表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/59

第05話(3)

 冒険者は過酷な肉体労働だ。

 そしてほぼ全てが自己責任で行われる為、長続きする者はなかなかいない。

 銀等級まで上り詰めれば別だろうが、昇級試験または国からの推薦が条件にあり、現実の厳しさを突き付けられる。

 誰でもなれる冒険者は貧困した過疎村からの出が多く、勉学していない者が多い為、筆記試験は実質不可能。

 国からの推薦など夢のまた夢だ。

 だから冒険者は、なんとしても若いうちに大金を稼ぐか、次の就職先を探す事に集中する。

 それすら出来ないと、盗賊などに成り下がる者どもは決して少なくなかった。

 一攫千金を狙うような冒険者は尚更で、定職して地道に稼ぐという事が苦手だとか。

 職業訓練所があっても、行く気にはなれないらしい。

 正直国も頭を抱える問題であった。


 闇に生きる組織はそんな者の心情に容易く付け入る。

 おいしい話がある。

 楽に稼げる仕事がある。

 そして使い捨てるように元冒険者を利用。

 護衛団の矛先が直接我らに向かぬよう、巧妙に悪意を覆い隠すのだ。


 壊滅した盗賊ギルド“セイル”は窃盗が主な業務だった。

 貴族本人やその召使いが町に出てくるところを狙い、スリを行う。

 狙うのは身に付けている貴金属。

 国外で換金し、ギルドの資金とするわけだが・・・。


 ここに停泊している帆船が、国外移動の手段だったのかしら。

 ケイトが妹キャサリンを連れてくるまで待っている中、トレーシーは考えていた。

 手段だとすると、大きな問題があるわ。

 ここは流れのある地下水路。

 流れのまま行くとしたら、どうやってここに帰ってこれるの?

 普通に考えればまず無理よね。

 ・・・ん?

「ロバス、どうしたの?」

 声を掛けられたロバスは、足音を消して歩き出した。

 それを見たトレーシーは咄嗟に念話に切り替える。

『ロバス?』

『・・・私たち以外の気配を感じます。』

『侵入者?』

『それを言うなら私たちの方が侵入者でしょう。

 こちらの存在には気付いているでしょうに、敵意はまるで感じないのが気になります。』

 トレーシーはそれを聞くと

『なら、私のバーに招待してあげるわ。』

 と言って呪文を詠唱しだした。

 その呪文は夢魔術。

 周辺が大きな泡のようなものに包まれていったかと思うや、霧状のものが視界を遮っていく。

 そこに地下水路や船などは見えなくなり、一軒のお洒落な平屋の建物が新たに出現していた。


 迷い込むようにやってきたベティーは目が点に。

「ど、どうなってんの、これぇ!?」

 バー“ナイトメア”の看板が付いた扉は、誘うようにゆっくりと開いていった。

「・・・あ!

 ナイトメアってまさか!!」

 ベティーは何かに気付いたのか、誘われるがままに扉を入っていく。

「いらっしゃいませ。」

 店内では、トレーシーがカウンターに立ってグラスを用意していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ