60.ダンジョン内の探索 #2
60.ダンジョン内の探索 #2
「おー。思ってた以上に外だなこれ......。」
緑の平原が広がり、空には雲が流れる。遠くの方には木が密集していて森になっているのが見える。
「でしょ?ダンジョンってすごいわよねぇ。」
匂いも外と変わらないかも?風もいい感じにふいていて気持ちがいい。
49層での採取ポイントの後、順調に進んで今は51層だ。
50層の階層ボス? それならルガードの一撃でお陀仏だよ......。
装飾が豪華なでかい扉だったから期待して行ってみれば。出てきたのは普通のオークより少しでかいやつに、その取り巻きのオークが数体。数える前にルガードが倒しちゃったから正確な数はわからなかった。
50階層ってキリのいい数字だし、何か特別な魔物が出たりするのかな?って思ってたけど全然普通だったなぁ。
ただ、ルガードのスキル?は見れた。
両手斧を振り上げて地面に叩きつけ、叩きつけた所から地割れが起こり、地面から岩の槍が飛び出し、そのままオークを纏めて消し飛ばしてた。
オークが消し飛んだ後、少しすると割れた地面と飛び出していた岩が消えたので、多分あれは何かのスキルだったんだと思う。
ってかあのでかいオークってもしかして前に見そびれた上位種のオークかな?そうだとしたらホントに普通のオークより大きいだけなんだな。
まぁでも大きくなるだけでそれは脅威なのかもしれない。
「さて、ここからは注意して進むぞ。事前に話したがここからは罠があるし、敵もかなり強くなるからな。」
「罠って例えばだけど、どんなのがあるんだ?」
「そうだなぁ、例えば......ちょうどいいな、ケイこっちに来てくれ。」
周りをきょろきょろ見渡したルガードが少し進んだ先でとまって呼んでいるのでそこまでいってみる。
「このへんだとこれが主な罠だな。」
そう言ってルガードが足元を指さすので見てみると、そこには草を輪っかにして結んであるのが見える。
「これが?」
そういって試しに草の輪っかに足先を入れてみる、少し引っかかるが力を加えると簡単にぶちっと千切れた。
「おう、子供だましみたいな罠だがこれが戦闘中とかに結構危険でな。一応気を付けておくほうがいい。」
「ふむ、確かに?戦闘中とかに足元に気を取られるのは危ないかもな。これは何か対処法とかあるのか?」
「そうだな...ここにも同じ罠があるからこれに足の角度をつけて入れてみてくれ。」
数歩離れた所に同じ罠があったのでルガードに言われた通り正面からじゃなく、少し角度をつけて足を入れてみる。
「ん?くしゃっとなって足が入らないな。」
足を入れようとしてみるが輪っかがつま先でくしゃっとなって足が入らない。
「それが対処法といえば対処法だな。その罠は少しでも輪っかから足がずれているとまともに入らないんだ。」
「なるほど、じゃぁこの罠ってあまり気にしなくてもいい感じなのか?」
「そうだな、引っかかったら運が悪かったと思うしかないな。」
他に気を付けようがないって事か。単純な罠だからこそ対処も単純にならざるを得ぬって感じかな?
焼き払ったりすれば簡単なんだろうが、労力に対して結果がたいしたことないからする意味が無いんだな。
「後、敵が強くなるって言ってたけど。どれぐらい強くなるんだ?」
「どれぐらい......。今までは俺一人で倒せてたがこれからは全員で相手しないといけないぐらいには強くなるな。」
「そんなに強くなるの!?」
えっ?強くなりすぎじゃないか?
今までルガードの一撃で倒せてたやつがみんなで戦わないといけなくなるってインフレがひどすぎるだろう。
「あぁ、ここからは全く別物だぞ。出てくる数は今までと変わらないが、ちゃんと戦略を使ってくるからな。」
ただ突っ込んでくるんじゃなくて、頭を使ってくるのか......。
「んじゃ、ここでお昼にするか。見晴らしもいいしな。」
言われてみればお腹空いてきたかも。お腹のすき具合を確かめながら空を見上げる、空には太陽な物があり雲もちゃんとある。何回みても不思議な光景だ、ここはダンジョン内なんだよな?
「そういえばダンジョン内で時間ってどうやって確かめるんだ?」
ルガードに話しかけながら考える、小説などでよく見るのは太陽の位置をみてうんたらかんたらだけど。
太陽のどこを見て時間なんてわかるんだろう?
ダンジョン内の太陽の位置は結構上の方だから朝じゃないことは分かる。なのでだいたいお昼に近いのは想像はできる。
ってかそもそもダンジョン内は外と時間が連動してるのか?って問題もあったか。
「時間ならこれだな、ほら時計だ。」
そういってルガードが手渡してきたのは懐中時計だ。丸い形に短針と長針があって、見慣れた時計の形だ。
「時計ってあったんだ......。」
しかもこの形って絶対転生した人が関わってるだろう。
時計を見てみると、今の時刻は12時35分。お昼をちょっとすぎているけどこれぐらいは普通なのかな?きっとあんまり時間ぴったりに行動する事なんて無いんだろう。
それにしても、これでこの世界でも一日は24時間って事が分かったな。後は曜日の感覚も一緒なんだろうか?一か月は何日なんだろうか。
まぁそのうち機会がくればわかるだろう。
調べればすぐにわかるんだろうけど、今の所分からなくても困ってないしな。
「あ、何か手伝えることある?」
時計から顔を上げるとみんながそれぞれ動いてお昼の準備をしていたので慌ててルガードに時計を返して何か手伝える事はないかを聞く。
「そうだな、じゃぁちょっとこのシートひくのを手伝ってくれるか?」
そう言ってルガードが取り出したのは前世でもよく見た遠足とかで使うようなお弁当を食べるときに使う柄のついたレジャーシートだ。
しかもこれ花柄か......。
レジャーシートの端を持って広げる。大きさは全員が座っても十分まだ余裕がある感じだ。
これ布製のレジャーシートか、ビニール製じゃなくて布製のだとほとんど絨毯だなこれ。
「はい、これ。」
「ありがとう。」
レジャーシートを広げて座るとフェイがお昼ご飯を渡してきた。今日のお昼ご飯はサンドウィッチか。照り焼きっぽいソースのかかったローストビーフっぽいお肉とレタスみたいな野菜。この赤いのはトマトかな?美味しそうだ。
さっそく食べ......る、前にクスラの食事を用意しないとな。
『クスラーご飯だよー。』
外套のフードの中で寝てるクスラを抱き上げて起こす。
『んぁ?なんや?』
『お昼ご飯だよ。』
クスラを片手で持ちつつアイテム袋からいつもご飯の時に使ってる桶を出してマナを豊富に含んだ水を結界で出す。
桶が8割ほどになったらそこにクスラを置く。
『どう?』
『ん~、ええ感じ。』
クスラが桶いっぱいに触腕を伸ばしてのびのびとしている。
ルガード達、パーティーで行動していると中々クスラと話す機会がなくて時々ちゃんといるのか不安になる。
元々クスラは物静かな方なのでさらにだ。
クスラが静かなのは性格なのか種族的に静かな暮らしをしてたのかどっちなんだろう?
そんなことを考えながらサンドウィッチにかぶりつく。
うん、うまい。
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「今日中に55層までいけそう?」
お昼ご飯を食べ終わり、今は食後の小休憩だ。フェイが入れてくれた紅茶を飲みつつゆっくりとする。
ダンジョン内のはずなんだけど、こんなにゆっくりしてていいのかな?とは思うけどみんな普通だしこれまでもこうやって来たんだろうな。
「一直線に進めば夜までには55層にいけるでしょうけど、普通にいけば53層に着くかどうかのあたりで夜になるんじゃないかしら?」
ん?45層から51層まで朝からお昼になるぐらいの時間でこれたんだから、今日中に55層まで行けると思ってたんだけどな......。
「51層からは階層が途轍もなく広くなるのよ。それに罠もあるし、敵も強くなるし。今まで見たいにサクサクとは進めなくなるわ。」
不思議に思っているのが顔に出てたのか察したフェイが理由を話してくれた。
「51層からはホントに別物なんだなぁ。」
紅茶を飲みつつそんな風に考える。
うーん、紅茶を飲んでいるとつまめるお菓子が欲しくなってくるな。
「そろそろ行くぞー。」
お昼ご飯を食べ終わってから体感で30分ほどだろうか?のんびりしているとルガードから声がかかった。
紅茶を入れていた食器類をフェイに返して動き出せるように準備する。
『クスラー、そろそろ行くよ。』
桶に入った水の中でぱしゃぱしゃ遊んでいたクスラに声をかける。
『はーい。』
クスラを持ち上げて桶をアイテム袋に収納する。ついでにクスラをもっちもっちと揉む、この感触が地味に癖になる。
どうなっているのか分からないがクスラはさっきまで水に入っていたのに濡れていない。多分水からでるときに体についた水滴は吸収しているんだろうと思うけど。
こっちが濡れない様に気を使ってくれてるのかな?
クスラを外套のフードの中へ入れて準備完了だ。周りを見れば後片付けはもう終わっていた、アイテム袋に入れるだけだから片付けはあっという間に終わってしまう。
「んじゃ行くぞー。」
「おー。」
再びダンジョン探索の再開だ。
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「敵だよ!数は12、気配の感じからしてゴブリンだよ。」
お昼休憩が終わり、進みだしてから少し経つとネレの索敵に敵が引っかかったようだ。
ゴブリン......あれ?51層からは敵が強くなるんじゃなかったのか?ここにきてゴブリン?
そうこうしている間に少し丘になっている向こう側からゴブリンの姿が見えてきた。
お店で売ってそうな剣や槍、防具までつけている。後方には杖を持っている奴もいるので恐らく魔法を使うんだろう。
心なしかゴブリンの顔つきも歴戦の戦士っぽさがあるかもしれない。
「ケイとフェイで魔法使いの処理を優先で頼む、ドリスとアキリスはみんなの支援、俺とネレで前線を維持する。」
ルガードは指示を出すとそのままゴブリンの群れへと突っ込んでいった。
「ケイ、後ろの魔法使いの動きを止めてくれる?頭を撃ち抜くわ。」
「了解。」
フェイがゴブリンの頭を打ちぬくそうなので魔法使いゴブリンの頭が動かないように固定する感じで結界をはる。
「グギャ!?」
ギィン!
ゴブリンが動きを止めた一瞬でフェイが魔法の矢をうったのか何かを弾く音がする。
「何の音だ?」
「障壁ね。」
「ガッ」
弾かれてどうするのかと思えば連発で何発か同じ場所に魔法の矢を撃ったようだ。魔法の矢の軌道上にキラキラとしたエフェクトがかかっていて綺麗だ。
ルガードの方を見ると片手剣と盾を装備したゴブリンと戦っているがあっという間にゴブリンを切り裂く。
強くなると言っても苦戦するほどの強さではないみたいだ。ただまぁ、今までの敵が瞬殺されているのに比べるとルガードと少しでも近接戦が出来ている分強くなっているのかもしれない。
後ろからアキリスの声で詠唱が聞こえるので、多分ルガードに強化をしているんだろう、時々体が光っている。
ルガードが前線でヘイトを維持しつつ、ネレがいい感じにゴブリンを切って体力を削っていってる。
魔法使いを倒し終えたフェイも魔法の矢で援護射撃を開始した。だがさっきのようにはいかず致命傷となる攻撃は武器で受け流されて、それ以外の部分は防具などでうまく受けている。
ゴブリンなのにかなり強いな......。これが51層か。
俺も援護したいが、どうしよう?動きを止めるか氷の結界をぶつけるか。
んー、そうだ。さっきみた草の輪っかの罠を参考にしよう。
ルガードと相対しているゴブリンの動く方向の足元に引っ掛けるように小さい結界を作る。するとゴブリンは戦闘に夢中で結界に気づかず躓いてこける、その隙を逃さずルガードが頭をかち割った。
この戦い方もありだな、色々使えそうだ。
足元に罠をはってみたり、いつもの氷の結界を使ってみたり。魔法使いゴブリンと同じように動きを止めるように結界を使い。
そうこうしている間にゴブリンは全滅した。
「ふむ、指示してなかったが普通に戦えてたな?ケイ。」
斧を背中に戻し額の汗を手で拭ったルガードが振り返りつつ言った。
「あぁ、何となくパーティーでの戦い方が分かってきたかも?」
まだ少し戦闘になると失敗しないか緊張するが、何となく戦闘での空気感が分かってきた。
「それならこの先もその調子で行けそうね?」
「頑張るよ。」
ドロップ品をドリスとアキリスで拾い、他のメンバーで周囲の警戒をする。
『なぁなぁ、ケイー』
『ん?』
周囲を警戒していると、クスラが触腕で頬っぺたをぺちぺちしてきた。
『あっちに何かおるで?』
『あっち?何かってなんだ?』
クスラが触腕を伸ばして森のほうを指さす。
『分かんない、けどなんかおる。』
『んー?』
クスラが指さす方を見るが木々が見えるだけで、何もいない。
「どうかしたの?」
森の方を見てう~ん?っと唸っているとネレが気になったのか聞いてくる。
「いや、クスラが向こうに何かいるって言っててさ。」
「向こう?」
森の方を指さすとネレがそちらを向いて少しの間思案する。
「ルガード!ちょっと向こうの索敵をしてくるね!」
「おう!」
話しが聞こえていたのかルガードは何も聞かず返事だけをした。ルガードの返事を聞くとネレは一瞬で姿を消して森の方を向かった。
「それにしてもケイ、クスラの話している事が分かるのか?」
あ?あー、流れで自然にクスラがーって言ってしまったな。どうしよう?
「まぁ何となく?そんな気がするなーってぐらいだけどね?」
って事にしておこう。
「そうか、もしかしたらスキルが生えかけているのかもな。」
「生えかける?」
「おう、スキルがもうすぐ使えるようになるとステータスに表示される前に少し使えるようになるんだ、そこから暫く使っているとちゃんとステータスに表示されるってわけだな。」
「ほー。そうなのか。」
熟練度的な物が溜まっていく感じなのかな?まぁ俺の場合は完全に転生した際の特典で話せるだけなんだけどな......スキルって事にしておくか。
「みんな!この先で魔物の群れがいるよ!エリアボスだと思う。」
「お?おっしゃボーナスだな!」
「エリアボスがいたのか......。」
魔物の群れってどれぐらいいるんだろう?
「あー、そうかケイは初めてだもんな。どうする?無理していく必要はないが、避けていくか?」
「んー。見てみないと何とも言えないけど、ルガード達が見て平気そうならやってみたいかな?装備品のドロップも見てみたいし?」
「おう、じゃぁ見てから決めるか。」
みんなもそれでいいか?とルガードが確認するとそれぞれが頷く、反対する人はいないようだ。結構余裕なのかな?
「気づかれない様に慎重に行くぞ。ネレ、先導を頼む。」
「はーい。」
ネレを先頭に森の中へ入っていく。
どんな魔物がいるんだろう?という好奇心と、強い魔物だったらどうしよう?という恐怖心。装備品ドロップしないかな?というドキドキが混ざり合って複雑だ。
楽しみだ。




