そろそろパクチーが虫なのか草なのか食品なのかはっきりさせておきたい
パクチー好きの人は見てはなりません……。
どうも、どうもどうも。
わりかしスキキライがないものです。
本日は、食品という認識が難しい物質について、おかしなことを語ってみようと思います。
よろしければお付き合いくださいな。
私はメシマズの家系に生まれたこともあってか、ほとんどスキキライというものがないんですよ。
なんていうんですかね…マズくても食べ切ることができるスキルが備わっているとでもいうんでしょうか。
味がなくても素材の風味を感じていただくタイプ、明らかに変な味でもこれはエネルギー源なのだと割り切って飲みこむことができると言いますか。
スキキライがないとボチボチ公言しているわけですが、食べられないものが全くないかというとそういうわけではありません。
生卵は蕁麻疹が出ることが多いので避けるようにしているし、小魚のカリカリのおつまみは歯茎に刺さってひどい目に遭ったので手を出さないよう心がけているし、チューイングキャンディは歯の詰め物が持っていかれるので極力視線を向けぬようよう努力をしておりましてですね。
そんな私がですよ。
はっきりしっかりバッチリキッチリガッツリ「これは嫌いだから食べたくない」と言っているシロモノがございましてですね。
食べるだなんてとんでもねえ、あれは食品ではない、食ってはならぬ存在なのだと思っていたりするわけなんですけれどもね。
まがまがしい草!
不愉快そのもの!!
どう考えても虫!!!
緑色の忌々しいやつ!!
たった一本で根こそぎハイテンションを握りつぶす憎たらしい存在!!
パ ク チ ー で す ! !
あれが、どうにもこうにも…嫌いなんですよ!!
とにかく…、ヤダ!!!
もうね、あれ、なんなんですかね?
ドクダミ草をはるかに超えてくる強烈で自己主張の塊みたいなインパクト、カメムシの大魔王さながらの近寄りがたいオーラフルMAX、避難必至の存在感、たかが草のくせに肉汁の芳香を徹底的にぶっ潰してきやがる厚顔無恥も極まれり―――!!!
……あいつを始めて口にしたのは、かれこれ10年ほど前の事です。
商店街のくじ引きで特等を引き当てホテルのディナー券をゲットした私は、意気揚々としゃれこんで、前菜やら食前酒やらをいただいておりましてですね。
オサレな皿の上にちょこんと乗った生ハムのサラダを、やけにでっかいフォークで突き刺して食べておりましてですね。
でもって、なんでもかんでも美味しくすべていただくという身に染み付いた習慣はその日もバッチリ機能しておりましてですね。
何の気なしに…、緑色の葉っぱ群を口に入れたらですよ。
……?
……!!!
げえ、なに、これ!!!!!!!!!!!!
明らかに食べてはいけないものの風味!!
絶対に毒だとしか思えない受け付けない感!!!
みるみる不愉快になっていく口の中!!!
胃袋の中が煮えくり返るような不快感!!!
だがしかし、出されたものを、口に入れたものを、一応食品として自分の目の前にやってきたものを、べえと吐き出すわけには…いかん!!!
律儀に『食べ物は粗末にしない』『出されたものは残さず食う』という己の信念を守り、ごくんと飲みこんだわけですけれども。
まあ―――――――――――――――――――――――――――――――――――、マズい。
とにかく、マズくてまずくて仕方がない。
慌てて口の中をリフレッシュしようと試みるも…、コーンスープは家族に飲み干されているわエビのカクテルは完全に匂いも味も負けてて勝負にならんわお高いコースだから卓上にしょうゆもソースもないわで、いつまでたっても最低最悪地獄のパクチー祭りはおさまりませんでしてね?!
もうね、牛フィレ肉のフォアグラのせも、ぜんぜん神々しく感じられなくてですね。
お上品な白身魚のなんか小細工してあるやつも、全く味の良さがわかりませんでしてね。
ワインをおかわりしても、ぜんぜん酔えませんでしてね。
デザートのバニラアイスも、どこそこそこらへんのカップアイス並みにしか思えませんでしてね。
2か月前からワクワクしてちょー楽しみにしていた豪勢なディナーが…丸つぶれ!!!
以降、私は本格的にパクチーがキライになったわけなんですよ。
何となくですけど、パクチーという存在は知ってはいたんです。カメムシのにおいがする香草だとか、好きな人は好きなやつだとかのレベルではありましたけど。
機会があったらちょっとくらい試してみてやってもいいかぐらいの気持ちで長らく生きてきていたわけですが、まさか…たった一本の生のパクチーの威力が、ここまで凶暴的で全宇宙を破壊するレベルだとは思いもしませんでした。正直なめてました、マジで勘弁してください……。
見たくない、食べたくない、近寄りたくない、どっか行け。
思い出すだけであの日の夜の口の中がよみがえる、げに恐ろしき…諸悪の根源!!!
ああ…リアルになんか気持ち悪くなってきた……。
あまりにもダメージがでかかったので、パクチーは食品ではないという認識で…目を背け続けてきましてね、ええ……。
食品だと思うから、マズいだの美味くないだのという感想が発生してしまうのです。
食品ではなく、虫だと思えば…心穏やかに暮らしていけるのだと信じてですね。
今後も、私はパクチーを虫として認識し、平和に生きていく所存なんですけれども。
何を隠そう、トムヤンクンとかは大好物だったり…。
アレだ、たぶん生のパクチーがダメなだけで、煮てあればわりかし好きではある可能性…?
それか、初めて食べたあのパクチーが、本当にパクチー界の大魔王だった可能性…?
イマイチ…スッキリしない感じではありますけれども。
5年くらい前にも、キャラコラボカフェで思いがけずパクチーに遭遇した時もばっちり悶絶したので、たぶん嫌いなのは間違い、ない……。
私にとってパクチーは『食べる事を躊躇すべき虫扱いの草』というポジションではあるものの、中には美味しく食べられるやつもいるという感じだということが判明したところで、本日はこのへんで失礼させていただきますですです、ハイ……。