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Splendours Season1  作者: Saki Tachimazaki
2nd Act - プリンス・オブ・アルファライン -
18/18

Scene Echo-4【Splendours Season1】

 指輪が完成して数日。天使の巣には黒い狐がいた。

「陛下、ブレイク殿下をこのままにしておいて良いのでしょうか」

 月光が差し込むパトリックの寝室。珍しくフィルマンがこの部屋を訪ねていた。

「問題ないでしょう。それに、彼はすでにマスの上にいますから」

 パトリックはそう笑ってみせた。だがフィルマンは信用しきれない様子で、何度もパトリックの目を見つめ直していた。

「どうしたのですか? 私の子は思っているよりも弱くはありませんよ」

 ソワソワとしているフィルマンを見つめながらそう呟いた。頭上から差す光は変わらずパトリックへ、惜しげもなく降り注がれている。奥では蝋燭の火が揺らめき、窓際のレースは窓からの風をこしている。純白の世界と窓からの星々。誰もが飲み込まれるであろうこの雰囲気に、フィルマンもまた飲まれていた。

 途端にノックする音が聞こえ、ゆっくりとブレイクが入ってきた。

「陛下、夜分遅くに失礼いたします」

 その腕には真っ白なぬいぐるみが握られていた。

「随分と可愛らしくなりましたね」

 ブレイクは珍しく黙ったままだ。

 主人に席を譲るため立ち上がろうとするフィルマンを制止し、パトリックは立ち上がってブレイクに近づいていった。

「陛下、これはどういうことでしょうか」

「落ち着きなさいフィルマン。これはただのプレゼントですよ」

 一度手の平で頭を包み込み、そこから優しく頭を撫でた。

「——お疲れ様。君が私の実の子でないことがとても残念だよ」

 撫でられているブレイクはまさに忠犬そのものだ。頬を赤く染め照れくさそうにはにかんで、今にでもゴロゴロと鳴きだしそうだ。今まで見たことのない主人の様子に、フィルマンは唖然とするしかなかった。

「フィルマン、君には奴を探ってきて欲しい。お願いできるかい?」

 この笑顔に対して、フィルマンは自然とうなずいていた。

お読みいただきありがとうございます。

Saki Tachimazaki です。

一身上の都合により、このパートを持って連続投稿を停止させていただくこととなりました。

ですが、たとえ数十年かかろうとも完結させるという意志があるのは確かですので、しばしお待ちいただけたらと思う次第です。

これからもエルフィリアート世界中央図書館並びにSaki Tachimazakiをよろしくお願いいたします。

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