捏造の王国 その34 宣言はしたものの、対策だめだめで批判殺到不安増大…桜散り逝く水面に映ったのは、ガース長官戦慄の未来像
新型肺炎ウィルスにかこつけて緊急事態宣言を出したニホン国アベノ政権。この勢いで憲法改正をねらうガース長官が、閑散とした地元グンミョウジの川べりを散歩していると、聞き覚えのある声が。昨年の悪夢以上の恐るべき未来像を見せつけられて…
春も盛りをすぎ北半球全体で行楽シーズン目前とはいうものの新型肺炎ウィルスの猛威に超大国のトップですら手を焼く今日この頃。表向き独立国実質米国属国であるニホンでもウィルスの蔓延に右往左往していた。
「はあ、緊急事態宣言を出したものの、実質あまり変わらないのだが…」
と、ため息をつきながら川べりの公園を散歩するガース長官。久しぶりに地元グンミョウジに帰ってきたのだが、度重なる自粛要請の上、ついにアベノ総理が緊急事態宣言を出したため、この時期は人で賑わうはずの公園も人影もまばらどころか閑散としている。いつもなら散りかけた桜を楽しむ小舟が行きかう川も浮かぶのは水鳥ばかり、人の姿はほとんどない。
「夫人に議員どもが騒ぐから、かなり甘い制限となったが、なんとか宣言にはこぎつけた。もともと今の憲法ではそれほど制限できないから、憲法改正にもっていこうと思ったのだが、アトウダ大臣が財務省のつきあげで国民に対する補償をしぶって、総理も同調してしまうし…」
官邸では言えない愚痴を思わず口にするガース長官。あたりには誰もおらず、人の姿と言えば水面に映る自分自身。
「ああ、心なしか目に隈が、顔色もなんだか…」
髪の毛もだいぶ疎らになっているが、それは絶対に触れたくないガース長官だが
『去年より頭も薄くなったねえ』
「ぎゃああああ、それを言うなあ」
突然、聞こえてきた何となく聞き覚えのある女性の声に思わず叫ぶガース長官。
ガース長官の動揺に全く動じず、声の主は
『そうはいっても、本当のことだからねえ。相変わらずロクなことやってないねえ、アンタ。地獄めぐりは全く役にたってなかったねえ』
「ひいい、奪衣婆か、あ、あれは夢だったはずだあ」
去年の地獄めぐりの悪夢(詳しくは“捏造の王国 その14 グンミョウジ春の地獄めぐりツアー・あれが私の死後なのか!byガース長官”をお読みください)を思い出し、恐怖にのけぞるガース長官。
(ま、まさか、もうお迎えが!知らぬ間に新型肺炎ウィルスにかかっていたのか!や、やはりアトウダ副総理の愛人の店で蔓延していたのか。それとも夜遊び接待うけたバカ官僚の誰かからか)
見当外れというか、すべての責任は他者にありとの思考丸出しのガース長官に声だけの奪衣婆は淡々と
『いやあ、もう、アンタやアベノだのアトウダだのハギュウダンだのって連中はさあ、地獄みせるより、生きてるうちに償ってもらわんと地獄も大変だからってことでさ』
「た、大変なら責め苦なしでいいじゃないかああ」
『そうはいかないよ。だいたいアンタらだって税金の取り立てだけはきっちりやるじゃん、出すのは渋るくせに。なんだっけ今回の騒ぎの補償って、大量の書類書いたり、難しい手続きクリアしないともらえないうえに諸外国から比べて雀の涙、アキエコ夫人の一回の食事代にさえ及ばない程度しかもらえないんだって、一世帯あたり』
「そ、それは、そのう、予算が」
『嘘ついちゃだめだよ~、布マスク配るのやめたり、アンタらの給与だの政党助成金だの削れは国民一人あたり30万は軽いよねえって試算もう出てるのに、って。この間そこのグンミョウジ観音で呪いながら祈ってた人いたよ』
「の、呪いってまさか」
『もちろん、対象はアンタだよ、ガースちゃん♪天罰が下るようにって祈ってたわけさ。そんなことされたら観音さんも困っちゃうよねえ。で、さあ、一人じゃなくてかなり来たわけよ、しかも観音さんだけじゃなくてアチコチの仏様、神様がおねがいされちゃってさあ、みんな頭抱えちゃって、閻魔様のとこに苦情っつうか相談が来ちゃってさ。で、私が上司である閻魔様に副職っていうか、雑用っていうか、本職はずれた職務を言い渡されたわけよ、アンタに一回会ったことあるってことでえ』
(で、できれば現世でも来世でも二度と会いたく、いや声も聞きたくなかったのにいい)
内心嘆くガース長官。しかし、彼の心のうちなど一ミリも考慮せず、奪衣婆の声は続く。
『ってなわけで、アンタを改心させるには地獄より、現世の近未来の自分の悲惨な姿を見せた方がより効果的であるんじゃないかってことで、さあ、ご覧あれ』
「え、ええええ」
思わず叫ぶガース長官。しかし、目は川に釘付けになっている。その水面に映るのは
“アベノの愚策のせいで、俺の店はあ、家族は。休業補償もせずに自粛自粛いいやがって。外出自粛、人の集まる場所はいかないようにていえば、飲食店なんて人が来なくて、減収に決まってんだろ!それもわからねえ野郎が長官なんぞ笑わせるぜ”
鬼のごとき形相で包丁をもって迫る初老の男性。いや一人ではない老若男女が怒りに満ちた表情で向かってくる。
『やー、アンタらの緊急事態宣言のときの経済政策の大失敗でさ、職も住まいも家族もなんもかんも失った人たちだよ』
今にもガース長官に襲い掛かろうとして得物をもって詰め寄る人々の声、声、声。
“お前らアベノ政権のせいで、あのウィルスが蔓延したんだ…、何?仕方なかっただと?国際大運動大会なんぞ、さっさとあきらめて検査やって早期発見してりゃよかったんだ、隣国はそうして封じ込めただろ。それなのにバカにしてた隣国の真似したくないとか、アホは死んでもなおらねえんだなあ”
“ウィルス対策で休業になって大量の派遣切りにあった人達、ネットカフェの休業やらでネットカフェで寝泊まりするしかなかった人々がどうなったと思ってるんだ!もともと底辺の貧困の人がさらにどん底の底抜けだ。助けようとした我々貧困対策のNPOも手一杯。あまりの悲惨さに自殺した、仕事が多すぎて過労死した同僚もいた、全部お前らのせいだ。ジコウ党が長年やってきた庶民いじめに、アベノ政権のおかげで大量の人が死んだんだ、お前らが虐殺したも同然だ”
『あ、そうだ初期対応に大失敗したんだよねえ、アンタの政府。おかげで感染拡大、経済はダメダメ、必死こいてあげてた株も爆下げ。ウィルス蔓延した客船の感染区域をドアで区切っただけっていうアレ、閻魔様も噴き出しちゃったよ、あんまりバカなことやるから。そのあとに死者急増で地獄もラッシュになって、笑うどころか、地獄の鬼までも俺たちの仕事を無駄に増やしたアベノ政権打倒云々言い出したけど』
“ガース、お前らはマスクやってるくせに、医療従事者は不足で感染拡大。お、俺の妻は、医者だった妻はあ、患者のために休めないって、具合が悪いのに診察して、移っちまって。それなのにアキエコはのんきに花見なんぞ。てめえらみんな地獄に落ちろ、いや、生き地獄を味わえ!”
『まあ肺炎ウィルスで直接死んだ人だけじゃないからねえ。イタリアやらスペインやらも財政危機って、お偉方の給料だの財産に手をつけないで医療に手をつけて医療崩壊起こして死者急増、医療従事者も犠牲ってなったからさあ。キリストさんとこの地獄も大変なんだよ、医療削減を決めた政治家やら汚職官僚やらが落とされてさあ。善良なキリスト教徒があいつらに復讐するためなら悪魔になる、とかいってて、それとめるのに天使さんが走り回って。天国も地獄もしっちゃかめっちゃか。まあ、うちもそうだけど、鬼やら獄卒になってアベノ政府のやつらや、御用芸人、学者を責め殺したいって希望者が殺到してるし』
(そ、そんな、一応対策は。いや病床足りないのは事実だし、検査も確かに絞っている。し、しかし私たちとて、その)
と必死に言い訳するガース長官。が、さらに怒り狂った庶民の声は続く。
“先進国でもないはずの隣国や中国が感染を止められて、なぜG7の我が国ができなかった!それもこれもお前らがバカなくせに財界や諸外国にいい顔しようとするからだ!財界の奴等も同じ目に合わせてやるからな。警察官やら自衛隊で、こっちについたやつもいるし、俺たち庶民が官公庁に押し寄せてるからビビってんだろ、数が半端ないからな、お前らに苦しめられたのは国民の大半だよ!”
“夫も、子供も、両親もアンタたちのせいで失ったわよ、希望もない、いいえ、アンタたちを八つ裂きにして、数十倍の苦しみを与えるのが私の今の望みよ!”
“苦労して大学出たのにウィルスのせいですぐに失業。結婚するはずだった彼女もボロボロ、オヤジの商売もお前らが変な時に宣言するからつぶされたよ。あの時期に出したらこうなるとわかってただろ!せめて2月にだしときゃ、書き入れ時のゴールデンウィークには回復したのに!お前らが国際大運動大会の利権にこだわったせいで、こんなことに!お前らだけじゃない、お前らの家族も同じ目に!”
と青年たちが引きずり出してきたのは、ガース長官の一人息子と妻。猿轡をかまされた顔は殴られたのかアチコチがはれ上がって、恨めしそうにこっちを見ている。
“アトウダの息子なんて、親がバカなせいで殺されるなら、俺がオヤジを殺すから女房子供は勘弁してくれって懇願しやがったから、その通りにしてやったよ。ホント、アホでバカな親を持つと子供はたまったもんじゃないな”
“アベノは子供がいないから、甥っ子二人がアベノ夫婦とヨーコ婆を殴り殺す羽目になったらしいが、どうせ本人たちも半殺しになるんだろう。それでも死ぬよりはましだな。それもこれもバカで威張りたがりの身内がいたせいだ、バカはおとなしく親の金だけ食いつぶしてりゃよかったんだ。色気をだして人様の税金に手をつけたり、権力握ったりするから報いを受けるんだ”
“本人が逃げても子孫が報いを受けるなら、大迷惑な親よねえ、いない方がマシなぐらい”
“バカな親でもいなけりゃ生まれてこれねえからなあ。親の報いを受けないためには親を止めるか殺すしかないのか。因果なもんだ”
“そもそも親がちゃんと他人や家族、子孫のことを考えて職務に真摯に励んでいれば、こんなことにはならないだろうに”
といいながら上品な紳士がステッキをガース長官の息子の頭めがけて振り下ろした!
「ぎゃあああ、やめてくれええ」
息子の頭がザクロのように割れる寸前、水面は真っ暗になった。
「はあ、はあ、夢…か」
思わず膝をつくガース長官。
「夢でよかった…のか」
昨年に引き続きの悪夢に唸るガース長官。桜がみせた夢か現か。ニホン国の終焉を予感させるがごとく不気味なまでに静かに散りゆく桜をみながらイヤーな気分満載のガース長官であった。
どこぞの国では形ばかりの遅すぎる宣言を出したようですが、平日はほぼそのままの満員電車に、補償なしの休業要請。他国に合わせて出しただけ感満載の宣言の効果がプラスどころかマイナスになりそうな気配です。本文のごとく為政者たちがトンデモな報いを受けるか受けないか、数か月後どうなるのでしょうねえ。