31話 ヴェルがギターをナラシた理由
俺の名前はヴェル・ナラシ
さいきん
親友が元気になった
リエルの大豪邸 地下室
ヴェル「学校とか
考えてるんだって?」
リエル「まあ
元気になったし
主治医も
”寛解”じゃなくて
”完治”に見えると
言ってたし」
ヴェル「一目でわかるよ
いまのリエを見てたら
病んでた時とは違う」
リエル「本当
ツナグくんには
感謝しないとね
何もなかった僕に
全部モノクロだった世界に
彩りをくれた
リエル「・・・世界って
こんなにも
輝いていたんだ
ヴェル「・・・
(こんな奇跡あるのか?)
ヴェル「・・・初めて
神様は居るって
信じたくなったよ
リエル「僕もだよ?」
リエル「せっかくだから
鳴らしてよヴェル?
僕も彩るから」
ヴェル「あぁ」
ギターと
キーボードが
重なり合う
ヴェル「・・・」
10年前
俺がギター鳴らす理由
正直
楽器ならなんでもよかった
いつも独りで
何もやることも
できることもなくて
リエル「僕には
こんなことくらいしか
できないから」
そう言って
キーボードを弾いて
いつも寂しそうに笑う
リエを
元気づけたくて
ヴェル「なあ?
これ弾いてみてもいいか?」
目の前にある
リエの家にあった
ギターを手に取った
精神障害者で
身体が悪くて
1日中
家で
キーボードを弾くくらいしか
できないリエが
喜びそうなこと
俺に考えられるのは
ヴェル「・・・」
誰かが
リエの音の彩りに
音を重ねる事
リエル「・・・」
ヴェルの鳴らした
ギターの音を
聞いているリエル
思うがままに
鳴らし終えた
リエル「・・・」
ヴェル「よく
わからねえな」
リエル「・・・
・・・すごい
リエル「すごいよヴェル!?
何か心が震えた!!」
ヴェル「めちゃくちゃに
鳴らしただけだぞ?」
リエル「そうだろうけど
ヴェルの鳴らしたギターが
”これが俺だって叫んでいる!!”
ヴェル「何を言って?」
リエル「たぶんヴェルって
個性の塊なんだよ!
なんでもいいから
好きなように
鳴らしてみてよ!?
僕も
キーボードで
彩るからさ!!」
ヴェル「・・・お・・おぅ」
言われた通り
好き勝手に鳴らした
リエが
キーボードで彩る
ヴェル「(・・・おい?
こんなに
めちゃくちゃに
鳴らしてるだけなのに
まるで
あらかじめ創られた
曲みたいになってねえか?
ヴェル「(・・・どれだけ
彩りで世界を創るのが
うまいんだよ?
いや
リエに
創れない世界は
ないのか?
ヴェル「・・・もはや
セッションじゃねえかよ
リエル「・・・
うれしそうに
このセッションを
楽しむリエル
ヴェル「・・・
リエが
笑ってくれるなら
それが良い
8時間後 夕方16時
リエル「たのしかったー!」
ヴェル「・・・リエ?
お前 本当に
身体が悪いのか?」
リエル「・・・
”楽しむ事に飢えてた”
ヴェル「俺に
ギターを
教えてくれないか?」
リエル「専門じゃないから
基礎くらいしか
教えられないけど」
ヴェル「それでいい
なんか
このギターって楽器
俺の叫びを
代弁してくれるんだよ
音になって
叫んでくれる
ヴェル「こんなにも
感情を乗せられる物
あったんだな」
リエル「ヴェル」
ヴェル「・・・
今度からは
いつでも俺が
リエの彩りに
つきあってやる
回想 おわり
そうして
俺はギターを
鳴らすことを選んだ
はじまりは
リエが笑ってくれるなら
それが良かった
だけど
このギターと
一緒に
叫びたくなったんだ
ヴェル「・・・
”これが俺だってな”
翌日 学校 校舎裏
ツナグ「・・・また
・・・この場所」
ヴェル「なんか
校舎裏に
トラウマでもあるのか?」
ツナグ「・・・ないけど」
ヴェル「じゃあ
なぜ怯える?」
ヴェル「いまのリエなら
バンドをやれそうだ」
ツナグ「・・・良かった
・・・回復してくれて」
ヴェル「(バンドメンバーの都合よりも
リエの身体のこと
心配してくれるんだな)」
ヴェル「なあツナグ?
ベースとドラムは
もうアテがあるんだろ?」
ツナグ「ネアさんが
紹介してくれた」
ヴェル「たのしみだな
夢だったんだよ
リエと俺が
誰かとバンドを組んで
ヴェル「・・・いつか
誰かと
音を彩ることがな




