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第十章 戴冠

第十章 戴冠


 ユーグは幕舎に大公達を集めて、今後の事を伝達した。

「東フランク王国を制圧した事で、私は旧フランク王国の全てを手に入れた、ここに新たな国『魔聖ローマ帝国』の建国を宣言し、私は『魔聖ローマ帝国皇帝』に就任する」

 この帝位は実態を持たない名誉位として、魔法歴813年以降フランク王国国王ルイ1世が死ぬまで称していた称号だった、だが、ユーグはこの称号を初めて実態のある帝位としたのだった。

「なお、戴冠式はアーヘンの魔法大聖堂で半年後に行う、諸侯の参列を期待している」

と追加した。

 アーヘンの魔法大聖堂は、150年以上前の魔法歴786年、カロリング朝フランク王国の初代国王シャルマーニュ(カール、チャールズとも言う)大帝……ローマ皇帝を名乗っていた……が建てた聖堂でシャルマーニュも死後ここに葬られている。

 ユーグが皇帝として戴冠式をするのに最も相応しい場所と言えるだろう。

この事を聞いて各大公は涙して喜んだ、そして今まで臣下では無く盟友としてユーグに協力してきた

ハンガーリー王のジョルトもユーグに臣従を誓った。

 これによりユーグはフランク王国の最盛期の領土の80%程を取り戻した事になる。

だが、ユーグの野望は、これで終わりでは無い、既にイングランドを含む異民族の治める近隣諸国への侵攻プランを考えているのだった。


 この宣言の後、ユーグは各大公に、領地に帰還してこの度の遠征に参加した将兵へ恩賞を与え、新たに領地を得た物はその経営に専念する事を指示して、自身もパリに帰還する事にした。


 パリでは戦勝の報告を聞いたマロツィアが、ローマ帝国の故事に倣って『凱旋門』の建築に取り掛かかり、事前にユーグと打ち合わせた通りに、用済みとなったルイ4世の王位を剥奪して、その母であるエドギフと共にイングランドに追放する事を決めている。

 この時、イングランド国王のアゼルスタンはパリに捕虜として幽閉されていたが、イングランド側が身代金のデナリウス銀貨400万枚とアゼルスタンとエドギフの妹エディルドを人質に差し出して来たので、同じ船に乗せてイングランドに返却している。

 だが、イングランドから迎えに来たこの船はセーヌ川を下り、カレー海峡に到達した所で潮流に流されて、反乱軍の拠点『デーンロウ』に漂着して、それ以降三人の消息は歴史の舞台から消滅した。


 人質として送られて来たエディルドはこの年19歳、イングランドでは貴重な魔術師で治癒魔法師だったが、イングランド王家では冷遇されていた。エディルドと謁見したマロツィアは即座にこの娘を夫ユーグの妾とする事に決めた。髪の色が赤毛だった以外は非の打ちどころの無い容姿をしていたからだ。

 マロツィアは正妻として夫ユーグの大魔術師としての資質を残す子供をできるだけ多く産ませる事が重要な任務だと考えていたからだ。

 そして、これはユーグがドイツから連れ帰ったハインリヒ王の娘ハトヴィヒも同様だ。

 ユーグが帰還したその夜に事情を聞いたマロツィアはベッドの中でユーグに

「旦那様、それは良き御判断でしたね、その娘に早く手をつけて子供を産ませ無いと」

と言い

「おいおい、まだ14歳だぞ、早すぎるだろう」

「何を仰いますか、私が最初の子を産んだのは15の時でしたよ」

と言ってユーグを呆れさせた。


 またエディルドと最初に面談した際にユーグは彼女が縮れた赤い髪を恥じている(この頃イングランドでは赤髪は敵であるヴァイキングの神トールの子として忌み嫌われていた)のを知り、魔法で体内エーテルを変換する事で、縮れた赤髪から真っ直ぐな茶色の髪へと変えてやっている。

 エディルドは幼少期から抱えていた、長年のコンプレックスが解消された事から敵として意識していたユーグに対して、生涯の忠誠を誓う事になる。

 ユーグはこれを受けて、エディルドとベッドを共にして妾としたが、マロツィアの進言により、これ以降ルクレチアは第二夫人、エディルドが第三夫人、ハトヴィヒは第四夫人と待遇する事になる。

 魔法力のあるエディルドとハトヴィヒの二人はユーグの指導で、ルクレチアと同様に攻撃魔法を取得してそれぞれ宝剣を与えられて、魔術師として強力な戦力になって行く。 


 アーヘン魔法大聖堂でのユーグの『魔聖ローマ帝国皇帝』の戴冠式が挙行される日が近づいた。

既に、旧フランク王国の公爵、侯爵、伯爵が一堂に介している。

 ユーグはこれを機会に旧西フランク王国、東フランク王国、中央フランク王国で微妙に扱いが違う爵位を統一する事ににした。

 公爵は本来はローマ時代から続く郡の長官と軍の地方司令官、異民族の族長や首長に与えられた位だったが、東フランク領では大公として王並に権限を有す様になっている。

 ユーグはこれを本来の形に戻し、大公と言う呼称を廃して、公爵は皇帝が任免した郡の長官で領地の軍権を預かる者とした。そして、各地の小国で王を名乗る者は全て公爵とする。

 侯爵はフランク王国国境を守る辺境伯がその呼称の元で、やがてユーグが以前そうだった様に辺境候と言う呼称から侯爵と通称される様になった、ユーグはこれを制度化し、公爵配下で複数の街や村を治める者を侯爵とした。

 伯爵は本来はローマ時代の属州の政務官の副官等の呼称で、それがフランク王国では都市を治める領主の地位を表す言葉になった。

 ユーグはこれを一定の人口以上の街の領主を伯爵とする事に決める。

そして、貴族の子息の内、武芸や魔法に優秀な者を『子爵』として、将来の公爵、伯爵候補として育成する事にする。

 更に新たに『男爵』位を設けて、騎士、魔術師の中から戦闘で功績を上げた者の地位とした。

 そして公爵の世襲は三代まで、三代目までに功績があげられない家は爵位を剥奪される事とした。

ただしこれに着いては皇帝の意向が最優先されて、特に国家に功績があった家はその限りでは無いとした。

 同様に侯爵と伯爵は二代まで、子爵と男爵は一代限りと言う事した。

 この件について、もちろん反発をする貴族もいたが、ユーグはそれらの者から容赦無く爵位を剥奪した。もちろん、この政策は貴族の力をある程度制御する必要が有ると言う、妻マロツィアの提案を受け入れた物だ。


 元々人口が5000人未満の小さな都市アーヘンの街に中も郊外も人でごった返している。

何しろ戴冠式に参列する、貴族達とその護衛が滞在しているからだ。

 そんな混雑の中、二組のカップルが誕生する、一組は平和的に、もう一組は喧嘩の中で

平和的に誕生したのは、ブルターニュ公ギョームとロタリンギア大公エルベールとユーグの姉アデルの

末娘リュートガルドだ。

 ギョームの父ノルマンディ公ロドルフとロタリンギア大公エルベールは宿舎として割り振られた、アーヘン魔法修道院に共に泊まっている。父の元に到着の挨拶をしにきたギョームはここで、リュートガルドと出会う、二人共瞬時に恋に落ちた様で、大貴族の子女同士の恋愛は簡単では無い、だが二人の父親はこれを大歓迎して、すぐに婚姻の約束を交わさせたのだった。

 話を聞いたユーグもこの婚姻を喜び、後日ユーグが立ち合いの元二人は結婚をする事になる。


 もう一組は、ダークナイト・ユーグとハンガーリー王のジョルトの妹マーリカだ、ダークナイト・ユーグは従者の兵士5名程と街の中の酒場で酒を飲んでいた、もちろん全員が黒色の具足と剣を身に付けたままだ。そこにジョルトの護衛としてアーヘンに来たマーリカも数名の従者を率いて同じ酒場に入った。

 このマーリカは男勝りで喧嘩早く、ハンガリー王の親衛隊として、自身とその部隊を黒染めの具足と武器で統一していた。

 この二組が狭い酒場でかち有った。

「なんだ、私たちの偽物が居るのか?」

と最初に言ったのはマーリカだ、それに答えたのはユーグの従者だ

「貴様らこそ、どこの誰だ、俺たちと同じ黒装束とは100年早い」

「なんだと」

「やるか?」

と従者同士の喧嘩になる、ただ誰も剣を抜かないのは、両者とも規律ある軍の証明だろう。

「ふーん、随分と兵を鍛えている様だな、俺の兵達といい勝負をするとは驚いた」

「そっちこそ、偉そうにしてないで、男ならかかってきな」

とユーグとマーリカの間でも殴り合いの喧嘩が始まる。

「女のくせにやるじゃないか」

「あんたも、悪くないね、でもこれはどうだ!」

 ダークナイト・ユーグは自他共に認める不器用な男だ、武芸以外には何も取り柄が無いと自分でも思っていて、広大な領地の経営は臣下に任せきりで、本人はユーグ大公の一の騎士を自認しているが、35歳を過ぎても浮いた話が一つも無い、何もしなくても女性には怖がられてしまう容貌と体格だからだ。

 当然、剣の腕もユーグ大公陣営ではNo.1と自負している。魔法を使わなければユーグ大公を凌ぐだろう。そのユーグとマーリカは素手で互角に戦っている。

 一方でマーリカも呪法の才能が無いので、剣の腕だけで父アールパード王に認められ、一軍を預かる様になった女性で、体格も兄を凌ぐので剣の腕だけなら兄より上と自負している。そんなマーリカなので

ハンガリーには目に叶う男は居ないので27歳の今も独身のままだ。黒染めの具足を愛用しているので『ブラック・ウオリアークィーン』と呼ばれている。そして素手とは言えハンガリーでは敵が居ない彼女と同等に戦える男が居る事に彼女は驚いている。

 お互いに狙ったカウンターのパンチがお互いの左頬を捉え、二人共同時によろめいて少し後退した。

「喧嘩は辞めだ、どうだ一緒に飲まないか、俺はブルゴーニュ大公・フランケン大公ユーグ、ダークナイトと呼ばれている。

「あんた、大公様なの?とんでも無いわね、私はハンガリー公国アールパード王の娘マーリカ、今の王ジョルトの妹、私も『ブラック・ウォリアークィーン』と呼ばれている」

「ハンガリーの姫様だったのか、それは失礼をした、従者達の非礼を詫びよう、みんなに奢らせてくれ」

「強くて潔いのね、こちらこそ従者の非礼を詫びます、その奢り喜んでいただくわ」

と結局、二組の黒衣の乱暴者とその従者達は、仲良く酒を飲み始めて、夜が更けていく。

 翌朝、ユーグとマーリカは酒場の二階の安宿で一緒のベッドに寝ている事に気づく。

「すまん、酒が過ぎた様だ、何も覚えていない、だがこうなった以上責任は取る、俺の嫁になってくれ」

と、まだ目が完全に覚めない状態で言われたマーリカは、自分に求婚してくる男など存在しないと思っていたので驚いた、そしてベットのシーツを見ると、明かに破瓜の後の出血の跡がある。

「あんたみたいな男が居るなんてね、兄貴に無理やり連れてこられて良かったわ、こんなガサツな女で良ければよろしくお願いいたします」

とマーリカはユーグの求婚を受け入れた。

 二人で酒場で朝食を取った後で、ダークナイトユーグはマーリカと連れ立って、ジョルトの宿舎大聖堂の「修室」に向かう、丁度朝食を食べ終えたジョルトはユーグを見て驚いた。

「これはユーグ卿、こんな朝早くから何用かな、妹も一緒とはまさか、敵襲か?」

と真剣な表情になる。

「いえ、ジョルト卿、その妹君マーリカ殿を私の嫁としたく、その許可をいただきに参りました」

とユーグが言うと、ジョルトは一瞬だが、全ての動きが止まり固まった。

「今、なんと言ったユーグ卿、すまんがもう一度言ってくれ」

「ですから、妹君を嫁に欲しいと」

「貴公、本気で言っているのか、こいつは我が妹ながら……」

とジョルトが言った所で、マーリカは剣の柄に手を置いたそして

「兄上、許すか許さないかどっちだ、返答によってはここで……」

「まて、落ち着けわかった許すも許さんも、こんなめでたい話は無い。ユーグ卿、不束な妹だかよろしく頼む、これでも根は優しい奴なんだ」

「おのれ兄上、まだ言うか!」

「いや、待てって、今許可しただろう、これは直ぐに大公殿下にお知らせしないと、貴族同士の婚姻だからな」

とジョルトがその場から逃げる様に、部屋を後にした。

「(しかしユーグ卿も物好きな、あの妹を欲しいとは、しかしこれは願ったり叶ったりだな、何しろ相手は

大公殿下の側近中の側近だからな)」

と喜んで、ユーグ大公に報告をする、大公はもちろん大賛成で、こちらのカップルも後日ユーグが立ち合いの元で結婚をする事になる。


 そんな中、トゥスクルム伯テオフィラットとローマ魔法教皇『ステファヌス7世』も到着した。

ユーグが、妻のマロツィアに

「今の教皇、名はなんと言ったかな、とにかくそいつも呼んで戴冠式に列席させろ」

と言い、

「まぁ旦那様、ステファヌス7世ですわ、忘れないでくださいませ」

と言う会話があった位、ユーグのとって魔法教皇は既にどうでも良い存在になっている。

 この時新たに作られた帝冠は、魔法教皇冠より更に豪華で美しく、中央には宝石で飾られた四芒星が

あり、サークレット部も黄金で各種宝石が埋め込まれている。

 試しに被ってみたユーグはこれを儀式用の冠として、普段用にはもっとシンプルで軽い物を作らせている、重くて首が回らなかったからだ。

 そしてマロツィアにもほぼ同じ意匠で小ぶりな、皇后冠を作成している。


 魔法歴930年 諸侯と教皇、各地の魔法大司教以下20000人が列席する中、戴冠式が厳かに行われた。

 ユーグは、ローマの皇帝に倣ったローブを身につけ、魔法教皇がクラウンピローに乗せて差し出す帝冠を受け取ると両手で頭上に掲げて、自ら自分の頭に乗せた。そして、ユーグの前に跪いたマロツィアに皇后冠を被せる。

 ユーグが自ら冠を被ったのは、この帝位が自らの力で手にした事を示す象徴的な意味と、あくまでも

魔法教皇より、皇帝の方が上位にあると言う事を示した物だった。

 これにより、『フランス大公、ネウストリア辺境侯、イタリア王、キスユラブルグント王、シュヴァーベン大公』を兼任したユーグは、ユーグ1世としてカペー朝魔聖ローマ帝国の初代皇帝となった。


 皇帝となったユーグの最初の仕事は遷都だ、ユーグが生まれて育ったパリは、新帝国の版図では西に寄りすぎているのだ、なので、ユーグは皇妃マロツィアの用意した官僚貴族達に命じて、新帝国の帝都として相応しい場所を探させていた。候補に上がったのは、旧ドイツ王国の西部、ライン川沿いの都市だ。

 ユーグは皇妃マロツィアを連れて、ライン川を下流から上流に船で遡る。ケルン、マインツ等を訪れて最終的に選んだのは、『マンハイム』と言う寒村だった。ここにはライン川沿いに漁村が有るだけだが、

周辺も開けていて街が発展する将来性が高い事が理由だった。

 直ぐに工事が始まり、皇帝の宮殿、魔法大教会、庁舎、広場、市場などが建築される、だがこの街には

この時代の街の街に当然の様に有った城壁は無い、魔法の発達により、城壁が無力化された今、作るだけ無駄だからだ。

 建築の指揮を取ったのは、ノルマンディにゼロから城塞都市カーンを建築したノルマンディ公ロドルフとその妻ジゼラだ、カーンの街を見たユーグが大いに気に入った為だ。

この街は帝都『ユーグウルブス』=ユーグの街と言う名称で呼ばれる様になる。


 魔法歴932年、帝都ユーグウルブスの大まかな設計と基礎建築をほぼ終えたロドルフは皇帝ユーグ1世に特別に謁見を申し込んだ。

 「陛下、このロドルフそろそろお暇をさせていただきたいと思います」

この頃、ロドルフは体の衰えを感じ、自分の死期が近づいている事をなんと無く感じていた。

本来ヴァイキングの戦士であるロドルフは、ベッドの上で死を迎えるのを潔しとしない、彼は戦場で戦って死にたかったのだ。

 その為、ノルマンディ公の地位を捨てて、一兵卒として、イングランドの地で戦っている同族デーン人の元で戦いたいと言う思いが日に日に強くなり、帝都の基礎ができた今、職を辞して海を渡るつもりでいたのだ、謁見の目的はその許可を求めての事だった。

 ユーグは即答を避け、ロドルフに息子ギョームを伴い参内する様に命じた。

一月後、領地ブルターニュから駆けつけたギョームは父ロドルフと共に参内する、玉座の前で片膝を付く二人の前でユーゴは話し始めた

「ギョーム、其方の父ロドルフから、ノルマンディ公の地位を辞して、バインキングの一兵卒としてイングランドのデーンロウに赴きたいとの申し入れがあった、貴公はその事を知っているか?」

「はい陛下、父は人生の終幕を戦場で戦士として迎えたいと希望しております」

「そうか、では私の意思を伝える」

「ロドルフ、ノルマンディ公からの引退は許可できぬ」

 これを聞いたロドルフは大きく落胆した。ギョームはそんな父の肩に手を置く。

「代わって卿に命ずる、ノルマンディ公として、兵を率いデーンロウに赴き、イングランド全土を平定せよ、ブルターニュ公ギョーム、副将としてロドルフを支えよ、ノルマンディとブルターニュの全兵力を持って可及的速やかに出陣せよ」

 皇帝ユーグ1世はそう言うと玉座から降りて、片膝を着いているロドルフを立たせると

「父の時代から、長年ご苦労だった、ヴァイキングの戦士として良き死場所を見つけられる様に」

と言葉を掛けた。

ロドルフは

「ありがたきお言葉、このロドルフ陛下にお仕えし有意義な人生を送らせていただきました、陛下ヴァルハラで先にお待ちしておりますぞ」

と涙で言葉を返して、ギョームと一緒に退出して言った。

 ユーグは「ヴァルハラか、『エリジウム』とどう違うのかな?」と心の中で思った。

 

 二年前に戴冠して以来、ユーゴは帝国の内政の安定に専念していた、だが、その間も周辺諸国の状況には注視をし続けている、そして国内がある程度安定した今こそ外征の時と決断したのだった。

 そのタイミングでのロドルフの申し出だ、これによって、ヴァイキング出身の全ての領民の忠誠心が大幅に上がる事は間違い無いし、アゼルスタン王の死去以来混乱が続いているイングランドの征服も可能だとすれば、最良のタイミングだったと言えるだろう。


 ユーグは更に、ブルゴーニュ公とフランケン公を兼ねるダークナイトユーグと、ハンガリー公でバイエルン公のジョルトを宮殿に呼び、帝国の北と東に広がる、スラブ人の国々への侵攻を命じた、最初の目標はて帝国領土に食い込む様に存在するボヘミア公国だ。

 ユーグは二年前の戴冠式の際にボヘミア公爵ヴァーツラフ1世に対して式典への列席と魔聖ローマ帝国への臣従を要求していた、当初ヴァーツラフ1世はそれを受け入れていたが、国内事情により列席を断り臣従を拒んでいる状況だった。

 ダークナイトユーグと、バイエルン公ジョルトはそれぞれ10000の軍を率いて、ボヘミア公国に侵攻する。

第一部終了です 読んでいただいてありがとうございました。

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