スコッパーと水属性の魔法使い
事前に「水属性の魔法使い』の作者さんには了承をいただいた上で投稿しています。
2020年5月末。
私は「スコッパーになろう」というエッセイを勢いのまま書き上げ、「小説家になろう」に投稿した。
そのエッセイは、当時スコッパー向けのサイトを立ち上げたことを宣伝するという下心もありつつ、なろう批判が多かったエッセイ部門に一石を投じるという目的のために書いたものだ。
投稿後は、Twitterの自分のアカウントで紹介したことがきっかけで日間のエッセイ部門1位を獲得し、最終的に総合日間ランキングの150位辺りまで打ち上がったのであった。そのおかげで多くの方に読んでもらうことができた。
あれから9ヶ月。そのエッセイをきっかけに生まれた稀有な出来事について触れておく頃合いかと思ったので、またこうやってエッセイを書くことにした。
ちなみに前作では、私のサイトの他に「なろうRaWi」というサイトも紹介したのだが、その後サイトのオーナーの下城米さんは、書籍化作家になってしまわれた。世の中どう転ぶか分からないものである。
さて。
前のエッセイでは、スコッパーになる意義を説いていたのだが、説いていた私自身は、推し作品にレビューを書き、日間ランキングに載れば大喜び、いつか自分の手で書籍化される作品を掘り当て推しまくりたい!というささやかな野望を抱く、実に小市民的なスコッパーに過ぎなかった。
そんなわけであるから、私の書いたエッセイで「私もスコッパーになろう!」て思ってくれる人なんて居る?というのがランキングに載った際の心境であり、評価していただけたことに感謝はしつつも、淡々と日課のスコップを続ける日々に戻っていった。
そうして出会った作品が『水属性の魔法使い』である。
読み始めてたったの1日で、当時の最新話(約100話)まで追いついてしまうほど気に入ってしまった。
そこで、感想欄にもコメントを残したのだが、書いて30分もしないうちに作者さんから返信が来たではないか。しかもその返信がおそろしく運命的だった。
「新大宮さんのエッセイ『スコッパーになろう!~』は読了しております。しかも今日…。ですので、その作者の方からコメントいただき、ものすごく驚きました…。」
いやいや、そんなことある?確かにランキングにも載ってそれなりに反響があったさ。でも、スコップして私が黙々と読み耽ってる間に、向こうは私のエッセイを読んでたって、これもうドラマ化するレベルの運命でしょ。
だから、読んだ次の瞬間には「この作品にレビューを書くぞ!」と、ベートーヴェンのダダダーンという音色を背景に、決意を固めている自分が居た。
そこからは呆れるほど迅速だった。1時間ほど推敲を繰り返しながらなんとか400字以内に収め(いい加減もう少し増やしてくれないですかね、運営さん)、返信をもらって1時間半後には、レビューを世に送り出したのである。
その後、運命に誘われて産み落とされたそれは、たまたま『水属性の魔法使い』と相性の良い読者の目に留まり、いつもより多くのブクマと評価を獲得していった。そしてレビューを投稿した日の夜の総合日間ランキングの末端に押し上げることに成功したのである。
と、ここまででスコッパーとして「やってやったぜ」という心境になったものであるが、『水属性の魔法使い』のその後の勢いは、予想を遥かに超えていた。
日間の表紙入り(1-5位に入りらとなろうのトップページに作品タイトルが表示されること)するほどの爆発力は無かったものの、驚くほど長期間10位前後をキープしていたのである。
そして、感想欄の対応に苦慮した久宝さんが感想欄を閉じそれを知った私が心配してDMを送ったり、なぜかあらすじに「読むかどうかはレビュー見て決めて(意訳)」という大胆な誘導文が挿入されて、「こ、こんな私のレビューに作品の命運託して大丈夫ですか!?」とドキドキさせられるみたいなエピソードを生み出しつつ、運命の日を迎えたのである。
そう書籍化の発表である。
私は「いつか自分の手で書籍化されるような作品を掘り当て推しまくりたい!」というささやかな野望を実現してしまったのである。
もちろん、すごいのは久宝さんとその作品であって私ではない。でも、世の中に認められる才能を埋もれさせることなく、日の当たる場所に押し上げられた、そのお手伝いができたのである。もうそりゃ痺れますよ。最高!!!
というわけで。こんな経験一生に一度あるかないかだと思いつつも、読者の一人一人が頑張って推せば、日の目を見ることだってあるんだぞと、私自身が証明することになったわけである。
だから、9ヶ月前よりもちょっと胸を張って私は言いたい。
なろうのランキングに不満があるなら、文句を言うのではなく、自分が「これだ!」て思える作品を見つけ、推しまくったら良い。
スコッパーになろう!
ところで、推し作品『水属性の魔法使い』は3/10に第1巻が発売となります。予約も好調みたいなので(先日Amazonのファンタジー部門で5位に入ってました)、このエッセイで初めて作品名を知ったって人が居るなら、ぜひ一度読んでみてください。