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第15話(1)

 極東の島国インタテスラには、他国から見れば風変わりな技能職が多い。

 中でも忍者は突出していた。

 敵との間合いを無視するかの様に仕留める暗殺術。

 地水火風の魔法の様な遁行術。

 罠の設置や解除に秀でた仕掛術。

 そして最も得意とするのは、意外なことに集団による戦闘術だった。


 ロバスと共に行動しているヤタの正体はワー・クロウ(鴉人間)。

 ライカンスロープ(獣人)の人種で、普段は人や鴉の姿をとる。

 戦闘時には黒い羽根の生えた人型をとる事が多い。

 ロバスは御庭番には珍しく、4人の部下を従えている。

 地水火風に合わせており、ヤタは風遁に特化したくノ一であった。


 そのヤタが案内した先は、西区の迷宮。

「ここは冒険者カイルたちが新たなエリアを発見した迷宮でしたね。

 宝物庫の話は全く出ていなかったと思いますが…。」

 入口に到着すると、ヤタは黒い羽根の生えた美女の姿へと変えた。

「ここからが一番近いというだけじゃ。

 追いはぎ共は、こことは別の入り口から入っておる。

 距離的には、ここから最下層のホームまで突っ切った方が先回り出来ようぞ。」

「追いはぎの何名かがここを使った可能性は?」

「限りなくゼロじゃな。

 ここの地下5階、連絡通路に出現するコモドドラゴンは有名じゃ。

 あやつらに倒せる実力が無ければ、好んでここを通る事はすまい。」

 これを聞いてロバスはニコリと笑みを見せた。

「では行きましょう。

 ヤタは案内役ですので、先陣は任せますよ?」

 ヤタはニッと軽く笑い

「お任せを。」

 と言って階段を走るように下りていった。


 盗賊ギルド“フォクスル”の代表グランは、マティスのいる生地工房に来ていた。

 マティスは、荒い息を吐きながらソファーに座るグランに

「少しは自分の歳、考えて走れや。」

 と言いながらコーヒーを出す。

「この夜中にコーヒーなんか出すかよ、フツー。」

「寝てる余裕なんかねえから走ってきたんだろ。

 これ飲んで目ぇ覚まして落ち着け。

 …何があった?」

 グランは出されたコーヒーをグイッと飲む。

「確認したくて来たんだ。

 今、フォクスルのアジトが地下遺跡に繋がってしまって大騒ぎしてる。

 マストの宝物庫は無事か?」

 マティスはグランにそう言われても全く動じず。

「ベティーから言われた手前、宝物庫なら確認してる。

 無事だから安心しろ。

 …ただ他の宝物庫までは確認してねえぞ。」

 グランはそれを聞くと、フゥーと肩で大きく息をした。

「それを聞いてホッとした。

 ジュドーに指摘されて気になっちまってな。

 あいつも納品が終わったらここにとんで来る。」

「どいつもこいつも心配性だな。」

 語っていると、ドカドカと足音が聞こえてきた。

 ジュドーの足音だとすぐに分かる。

 ジュドーは応接室に入るなり、マティスに丸めた紙を差し出した。

「これは?」

「広げて見てみろ。」

 ジュドーに言われるがまま、マティスはテーブルにその紙を広げた。

 それは、城下町の地図。

 ある程度簡略化した雑なものだ。

 そこには手書きで大きく円を二重に描いていた。

 その円の外周は、あの西区の迷宮に触れている。

 まさか、これは…

「例の、地下遺跡の位置か!」

「ああ、納品先の護衛団支部で、地図が広げてあったんでな。

 興味本位で見てたら一部くれたんだよ。」

「…よく貰えたな。」

「遺跡調査があるから、この手書きに当たる住民や職場関係などに

 配って説明するらしい。

 各地域でこれ見せて住民説明会もやるとか言ってたな。

 隠すものでもないからって、普通に貰えたよ。

 …それでだ、この位置を見てくれ。」

 ジュドーが、とある場所を指す。

「…ここは、確かアンカーの宝物庫がある辺りか。」

「下っ端が馬鹿やったままの…な。

 もし、だ。

 アレがまだ生きてて、ここが繋がってしまったとしたら…。」

 グランとマティスが揃って青ざめた。

 これを語っているジュドーも、冷や汗を流している。

 以前、ベティーがジュドーの家で語っていた、

 『馬鹿やったまま』

 という話の事なのだろうが、何をやってしまったのだ?

 それと『まだ生きてて』とはどういう事なのか?

 グランが青ざめたまま、ボソリと呟くように語る。

「…地下は暗いから昼も夜も関係ねえだろうが、

 それでも夜に動くのは危険だ。

 明日、朝飯食ったら俺が確認してくる。」

「待て、なら俺も行く。」

「ジュドー、危険だぞ?」

「お前一人で行かせる方が、よっぽど危険だろうが。」

 2人のやりとりに、マティスも諦めたように頭をかく。

「しゃーねえな(仕方ないな)、俺も行くよ。

 あと、バーバラにも声かけておく。

 スペルユーザー無しで地下遺跡に侵入するのは自殺行為だ。」

 そう言われ、グランは頭を下げた。

「すまん、頼む。」


 盗賊どもの、盗賊ならではのトラブル事が…

 騒動を更に大きくしてしまうのだった。

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