規律の個性
その町は規律が特別厳しかった。
道行く人はみんなベルトコンベアに乗せられた部品のように一定間隔で歩き、背筋は棒のようにピンと伸びていた。
宿に置かれた新聞は一社、テレビやラジオも二・三社ほどしかなかった。
窓の外にある小学校からは子供たちの元気な声は聞こえず、校庭の小学生は置物のようになっていた。
近くの小学校から出てきた学生は同じ無表情を並べ、何を考えているのかも分からなかった。
私は窓から部屋の中に身を引いた。さて、私は何をやっていたのだったか。生きがいや生きる目的はあったのだろうか。