらない興奮
身体中に響くサウンド
ライヴハウス リアルロスト
バラド・シューター
初めて
俺以外に
本物を見つけた
こいつが
トッププロバンドの
スカウトを断って
己のバンドで
勝負しようと言う
前評判で
デビューする前から
成功が約束されてるようなバンド
”レア・シーン”のリーダーか
バラド「誰を連れて来たネア?」
ネア「ねえ?
この人の音を聴いてみない?」
ワトソ「・・・そいつ
・・・壊し屋って有名の」
シアン「・・・
・・・壊し屋か
ネア「シアンの音は本物だって噂」
シアン「バラド?
てめえ本物だな
俺もバンドに入れろよ?」
バラド「・・・」
シアン「(・・・なんだ
その
困ったような表情わ
バラド「そいつが
”わかるやつ”なら
大歓迎なんだけどな」
シアン「(わかるやつ?)」
バラド「バンドマンなら
”二人で埋め合う欠けたもの”
鳴らせるだろ?」
シアン「いちおう」
シアン「(・・・やっと
本物と
音合わせができる!!
そして
本物と音を合わせた
・・・はずだった
シアン「(・・・どういうことだ?
違和感だらけだ)」
メンバーの音を
聴いているシアン
シアン「・・・おいバラド?
なんで
音のクオリティを
”あえて”下げてやがる!?
バラド「・・・」
シアン「ネア!?
てめえも本気で
歌ってねえだろ!?」
ネア「あちゃ~
”わからないやつ”だったか~」
シアン「何を言って!?」
バラド「わからないのか?」
シアン「・・・まさか
てめえかワトソ!?
シアン「・・・てめえが
てめえだけが
本物の音を出せねえから!
皆が
音のクオリティを
下げてんだよ!?
ワトソ「・・・え」
出て行けシアン?
シアン「・・・え?」
バラド「その言葉で
どれだけ
人が傷つくのか
わからないのか?
シアン「・・・」
バラド「バンドってのわな
音だけでするものじゃ
ねえんだよ?
バラド「それが
わからないから
”壊し屋”なんて
言われるんだ」
シアン「・・・」
バラド「シアン?
帰ってくれ
ライヴハウス前
ネア「シアンは本物だよ?
君みたいな音を出せる人は
ほぼ居ない」
シアン「だったら!
何が不満なんだ!?」
ネア「・・・
本物が本気を出せる時は
メンバーが本物しか居ないときだけ
シアン「・・・」
ネア「”わかる本物なら”
アンサンブルさせるために
音のクオリティを落とす」
シアン「だったら!
あとひとり
見つければいいだけだろ!?」
ネア「見つかるのに
何年かかるの?
何十年かかるの?
君も まったく
出逢えなかったのでしょ?」
シアン「あんな!
クソみたいなギター首にして
全力で探せばいいだろ!?」
ネア「・・・
そうやって
人の痛みを
想像さえできないから
人の痛みが
わからないから
シアン「・・・」
ネア「だから
どこのバンドでも
”壊し屋”って
言われるんだよ?
ネア「もう一度
ちゃんと聞いてね?
バンドって言うのは
音だけでするものでは
ないんだよ?
帰り道
深い悲しみを負った
そんな顔をしてますね?
シアン「・・・ティア
・・・俺わ
・・・”欠けている”のか?
ティア「・・・」
シアン「・・・人を大切にしないで
・・・傷つけてばかりで」
ティア「今さら
気づいたのですか?
あなたに解散を告げられた
あのとき
私が
どれだけ傷ついたか
少しでも考えましたか?
シアン「・・・」
シアン「・・・ごめん」
ティア「まあ
欠けているのなら
埋め合えばいいのでは
ありませんか?
シアン「・・・え?」
手を差し伸べたティア
シアン「・・・」
ティア「私と また
バンドを
組みませんか?
シアン「・・・」
シアン「・・・・・・・」
シアン「・・・・・・・・・なんで
・・・俺は
・・・裏切ったのに
シアン「・・・俺は
・・・お前を
・・・傷つけたのに
シアン「・・・なんで?」
ティア「私にも
わかりません
ただ
心に素直になれば
また あなたの音を
となりで聴きたいのです
シアン「・・・」
ティア「正直
腹立たしくないと言えば
ウソになりますがね」
シアン「・・・
泣きながらシアンは
「・・・ありがとう」と言葉にした
ティア「本物だけのバンドは
現実的ではありません
だったら
裏切らない
音を探しましょう
回想 終了
現在
リエルの大豪邸 地下室
少しは
みんなの音を
信じてみては
どうですか!?
シアン「・・・ティア」
ティア「あのとき言ったでしょ!?
裏切らない音を探すと!?
ここにあるのが
裏切らない音ですよ!?
ティア「この音は!!
みんなの音は
裏切らない!!
シアン「・・・」
ヴェル「怖くて本気を出せないって
イキってた割には臆病者だったんだな?」
リエル「信じてみて?
みんなの音を」
カナデ「私も
みんなも繋ぐから!!」
ティア「ここにある
みんなの音を信じればいい!!」
シアン「・・・みんな」
もう一度だけ
みんなとならば
シアン「・・・ツナグ?」
ツナグ「やり直そう?
もう一度だけでいい
みんなとならば
繋げる!!
シアン「・・・ツナグ」
ツナグ「さあ
続きを鳴らそう?
シアンと
みんなの本気の音で




