59.ダンジョン内の探索。
59.ダンジョン内の探索
体が分解されて再構築される転移だとやだな~って考えている内に目の前が真っ白になり、気が付くと見たことあるダンジョン内にいた。
つるつるすべすべな大理石のタイルの様な壁に地面、等間隔に置かれた明かり。転移装置が置かれているところは扉の無い部屋の様になっている。
ダンジョン内って殺風景だなぁ。こんなところを45階層も登ってこないといけないかとおもうとそれだけで気がめいっちゃうな。
考え事をしていると横からマナの流れを感じた。
横を見るとフェイが何か魔法を使っているのを感じる、前を見てみるとネレとルガードが周囲を警戒しているのか油断無く構えている。
「大丈夫よ、何もいないわ。」
フェイがルガードの方を見ながらそういうとネレとルガードは警戒を解く。
「ん?どうかした?」
きょろきょろと辺りを見渡し不思議そうな顔をしているのに気が付いたのかフェイが聞いてくる。
「今、何か魔法を使ったのは分かったんだけど、何してたんだ?」
「あぁ、今のは探知魔法よ。転移したら安全確保のために使うのよ。」
ほぉー。まぁでも考えてみれば当然なのかな?転移した直後は無防備になりそうだし。
でもそうか......この転移するところって安全地帯になってたりしないのか......
それにしても探知魔法か......俺も何かそういう魔法が欲しいな。この世界に転生したての頃みたいに突然ゴブリンと出会うなんて嫌だからな。今度何かできないか考えておこうかな?
「なるほどね、転移直後は魔物に注意しなくちゃいけないのか......。」
「魔物だけじゃないわ。他の冒険者にも注意しなくちゃいけないわよ?」
「えっ......襲われたりするの?」
「えぇするわよ、滅多にないけど一応気を付けているわ。」
他の冒険者に襲われるのか......物語の中でそういう描写を見たことあるけど、ここでは実際に起こりえることなんだな。
「んじゃそろそろいくか、取り合えず50階を目指すぞ。」
ルガードの声が聞こえたので前に向き直す。フェイと話している間に用意が終わったようだ。
ネレを先頭にルガード、俺とフェイ、後ろにアキリスとドリスの順番で歩き出す。
転移装置のある部屋を出ると左の遠くに小さく扉が見える、右には道が続いていて下に降りる階段が見える。
ここはボス部屋の後の道なのかな? 前にダンジョンに来た時に見た5層のボス部屋の後と同じに見える。ボス部屋の後は全部同じ造りなんだろうか?
頭の中で色々と想像しながらも、転移装置の部屋を出て階段を下りていく。
階段を下りた先は変わらず大理石のタイルみたいな道が続いている。
足音だけが響くダンジョン内を散歩するぐらいのスピードで歩く。
探索中って話したりしないのかな?会話が無くただ進むだけなのは少し気まずい。
「ん?何だあれ。」
壁と地面の境目あたりに何か.........あれは草か?
「どうかした?」
隣にいるフェイに呟きが聞こえたようだ。
「あの草は何?ダンジョン内に草が生えてるの?」
「あぁ?これ?」
フェイはそう言って歩きながら一瞬かがんで草を摘み取る。
そんな雑に抜き取っていいのか......。
「ん~これはマーチスね。」
手に持った草をみて名前を言うフェイ。
「マーチス?」
「この薬草の名前よ、たしか......回復薬の素材の一つで、ギルドの掲示板に依頼があったはずだわ。」
「へぇ。」
フェイが持っているマーチス草をよく見てみと、前世でみた紅葉の葉のような形をしている。葉が7つに分かれていて、色は綺麗な黄緑色だ。
掲示板で依頼見たときダンジョン内のこんな石壁でどうやって薬草採取するのかと思ったけど、あんな感じで生えてるんだな。
「でも大変そうだな。」
「あら、どうして?」
「いや、薬草って何束かまとめての依頼だったでしょ?あぁやって壁に生えてるのはわかったけど。今とったのだって1束にもみたないし、数を集めるのが大変そうだなって思って。」
「あぁ、それなら平気よ。ダンジョン内にはどこかに採取ポイントがあるのよ。」
「採取ポイント?」
何だそのゲームっぽい要素は。
「数時間おきにダンジョン内で薬草や鉱石がまとまって出現するスポットがあるのよ、それを採取ポイントと呼んでいるわ。」
「ほー、便利な場所があるんだなー。それって狙って場所を探せたりするの?」
狙えるならすごい金策になりそうだけど。
「目的が採取ポイントなら、探せば見つけれるとはおもうけれど......採取メインで来るのは意味ないわね。」
「そうなの?結構稼げそうかなって思ったんだけど。」
「まぁ、それなりにはね? けど、パーティーで行動していると普通に狩った方が稼げるのよ。それにアイテム袋だって容量があるんだから、無駄なく使いたいでしょ?」
「まぁ、そうだね?」
「そういうわけだから狙って採取ポイントに行くことはないかな? 私達みたいにアイテム袋に余裕があればついでに拾っていってもいいけどね。はい、これ。」
フェイは話しながら手に持っていた薬草をアキリスに渡す。
自分で持たないのか......。
「何よ? あ、これは別にアキリスに荷物持ちさせてるわけじゃないからね!?彼なら回復薬を作る事ができるから渡したんだからね?」
ジト目でフェイを見ていると、視線で察したのか早口で言い訳を話し始めた。
っていうかアキリスって回復薬つくれるのか.........ん?
「ねぇ、アキリス。回復薬ってどうやって作るの?」
気になったので作れるというアキリスに聞いてみる。
「回復薬ですか?私はスキルが無いので手作りですよ。」
スキルが無いので......?
「手作りもできるし、スキルでも作れるってこと?」
「えぇ、そうですね。薬剤スキルや錬金スキル、代表的なのはこの辺りのスキルですかね?」
「へぇー」
錬金スキルで作れるなら試してみようかな?
「まぁスキルで作る人なんていないんですけどね。」
「どうして?スキルで作れるなら簡単そうなのに。」
「スキルを使うにはマナを消費しますからね、一日にそこまでの数が作れないんですよ。なので必然的に手作りする事が多くなるんです。」
「なるほどなぁ。」
マナの容量と回復速度はレベルで個人差があるからな......。っていうか生産職の人ってどうやってレベル上げてるんだろう?
「それにスキルで作るにしても、知識がないといけないので。結局手作りで作る事になるんですよね。スキルで作ることを試す人や緊急のときに作る人はいますけど、日常的にスキルで作る人はいませんね。」
「なぁそれって......「敵だよ!」」
「おう。」
話しを続けようとした所。敵の気配を察知したのかネレの警戒する声が聞こえた。
前を見てみると遠くの方、30メートルぐらい先だろうか?途中で角になってるのかオークが徐々に姿を現した。1......2...3..4、全部で5匹か。
オーク一匹一匹がそこそこでかいので、横に並ぶと3匹ぐらいが限界そうかな?戦うとなると2匹がぎりぎりか。
ネレが俺とフェイにいる位置まで下がりルガードが前にでる。オーク達もこちらに気づいたのか手に持った武器を構えて走ることなく歩いてゆっくりこちらへきている。
槍に片手剣と盾に棍棒、防具も心臓を守るように胸当てを着けている......ちゃんと装備もってるんだな。
「外にいるやつとずいぶん違うんだね?外のやつはほぼ裸だったけど、ダンジョン内のやつは武器とか防具してるんだ?」
外にいたやつは腰布だけだったのに......。
「まぁ、それが外とダンジョンでの大きな違いかな?とはいってもダンジョンでも浅い階層では外と変わらないけどね? 深くなるほど敵の装備がよくなるのよ。」
「なるほど、敵の装備ってはぎ取れたりとかは...?」
「出来ないわね、倒したときに光になって消えてしまうわ。それに、たいした装備でもないしはぎ取る意味もないのよ。」
あー、消えちゃうのか...残念。俺が持ってるアイテム袋は容量無限だしはぎ取れたらさらに稼げたのにな。
「ふむ、ってかそろそろ構えなくて大丈夫なのか?もうオークがすぐそこだけど。」
フェイと話してる間もオークはこちらに近づいてきている、もう数メートルしかなくて少しダッシュすればすぐに手が届きそうな位置まできている。
「あれぐらいなら、ルガード一人で十分よ。私達が手を出すと逆に邪魔になっちゃうわ。」
ふむ、まぁたしかにルガードならあれぐらいどうにかしそうか。
そうこうしてる間にルガードが走り出した。
「おらぁっ!」
ルガードが野球のバットを振りぬくように、両手で握った大きな斧を振りぬくと二匹まとめて壁のシミとなって消えた。
振りぬいた体制から止まる事なくそのまま前進しつつ一回転してさらに両手斧を横なぎに振りぬくと後ろにいたもう二匹も上半身と下半身が分かれて、壁のシミとなって消える。
一回転して振りぬいた体制で一瞬とまったルガードは片手で両手斧の遠心力をゆっくり落とすと、そのまま背中に両手斧を回し上段振り下ろしで最後のオークを頭のてっぺんから左右に切り分けた。
この間3秒ほどだろうか、あまりのスピードにオークは何もできずに光になって消えてった。
強いとは思っていたけれど......つよすぎだろう...ルガード。
ドロップしたオーク肉はネレがいつの間にか回収してドリスが冷蔵の魔道具の紙を張り付けていた。
「ふぅ、朝いちばんにしてまぁまぁだったな。」
そう言ってルガードは肩を回してほぐしている。
最後のオークがいた場所を見てみると地面がめちゃくちゃに砕けていた。
そりゃあんな両手斧を振り下ろされたら床も壊れるか......ってかダンジョンの床とかって壊れるんだな。
オークとの戦闘が終わったので再び歩き出す。
「なぁ、あの床ってあのままで平気なのか?」
「ん? あぁ、さっきの砕けた床?」
「そうそう。」
「平気でしょ、いつもいつの間にか直ってるし。」
「ほー。」
気にした様子が無かったから何となく察してたけど、やっぱりダンジョン内の床とか壁って勝手に修復されるのか。
そういえばダンジョンはいったい何が目的で存在してるんだろう?修復するときのリソースはどこからきてるんだ?
前世で読んでた本とかではダンジョンは内部にいる存在から魔力やマナ、死体を吸収して大きくなったりするのが目的だったりするけども。
後はダンジョンマスターがいて、殺されないようにダンジョンを大きくして防衛してたりとか?
考え出すと気になってくるな......。
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「あ!ケイ!ほらあそこ!」
「お?」
オークを倒したあとも他の魔物を倒し、ドロップ品を拾い、たまに壁から生えてる薬草を拾いつつ階層を進み、今は49層で次はもうボス戦だ。
道中は何事もなく、魔物が出てもルガードがほとんど瞬殺するのであまり出番はない。
たまに思い出したかのようにネレが倒したり、フェイが弓で射ったり。
俺もお得意の氷の結界で凍らせて倒したりした。
そうして進んでるとネレが何か発見したのか声をかけてきた。
ネレが指さしたほうを見ると通路の奥に草がいっぱい生えていた。
「あれって......。」
「話しにでてた採取ポイントね。せっかくだし見ていきましょうか?」
「おう。」
「えぇ、いいですね。」
「いこー!」
「おー。」
採取ポイントに近づくと草が密集しているからか、今までダンジョン内では嗅いでこなかった緑の匂いがする。
床と壁の下4分の1ぐらいまで草で覆われていてダンジョンの床は見えない。
壁には鉱石なのか、何かの結晶の様な物が生えている。
「これが採取ポイントか......壁に生えているのは鉱石なの?」
「えぇ、そうですよ。ついでだし取ってみますか?」
アキリスはそう言って自身のアイテム袋からつるはしの様な物を取り出して渡してきた。
「お、おおう。やってみるか。」
受け取ったつるはしは500ミリペットボトルほどの長さの棒に、折りたたんである掘る部分が付いている。
この先端の部分って何て名前なんだろう?
ってか、こんなちっちゃいので掘れるのか?めちゃくちゃ軽いしとても硬い鉱石を掘れるようには見えない。
「このまま叩けばいいの?」
「えぇ、軽くで大丈夫ですよ。それも魔道具でして、触れるだけで鉱石が取れますよ。」
「これ、魔道具なのか......。」
取り合えず壁に生えている、黄色い鉱石に軽くつるはしをコツンっとあててみる。
するとキィィィンっと静かな音が鳴って壁から鉱石がポロっと落ちた。
「何だこれ、何か不思議な感じがする。」
「ふふっ、まぁそういう物ですから。」
薬草を拾いつつ返事をするアキリス。周りではルガードとネレが周囲の警戒をしていて、フェイとドリスが鉱石と薬草を採取している。
5分ぐらい採取をしていると、目の前で次に取ろうとしていた鉱石が光になって消えた。
「あれ? 消えたんだけど。」
「採取ポイントが移動したみたいですね。」
「ほー、移動するとこんな風になるのか。」
これまた何とも不思議な光景だったな......。
「とれた薬草と鉱石は何だったんだ?」
「それは帰ってからゆっくりできる場所まで楽しみにしていましょう。」
「たしかに、それもありだね。」
帰ってからの楽しみがあるのもいいかもな。
「それじゃぁ進みましょうか。」
「おー。」




