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第15話(2)

 西区の迷宮に侵入した忍者のロバスとヤタは、

あっという間に最下層のホームへ辿り着くと、

レール伝いに緩やかに南東方面へ走り出した。

 一切の休みなく走っているというのに、

双方とも息一つ乱れていない。

 すると、まだレール以外は何も見えない

トンネル内だというのに、ヤタは急遽足を止めた。

 ロバスも何かを感知したようで、合わせて

その場に立ち止まる。

 ヤタが背中の黒い羽根を軽く羽ばたく様に振るった。

「何かおる…の。

 しかし、なんじゃ、この異質な気は?」

「私も初めて感じました…が、その前に。」

 目の前に首を垂れた人影が何体も現れた。

「…フム。

 未踏の地であるはずなのに、こんなものがおると

 いうことは、遥か昔の、古の世界の住人だった

 奴らの成れの果てかの?」

 ゾンビ、ロッティング・コープス(腐った死体)

といった成仏していない不死族たちだ。

 ロバスは暗闇でありながら、的確に見抜いていく。

「いえ、古ではありません。

 彼らの来ている衣服は、城下町で見かけるものと

 遜色ないです。

 おそらくは近年の犠牲者でしょう。」

「奴らと会話出来ればええんじゃがの。」

「死人に口なしと言うでしょう。

 …ヤタ、下がってください。

 私が片付けましょう。」

 ロバスがスクロール(巻物)を1本取り出して、

封じられている帯を切った。

 その次の瞬間、巻物が広がり、書かれていた

呪紋が光り出す。

 ロバスが両手で印を結ぶと、広範囲に火炎系魔法が

放たれていった。

 見えていたゾンビたち全てが焼け、崩れ落ちていく。

 すると巻物は再び勝手に巻き戻り、ロバスの手中へ

と戻った。

 小さな帯を取り出して結びなおし、懐に仕舞う。

 忍術の1つ、火遁・炎獄ノ巻。

 ケイトの扱う古代語魔法との違いは、魔法ではなく

魔術である事だ。

 魔術だから、神聖魔法のサイレンス(詠唱無効化)

の影響を受けない。

 また、忍術の炎は水などで消せるのだが、消さない

限り敵が死ぬまで燃え続ける持続性効果が高いという。

 正に暗殺向けの炎と言えた。

「こんな死体があるという事は、

 以前から、別ルートでこの遺跡付近のどこかに侵入

 していた者がいたとみて間違いないですね。」

「『4番の宝物庫』とか言ってたやつじゃな。

 もし4番がラス番なら、あと3つの宝物庫があると

 いう事になるの。」

「何番かは不明ですが、そのうちの1つなら昼間に

 発見済みです。

 ケイト殿の助力が大きかったですがね。」

「…ああ、ヴェスター様の長女…魔術探偵か。

 ククッ、なるほど、今回は随分と役者が揃っている

 とみえるわ。」

「ヤタもそのうちの一人ですよ。」

「…あたしも御庭番じゃが、序列は10位以下じゃ。

 化け物どもと同一視されても困るがの。」

 ロバスは序列4位だ。

 なので思わず、アレッ?といった表情を見せる。

 そして小声で確認。

「…私も化け物ですか?」

 ヤタはわざとらしく大きなため息をつく。

「ああ? 当たり前の事を聞くでないわ。

 そもそも10位があの三つ編み少女じゃぞ?

 どう頑張ったってアレの上になんかなれん。」

「ドラゴン・トゥース(龍牙の短刀)のフィルですか。

 あの娘の順位は当てにならないですから、無視して

 いいのでは。」

「無視できるわけなかろう。

 手柄を譲ってそれで10位とか異常だわ。

 …ん、譲る?」

 ヤタが何か思い付いたようだ。

「どうしました、ヤタ?」

「地上にいた追い剥ぎ共より先にと思ったが…

 様子を見るとしないかや。」

「!

 いいですね、何がいるかは知りませんが、

 ヤバそうな存在である事は確か。

 4番の宝物庫とやらに行けば確実に対峙する

 でしょうから、実力を計るとしましょう。」

 いよいよ、それの正体が姿を見せる。

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