結果
コロニーについた俺達はギルドへ直行し、紅谷さんの話を聞いていた。
「さて…お前ら、良くやった。これで最終試験はクリアだ。動きに問題は無く、連携もスムーズに行えていた。得にそこの三人!」
突然こちらに指を指してきたので思わず周りを見渡してしまったが、どうやら俺と翔と楓のことらしい。
「ゴブリンのリーダーを真っ先に倒しにいった友樹と翔。お前らは判断力と行動力がある。
戦場ではその二つの力はとても重要な役割を担う。これからもその調子でいてくれ。
楓も正確な射撃や、ためらいなく加勢する状況判断能力…司令塔にもなれるかもな」
「ありがとうございます」
「あざっす!」
「ありがとう…ございます…」
「では、これにて試験を終了とする。結果はもちろん全員合格だ。手続き等に時間がかかるため、
明日の午前十時にここに集合。それでは、解散!」
帰りのバスには夕日が差していた。乗客は最終試験にも来ていた5人しかおらず、車内は静かだ。
隣に座る翔は、窓の外を眺めながら俺に話しかけてきた。
「…俺さ、今日の試験やって思った。やっぱモンスターって怖いってさ」
「お前がそんなこと言うの、珍しいな。熱でもあるのか?」
「いや…なんていうか、俺達は今までゲームとかでしかモンスターのこと知らなかったわけじゃん。スキルとか、魔法とか使って簡単に倒せるし、攻撃を受けてもHPが減るだけだし、
死んでも…蘇生したりできるゲームの中でしか」
スキルか…そういえば、スキルってあるのかな。魔法や蘇生はできなかったとしても、
なんらかの方法でスキルとか…科学的な武器とかどうなんだろう…
いや、今はそんなことを考えている場合じゃないんだった。
脱線しかけた思考を強引に戻すと、俺は翔の話に再び耳を傾けた。
「俺さ、やっぱり今日実際に戦ってわかったんだ。命懸けで戦うことの怖さと、命を奪う怖さが。」
「…俺だって怖かったさ。本当は逃げたかった。やめたかった。殺したくなかった。
だけどな、それじゃダメなんだよ。俺が…俺達がこうしないと、アイツらは多くの人々の命を奪う。
その中には…お前の大切の人だっているかもしれない。だから俺達が戦うんだろ?」
俺はもう、あの日の出来事を繰り返すのはゴメンだ。大切な友人を失った、あの出来事を。
だから俺は殺す。モンスターを殺して殺して殺しまくって、最後の一匹でも容赦はしないつもりだ。
あの日の復讐を果たすために。
「お、おい友樹、すげぇ顔だな…」
「ん、すまん。ちょっと考え事」
「そうか…まぁ、それはさておき、もちろん俺だって人を守りたくて戦う決めたんだ。
最後までやり通そうとは思ってる。殺すのだって、ためらうこともあるけど実戦じゃやるしかない。
それはわかってんだ…」
そこまで話した翔が突然、おっと、と呟いた。
「外、見てみ」
「時が経つのは早いもんだなぁ…もう家か」
「ま、さっきの話は忘れていいから。気にすんな!」
バスから降りた俺は今日の出来事を報告するべく、母が待っている家へと歩き出した。