転生したけど世界が謎!
魔法のおかげで中世ヨーロッパぽいのに衛生は現代に近い謎の世界。しかも学園もあって外には魔物もいて、いかにもゲームや漫画、小説のファンタジー世界です!って感じの、そんな世界。
僕はそんな世界で伯爵子息をやっている。
どうしてゲームや漫画、小説って単語が出るかって?それは僕がこの世界に生まれる前は日本人だったから。
まあ所謂、異世界転生ってやつですね。なんで前世の記憶が丸々あるんだ。おかしいだろ。
今日もまた、キラキラなオーラを纏う王子様と、ツンツンな縦ロールお嬢様と、特待生な平民の女の子がやいのやいの言ってる場面が繰り広げられている。殿下なんか楽しそうですね。
かと思えば、その傍らで騎士見習いの男子たちによる聖剣がどうとかいう熱い友情物語が起こり始めてたり、ご令嬢達のトンチキ日常が行われてるし、いかにもカツラです!って感じのモジャモジャ頭がなんか騒いでるし。
……色んな要素を全部一ヶ所に集めすぎじゃない?ていうか原作は、何?おかしくない??NもBもGもあるんだけど??
これじゃ馬鹿のランチプレートだよ!美味しいもの全部一緒にしたら何が何だかわかんなくなるよ!!それぞれ世界独立してくれないかなあ!!!
っていうかご令嬢達がトンチキ日常したらだめだろ!!!平民ならギリわかるよ!?君たち爵位あるお家のご令嬢でしょう?!!?婚約者達どうして止めないの?!
転生……というか前世の記憶や知識さえなければマシだったまである。だって聖剣があるハイファンタジー世界で、色んな恋愛ジャンルも混ざってて、コメディもあって、なんか魔王っぽいものが復活するとかなんとかいう噂もあるんだよ?!
どれが本筋なのかわかんないから傾向と対策何も出来ないじゃん?!知識が邪魔だあ!!!
「お前、毎日百面相してて面白いよなあ」
「ですけれど、ツッコミなるものを入れなくなったので少し物足りませんね。色んな顔をしながらツッコミをしているのを見るのが楽しかったので」
「あー、わかるわ。まあ流石に学園だと殿下居るし考えたんじゃん?騒いだら厄介ごとに絡まれるって。あの殿下、変わったこととか賑やかなこととか大好きだからさ」
「……わたくし、その時期知らないんですの。今の百面相も面白いですけど、そのつっこみ……というのも見てみたかったですわ」
「大丈夫だ。きっと見れる。あいつはそういうヤツだから」
僕の幼なじみと、僕と彼の婚約者であるご令嬢達の会話なんてツッコミを入れたいのを必死に我慢している僕の耳には全く入っていなかった。
おわり。
続かない。
トンチキ日常を婚約者達が止めないのは面白いし実害がないから。学園外では婚約者達も混ざってトンチキしている。