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10年の月日が経ちアイリスは益々魔力が強くなり、シオンは剣の達人になっていた。ボダイジュ公国には強い者が沢山いて、素直で可愛いシオンに構いたいおっさん達がいつも訓練していたのだから強くなっても当たり前なのだが……。
シオンは家族も領民の事も大好きで自分が守るのだと小さな時から心に決めていた。
シオンとアイリスは大抵一緒に居た。寝る時も未だに一緒に寝ている。周りの大人達も何も言わない。過去に父と母が赤ん坊の頃から一緒だったのだから、小さな事を気にする者など領地にはいなかった。二人は一緒に育つうちにお互いが唯一無二の存在になっていた。
後4年経てば2人とも成人する。その時は夫婦になるのだろうと皆が思っていた。見守っていた。
ボダイジュ公国はアマリリスの結界が張られている。東西南北には一応門があり、門番と騎士団員と冒険者が交代で守っている。強力な結界がある為結構のんびりと。入国許可証を確かめたり、発行したり、困った人のお世話など。他の国の門番は殺伐としているが、ボダイジュ公国は国中がのんびり幸せ。
そんなボダイジュ公国の門番が慌てて鐘を鳴らした。公国して初めての事だった。
門の外にはざっと千人の他国の騎士団が並んでいた。1番偉いであろう人物がアマリリス女王を出せと喚いている。
「うるさいわねぇ。来てあげたわよ。私に何の様なの?」
アマリリスはカルミアに抱かれ空から降りてきた。
「「「!!??」」」
他国の騎士団達は声を失うほど驚いていた。
「わ、私はハルシオン王国のエリム騎士団長だ!シオン王子を返してもらおう!」
「はぁ!ふざけるんじゃないわよ!シオンを使って復興のシンボルに仕立て上げようって魂胆でしょう?そんな事、私達が許すわけないでしょう!シオンは大事な私達の息子なんだから!」
「う、うるさい!黙れ!シオン王子だって生まれた国に帰りたいはずだ!帰れば国王になれるんだ!それに俺たちにはシオン王子が必要なんだ!!」
「そうなんだって。シオンは国王になりたいの?」
アマリリスとカルミアの背後からシオンとアイリスが出てきた。
「国王の地位なんて要らない。僕には必要ない。僕はアイリスの唯一の人になって父様と母様の息子で、この国の領民達と共に生きる。ただそれだけで良い」
「だ、そうよ。本人が言ってるんだから諦めて帰って頂戴」
「今更手ぶらで帰れるか!!力尽くでも連れて行く!!」
門を突破しようとした瞬間、弾き飛ばされた。
「馬鹿ねぇ、ボダイジュ公国は私が結界を張ってるの知らなかったの?」
千人の騎士団達が一斉に苦しみ出した。あるものは周りに炎が見え、あるものは氷漬けにされた感覚になっていた。
アマリリスの幻影魔法だった。
「さっさと帰りなさいな」
「諦めるなんて出来ない!俺達は国を取り戻してもう逃げなくて良い生活に、誰もが笑顔で暮らせる国にするんだ!!」
苦しみ膝を折りながらも騎士団長は声を上げた。
読んでくださってありがとうございました、
評価頂けたら作品作りのパワーになります!よろしくお願い致します!
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