表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Cafe Shelly

Cafe Shelly 夢に向かって

作者: 日向ひなた

「ねぇ、思考は現実化するって話、知ってる?」

 またその話しか。オレは少しうんざりした顔で芙美恵の顔をにらんだ。芙美恵とは一年前に大学のサークルで知り合った。なかなかかわいい子なのだが、ときどき口から飛び出るこの突拍子もない話にはちょっと困っている。

「芙美恵、またその話かよ。今日くらい普通のデートをしようや」

 オレは芙美恵のふくれっ面を横目に歩き出した。

 もうこんな状況は慣れっこだ。芙美恵はオレに時々こんな話を持ちかけてくる。

「ありがとうって言葉にはすごいパワーがあるんだよ」

「いい言葉を使っていたら、それに引き寄せられてどんどんいいことが起きるんだ」

「人に与えたものはそのうち何倍にもなって戻ってくるのよ」

 どれも最初はなるほどいい話だと思って聞いていたが、芙美恵の話がエスカレートするとそのうち神様が登場してくる。最初のウチはどこかの宗教団体にでも入っているんじゃないかと疑ったこともある。しかしそういった形跡もなく、聞けば成功した人の本を読んだりCDを聞いたりしているうちにそう考えるようになったそうだ。

 オレは現実主義で目に見えないものは信じない方だ。神様なんて言葉が出たらうさんくさく思ってしまう。

 そんな現実主義のオレと、神様の話をする芙美恵がどうしてこうやってつき合っているのか。これはオレにもよくわからない。ただ芙美恵はこの話さえしなければオレにとっては最高の彼女であることは間違いない。

「で、今日はどこに行こうっていうんだよ」

「うん、ウチの学部を卒業した先輩で伝説になっている人がいるの。その人のお店に行きたいって前々から思っていて」

 その話ならうわさで聞いたことがある。ウチの学校は外国語を専門としているのだが、その先輩は優秀な成績で卒業したにもかかわらず、学生時代に目覚めたカウンセリングとセラピストの道を歩んでいると聞いている。

「ふぅ~ん。じゃぁお店ってセラピストか何か?」

「ううん、喫茶店だって」

「えっ、喫茶店?」

「うん。確かこの辺だって聞いたんだけど…」

 オレと芙美恵がいるのはちょっと変わった通り。道は鮮やかなカラーのブロックが敷き詰められている。通りの幅は車が一台通る程度。道の両端には歩道になるくらいの幅をもたせて、ブロックづくりの花壇が設置してある。

「へぇ、こんな通りがあったんだ。知らなかったなぁ」

 オレの言葉をよそに、芙美恵は友達からもらった地図とにらめっこをしている。

「おい、ここじゃないのか?」

 オレはドリンクとフードメニューが書かれてあるボードを発見した。

「えっと、カフェ・シェリーか」

「そうそう、ここだわ。この二階にあるのね」

 芙美恵は足取りも軽く階段を上がっていった。オレは逆に重たい足をなんとか上げながら階段を上った。ま、うわさの伝説の先輩とやらの顔を見てさっさと帰る事にするか。確か話によると結構美人らしいし。

 芙美恵は一足先にドアの前に到着し、オレが上がってくるのを待っている。

「直人、早くはやくぅ」

「そんなにせかすなよ」

 オレがようやくたどり着いたと思ったら、芙美恵は間髪入れずに入り口の扉を開いた。

カラン、コロン、カラン

「いらっしゃいませ」

 心地よいカウベルの音と同時に聞こえるさわやかな女性の声。オレはその声を聞いて先ほどまでのだるい気持ちがどこかへ吹き飛んでしまった。

「あ、は、はいっ」

 オレはつい声が裏返ってしまった。

「直人、なに緊張してんのよ?」

「あはは、どうぞお好きなお席へ」

 オレと芙美恵は三人掛けの丸テーブルの席に座った。それにしてもきれいな人だなぁ。オレは女性店員の姿をじっと見ていた。この人が伝説の先輩なのかな?

「直人、なにデレデレ見てるのよっ」

「で、デレデレなんかしてねぇよ」

 芙美恵にそういわれたものの、オレはちょっとその店員の姿に見とれていたのは事実だ。

「ご注文が決まりましたら声をかけて下さいね」

 女性の店員は水とメニューを持ってきてオレ達にそう声をかけてくれた。

「あのー、すいません。私たちそこの外語大学の生徒なんですけど…」

 芙美恵が唐突にそう言葉を発した。

「あらー、じゃぁ私の後輩だ」

「あ、やっぱりそうなんだ。あなたがマイさんなんだ」

 へぇ、マイさんっていうんだ。

「私たち、今日はマイさんに会いに来たんです。友達から聞いて、私とてもマイさんにあこがれていたんですよ」

「あらぁ、なんだかうれしいわ」

「マイさんって学生時代に高校の先生に導かれてカウンセリングとかセラピーの道を歩み出したって本当ですか?」

 あれ、オレが聞いていたのと少し違うぞ。

「芙美恵、オレが聞いていたのは学生時代につき合っていた彼氏に誘われてこの道に入ったっていうことだったぞ」

「あはは、まぁ人のうわさってあいまいなところがあるからね」

 マイさんは笑ってそう答えてくれた。

「とりあえずご注文を先にお聞きしますね。何になさいますか?」

「あ、それじゃぁ何かおすすめはありますか?」

「そうね、やっぱりお奨めはシェリー・ブレンドかな」

「じゃぁそれを二つお願いします」

「はい。マスター、シェリー・ブレンド二つです」

 マイさんの声に応えて、カウンターの奥から

「シェリー・ブレンド二つ、かしこまりました」

と渋い声が聞こえた。カウンターの方を覗くとこの店のマスターがコーヒーを入れる準備をしている。

「ね、マイさんってステキでしょ。なんでもね、学生時代に観光のためのミスコンで最終選考まで残ったらしいのよ」

 なるほど、さすがはそれなりの魅力を持っているわけだ。オレの目はカウンターでマスターと話をしているマイさんに釘付けになっていた。

「あのマイさんね、いろんなことを自分の思いのままに実現したって事で私たちの間じゃ伝説になっているのよ」

「へぇ、どんなことで?」

 オレはマイさんの姿を眺めながら芙美恵の言葉に相づちをうった。

「まずは学生の時にプロのセラピストになったでしょ。それから外語大に通いながらもカウンセラーの資格をとっているし。他にも今では有名なコンサルタントの人とお友達にもなっているんだって。何よりステキな彼氏を見つけて、いろいろと二人三脚でやっているって話だし」

「へぇ、運が良かったんだ」

「あらぁ、運じゃないわよ」

 オレの言葉にマイさんが言葉をはさんだ。

「えっと、芙美恵ちゃんだっけ?」

「はい、そうです。わぁ、名前を覚えてもらえてうれしいなっ」

「芙美恵ちゃんはどう思っているのかな?」

「そうですねぇ、確かに運っていうのもあるけれど、運も実力のうちって言うじゃないですか。だからこれはマイさんがその運を引き寄せたってことになるんだと思うんですよ」

「まぁそうとも言うけれど、何でもかんでも実力で引き寄せられるとは思わないな」

 今度はオレが言葉をはさんだ。

「じゃぁ君は…えっと、名前は?」

「あ、直人といいます」

「直人くんはどう思っているの?」

「そりゃぁ実力で運を勝ち取るっていうのもあるだろうけれど。でも宝くじみたいなのは実力じゃ勝ち取れないじゃないですか。そもそも人には才能っていうのがあるでしょう。あれは生まれ持ったもので、生まれてきたときからその才能に恵まれているって事は一つの運じゃないですか?」

「なるほどねぇ。直人くんの言うことももっともだわね。じゃぁ直人くんが言っている偶然性の高い運って、人生のうちのくらいの割合で起きるんだろうね」

 オレはマイさんの言葉に少し考えてしまった。

「宝くじなんて一生のうちに一回当たればすごいだろうから。かなり低い割合じゃないですか」

「ゃぁその他はすべて運が無いって事になるんだ」

「いや、そうじゃないとは思うけど…」

 オレは言葉に詰まってしまった。

「そうよ、マイさんの言う通りだわ。そりゃ直人の言うように偶然性の高い運もあるだろうけれど、結構実力で勝ち取った運の方が多いんじゃないかな」

 芙美恵はここぞとばかりに勝ち誇ったようにそう言った。

「じゃぁ芙美恵ちゃんにも質問。どうやったら実力で運を勝ち取ることができると思う?」

「え、そ、それは…」

 今度は芙美恵が言葉に詰まってしまった。

「ほぉら、わかりもしないことをさもわかったように言うんじゃねぇよ」

 今度はオレの反撃だ。

「じゃぁマイさんはその運を勝ち取る方法を知っているんですか?」

 マイさんはにこっと笑ってオレ達にこう言ってくれた。

「そうね、今日はその方法を教えてあげる。でも私じゃなくてマスターに聞いた方が早いかな」

 マスターの方を見ると、今までの会話を聞いてくれていたのか微笑みながら首を縦に振ってくれた。

「まずは当店自慢のシェリー・ブレンドを召し上がれ」

 そう言ってマスターは二つのカップを差した。

「あ、はい。いただきます」

 オレはマスターの差し出したカップに手を伸ばし、そのまま口元へ。そのコーヒーを一口飲んだときに思わずこうつぶやいた。

「う、うまい…」

「ホント、コーヒーがこんなにおいしいなんて。今まで思ったことなかったわ」

 芙美恵も同じように感じたようだ。

「例えて言うとどんな味かしら?」

 マイさんはそう質問してきた。

「そうですね…なんて言うか、力が湧くって感じですね。そう、希望を持って何かに臨むときに飲むと元気になれる。そんな感じがします」

 オレは今までそんなこと考えたこともないのに。口から先に言葉が出てきた、そんな感じがした。

「芙美恵ちゃんはどう?」

「私はちょっと違うんですよ。そうですね、ホッとするというか安心感が生まれたというか。例えて言うなら母親に抱かれてる、そんな感じかな」

「うふふ、二人ともシェリー・ブレンドに気に入られたようね。じゃぁマスター、あとはよろしくね」

 マイさんはそう言ってカウンターへ移動していった。

「じゃぁ、ここ座ってもいいかな?」

 そう言って三人掛けのテーブルの空いた席にマスターが座った。

「まったく、マイも人任せなんだから」

 そう言いながらもマスターの目は笑っていた。

「あの…運を勝ち取る方法ってあるんですか?」

 芙美恵はマスターにそう質問した。マスターは笑ってこう答えた。

「うん、あるよ。というよりも、今君たちがこうやってこの話を聞くこと自体、運がいいとは思わないかい?」

「えぇ、まぁ」

「芙美恵はそうかもしれないけど、オレはそうは思いませんよ。オレは半分無理矢理連れてこられたんだから」

 オレはちょっとだけマスターに反抗してみた。それに芙美恵はこんな話が好きだからいいだろうけれど、オレにとっては苦痛の何者でもない。

「あはは、そうか。だったら直人くんはかなり運がいいぞ」

「え、どうしてですか?」

「直人くん、君には将来大きな夢があるだろう。その夢は人に話してもなかなか理解してくれない。そうじゃないかな?」

「え、そ、それがどうしてわかったんですか?」

 マスターの言う通り、オレには大きな夢がある。実は芙美恵にもナイショにしていたんだけれど、趣味で小説を書いている。今まで何度か新人賞に送ったことがあるけれど、入選にかすりもしない。けれどいつかは文学賞を取って文壇デビューしてやる。

 しかしそのことを以前友達に話したら

「そんなのできっこねぇよ」

と鼻で笑われたことがあった。それ以来、オレは小説を書く意欲をなくしてしまった。だが心の奥ではその夢は失いたくないと思っている。

 気がついたらオレはそのことをマスターと芙美恵に淡々と話していた。

「そうか、直人くんにはそんな夢があったんだね。すごいじゃないか」

「へぇ、直人が小説家にかぁ。なんか考えたらワクワクしてきたわ。ねぇ、その夢はあきらめて欲しくないわ」

 オレは今までの友達とは違う二人の反応に少しとまどいを覚えた。と同時に少しホッとした気持ちにもなれた。

「あ、ありがとう。でもマスター、どうしてオレがそんな夢を抱いているなんてわかったんですか?」

「それはね、シェリー・ブレンドが教えてくれたんだよ」

「ど、どういうことですか?」

「シェリー・ブレンドはね、今自分が欲しがっているものの味がする不思議なコーヒーなんだよ。直人くんは希望を持って何かに臨む味がする、そう言ったよね。だから今何か大きな希望とか夢を持っているけれど、二の足を踏んでいる状態だと思ったんだ」

 マスターのその言葉をにわかには信じられなかった。オレは目の前にある飲みかけのシェリー・ブレンドにもう一度手を伸ばした。

「あれ、さっきと少し味が変わった気がする…」

「そうか、味が変わった感じがしたんだね。今飲んだ時はどんな味がしたかな?」

「そうですね。今度はどちらかというとオレがシェリー・ブレンドの味を受け入れたというか。素直にこれだって思いました」

「じゃぁ直人くんはどんなものを望んでいたと感じるかな?」

 オレは腕を組んで少し考えた。すると自分が望んでいるものがすぐに直感として浮かんできた。

「わかりましたよ。オレは自分の小説をみんなに受け入れて欲しいんだ。多くの人に読んでもらいたい、そしてオレの小説で何かを感じて欲しい。その欲求が味として出てきたんじゃないでしょうか」

 そう言ってオレはシェリー・ブレンドをもう一回口に含んだ。先ほど飲んだ時と同じ、いやさらにその印象が強くなって自分の舌にとけ込んだ。

「直人の小説、読んでみたいなぁ。ねぇ、私には一回も読ませてくれてないでしょ。今度読ませてよ、ね、お願い」

芙美恵がそう懇願してきた。

「あぁ、わかったよ。今度データで持ってくるから。それよりこのシェリー・ブレンドはどうしてこんな不思議な力があるんですか?」

 オレはこのコーヒーの謎が知りたくなった。だがマスターの答えはこうだった。

「残念ながら私にもわからないんだよ」

「わからないって? じゃぁマスターはこのシェリー・ブレンドをどうやって手にしたんですか?」

「じゃぁ私自身の話を少しさせてもらってもいいかな」

 オレと芙美恵はゆっくりと首を縦に振った。

「私はね、昔教師をやっていたんだよ。そして昔からコーヒーが好きでね。そのころの夢は、いつかはこんな喫茶店を開くことだったんだ。しかしその当時、それは夢でしかなかった」

 マスターは遠い目をして昔を思い出しているようだった。

「そんなある日、ある人物と出会ったんだ。いや、私がインターネットで検索をしていたらその人を見つけた、と言ったほうがいい。このとき直感的にこの人に連絡を取ろうと思ったんだ」

「その人は何をしている人なんですか?」

「う~ん、一言で言うのは難しいなぁ。まぁ人生のナビゲーター、という例え方をしておこう」

人生のナビゲーターかぁ。なんだか不思議なことをやっているな。

 マスターの話はさらに続いた。

「私はその人と意気投合して、すぐに友達になったんだ。そしてその人と話をしていると、不思議と自分の夢が夢じゃなくなってきていることに気づいたんだ」

「夢が夢じゃなくなるって、どういう事ですか?」

 オレは不思議に思いそう尋ねた。

「夢が夢でなくなる。直人くんはどういう事だと思う?」

 今度はマスターが逆にオレに質問してきた。

「そうですねぇ…今はこうやって実際に喫茶店をやっているのだから、その夢が現実に変わった。そういうことですか?」

「半分正解ってとこかな。しかしその時点では私はまだ喫茶店はやっていなかったんだよ。しかしある部分ではそれが現実に変わっていったんだ」

「ある部分って何ですか?」

 今度は芙美恵がマスターに質問した。

「芙美恵ちゃんは何だと思う?」

 マスターはオレに質問返しをしたのと同じように芙美恵にも質問を返した。

「たぶんだけど…マスターの意識の中でそれがフワフワした夢物語じゃなくて、しっかりとしたものに変わっていったんじゃないですか? 前に読んだ『思考は現実化する』って本の中にもそんなことが書いてあったような気がします」

 おい芙美恵、ここでそんな話題を出すことはないだろう。オレは心の中で焦ってしまった。だがオレの意に反して、マスターから返ってきた答えはこうだった。

「芙美恵ちゃん、大正解だよ。その人と話をしていると、夢物語だったのが徐々にそれができそうな気になってきてね。そうなってからがおもしろかったんだよ」

「そこからがおもしろかったって、何があったんですか?」

 芙美恵はマスターの話にかなり興味を示しているようだ。というオレも実は徐々にマスターの言うことの続きが聞きたくなってきていることに気づいた。

「何度もね、繰り返して話をしていくうちに『できそう』という気持ちがいつの間にか『やるぞ』という決意に変わっていったんだ。それとともに周りが動き出してくれたんだよ」

「周りがって?」

 今度はオレが質問をした。

「喫茶店をやるなら、ということでいろんな情報が集まりだしたんだ。こんなところにこういった物件があるぞ、とか、経営をするのならこういうものを知っておかなきゃ、なんてものまで。そして私は究極の情報にたどり着いたんだ」

「究極の情報?」

 オレも芙美恵もその続きが聞きたくてウズウズしている。その情報とは一体何なのだろう?

「マイ、あれを持ってきてくれないか」

 マスターはそう言うとマイさんに何かを持ってくるように指示した。そしてマイさんが持ってきたものとは、一冊のスクラップブックだった。

「ありがとう。これがその究極の情報なんだ」

 マスターはマイさんからスクラップブックを受け取ると、それを開いてオレ達に見せてくれた。

マスターの言う究極の情報。それは雑誌のコラムの切り抜きだった。その見出しにはこう書かれている。

コーヒーは人の心を映し出す

「このコラムは私の古い友人が知らせてくれたものなんだよ。昔から私がコーヒー好きなのを知っていたのと、成幸というものをいろいろ考えていたのを彼は知っていたからね」

 ここでマスターはメモ用紙をとりだし、そこに「成幸」と書いた。

「あれ、これって『成功』とは違うのですか?」

 オレは指で机の上に「成功」という文字を書いてみせた。

「今直人くんが書いたのは『功績を成す』という意味の成功だよね。それに対して私が、いや私たちが求めていたのは『幸せに成る』という意味なんだよ」

「へぇ、ステキな言葉」

 芙美恵はマスターの言葉に共感を示したようだ。オレもマスターの言う「成幸」には強い関心を示した。

「じゃぁこのコラムの記事がマスターの言う成幸につながっていたんですか?」

 オレの問いにマスターはこう答えてくれた。

「百聞は一見にしかず。よかったらこのコラムをゆっくりと読んでくれないか」

 オレと芙美恵は頭をつき合わせてスクラップブックに貼ってある雑誌のコラムを読み始めた。そこにはこんな事が書かれてあった。

「コーヒーは薬膳である。その人が今欲しがっている機能を補うことができる。今からやる気を出そうとしている人には興奮剤に。逆にゆっくりと落ち着きたいと思っている人には精神安定剤に。本物のコーヒー豆を使えば、その人が欲しがっている体の機能を回復する手助けをしてくれるのがコーヒーの魅力だ」

 なるほど、これはシェリー・ブレンドの効果そのものだ。オレ達が一通り記事を読み終わったのを見計らって、マスターはこう言葉を発した。

「私はこの記事を読んでピンと来るものがあったんだ。だから早速この雑誌社に電話をして、コラムを書いた人を紹介してもらったんだ。そうしたらなんとそんなに遠くないところに住んでいたよ。これも何かの導きだと思って、早速その人のところに出かけたんだ」

「マスターってなかなか行動的ですね」

 芙美恵はキラキラした目でそうつぶやいた。

「あはは。今思えば私もどうしてそこまで行動できたのかわからないよ。あのときは気がついたら体がそう動いていたって感じだったな。そして私はコーヒーの師匠となる人と巡り会うことができたんだ。今はその人からコーヒー豆を仕入れて出しているんだよ」

「それがシェリー・ブレンドなんですね」

「うん、直人くんの言う通りだ。その師匠から譲り受けた味。それこそがこのシェリー・ブレンドなんだ。そこに私ならではの一工夫を加えたことで、今度は心の奥で欲しがっているものが引き出せるという味が生まれたんだよ」

「それってどんな工夫なんですか?」

 芙美恵は身を乗り出してマスターに言い寄った。だがマスターは笑いながらこう答えた。

「それは残念ながら企業秘密だなぁ」

 さすがにそこまでは教えてくれなかったか。しかしとてもおもしろい話を聞くことができた。

「さて、直人くんに一つ質問していいかな?」

「えぇ、なんでしょうか?」

「ここまでの話を聞いて、これらがすべて偶然で起こったことだと思うかい?」

「いやぁ、そうは思いませんよ。だってマスターがコーヒー好きで喫茶店をやりたいということはこのコラムを送ってくれた友達も知っていたのでしょう? れは偶然とは言えないんじゃないかな」

「では何が効いたんだろうね?」

「そりゃぁ、マスターが常々喫茶店をやりたいって言い続けたからでしょう。だから周りの人がそれに協力をしてくれた。そうじゃないですか?」

「そうだね。これは私が喫茶店をやりたいと思い続けたからこそ実現できたことなんだ」

「まぁその通りですね。マスターがそうやって思い続けたから、そのきっかけをつかむことができたんですよね」

「では私が単なる夢物語として『いつかは喫茶店でもやりたいなぁ』としか思っていなかったらどうなっていたと思う?」

「まぁオレだったらこいつはそんなに本気だとは思わないですよね」

「そんな人に情報を送るような手助けはするかな?」

「オレだったらしないですね」

「さて直人くん。本気で思って人にその思いを伝え続けるのと、単なる夢物語を伝えること。この両者にどんな差が生じるのかはわかったかな?」

 マスターにそう言われて、オレは芙美恵が前々から言っていた言葉を思い出した。そう、この喫茶店に入る前にもオレに聞いてきたあの言葉だ。

 思考は現実化する。

 なるほど、そういうことだったのか。

「マスター、わかりましたよ。これが運を実力で勝ち取る方法なんですね。思いを強く持って人に伝えれば、自分へのチャンスは必ず廻ってくる。芙美恵、お前が言いたかったのはこれだろう?」

 芙美恵の方を見ると、にっこりと微笑んでいる。ふとカウンターに目をやると、同じような顔でマイさんも微笑んでいる。そしてマイさんはオレ達にこんな話を始めてくれた。

「運を実力で勝ち取る方法、それをもっと強くする方法もあるのよ」

「えっ、どんなことですか? 教えて下さいっ」

 芙美恵はマイさんの言葉に興味津々。オレも黙ってはいたがどんなことなのか知りたくてたまらない。

「じゃぁマイにバトンタッチだ」

 マスターはそう言って席を立ちカウンターへ。それと入れ替わりにマイさんがイスに座った。

「直人くん、類は友を呼ぶってことわざは知っているわよね」

「えぇ、同じような考え方を持った人たちは集まるってことですよね」

「それってどうしてだと思う?」

「どうしてって…やっぱり似たような考えの人同士共感するからじゃないですか。自分と違う考えを持った人とは友達になりにくいですよ」

「それって科学的に証明できるって知ってた?」

「科学的に!?」

 オレはちょっととまどった。そんなのを科学的に証明なんかできるのか?

 するとマスターが箱を手にしてやってきた。箱から取りだしたもの、それはU字の金属が二つ。それを台座に取り付け、二つ並べて机の上に置いた。

「これ、見たことあるかな」

「あ、私知ってます。確か音叉おんさっていうんでしょ。中学校の頃理科の実験で見たことありますよ」

 芙美恵が得意そうにそう答えた。

「じゃぁこの実験も見たことがあるかな」

 そう言ってマイさんは片方の音叉を叩いた。ポォ~ン、という音が鳴り響く。

 このときマイさんは叩いた方の音叉を手で握った。すると叩いた方の音叉の音は止まった。が、かすかにポォ~ンという音は鳴り続いている。

「あ、そうそう。もう一方の音叉は叩かなくても鳴るってやつだ。確かきょう…なんとかって言ったんじゃなかったかな」

「芙美恵ちゃん、かすかに覚えていたみたいね。これは共鳴っていう現象なの。同じ振動数を持つ物体同士は相手の振動に反応して動き出すってこと」

「あ、そういうの聞いたことはありますよ。でもそれと類は友を呼ぶっていうこととどういった関係があるのですか?」

「類というのは同じような考えを持つっていうことだったわよね。それはすなわち同じような振動数を持つっていうことになるの。よくこの人とは波長が合う、なんて言うでしょう。この波長というのがすなわち振動数のことなのよ」

「なるほど。自分の考え方と同じような考え方を持った人は共鳴してそれに反応するから集まるってことなんですね」

「そう、その通り。これは別名『引き寄せの法則』とも言うの。実はこれが運を呼ぶ秘訣でもあるのよ」

「引き寄せの法則かぁ」

 芙美恵はすごく感心しているようだ。

「そう。そしてこれは人を呼ぶだけじゃなくその波長に共鳴した出来事まで引き寄せちゃうの。だからウチのマスターのところにはマスターが望んだ情報が集まってきたってわけ」

「う~ん、マイさんの言いたいことはなんとなくわかるんだけど…」

 オレはマイさんの言うことがにわかには信じられない。本当にそれだけでいいのなら、世の中にいろんなことで苦しんでいる人間がたくさんいるのはおかしいのではないだろうか。だれだって幸せを望んでいる。だれだって不幸を願っているわけではない。なのにどうして自分の人生を幸せだと思っている人が少ないのだろうか?

 オレはその疑問をそのままマイさんにぶつけてみた。だがマイさんの答えは単純明快であった。

「直人くんさぁ、幸せになりたいって思った後にこんなこと思っていない。『でもねぇ、現実的には無理だよなぁ』って。だから無理だっていう現実を引き寄せているのよね」

 うっ、これはマイさんの言う通りだ。

「じゃぁマイさんはそうは思わなかったのですか?」

「うん。自分の未来は何でも実現するって当たり前に思っていたから。だから全て実現しちゃったのよ」

「すべて実現、ですか?」

「えぇ、すべて実現だよ」

 事も無げにあっさりとそう言いきるマイさんが信じられなかった。

「じゃ、じゃぁオレも思った通りの未来が実現できるってことなんですか?」

「うん、もちろん」

「だったらまずはどうすればいいんですか?」

 気がついたらオレはマイさんの言葉に夢中になっていた。と同時に小説家という自分の未来にもう一度賭けてみたい気持ちになっていた。

「まずは夢を夢でなくすこと。自分の未来をしっかりと見ること、かな」

「未来をしっかり見るって…そんなことできるわけが…」

 とここまで言ってしまったと思った。つい「できるわけがない」と言いそうになったからだ。これができない自分を作っているということにさっき気づいたばかりなのに。

「大丈夫。直人くんには芙美恵ちゃんという強い見方がいるから。芙美恵ちゃんの力を借りれば未来を見ることができるから」

「私の力を? 私にそんな力、あるのかなぁ」

 芙美恵は不安そうな顔でそう答えた。

「大丈夫、これは誰にでもできることだから。私もマスターとこれを繰り返したから今があるのよ。芙美恵ちゃんがやること。それは直人くんの話を聴いてあげればいいの。ただそれだけなんだよ」

「えっ、ただ話を聴くだけ?」

 芙美恵はビックリした顔をしている。オレもなんだか拍子抜けしてしまった。

「ただ話を聴くだけって、それで未来が見えるんですか?」

「それについては私から説明しよう」

 マスターがカウンターから出てきた。手には小さなホワイトボードを持っている。

「ただ話を聴くだけ、といっても直人くんが行う会話はちょっと特殊なんだよ。直人くんは小説家になりたいんだよね」

「あ、はい」

 するとマスターはホワイトボードに横線を一本引いて、その線上の左側と右側に小さな○を書いた。さらにそれぞれに下向きに矢印を書いて、左側には「現在」、右側には「未来」と書いた。

「ふつう私たちが未来のことを語るときにはこの現在から見た未来を語るよね。でもそれだとただの願望になってしまうんだ。今から語るのはすでにここ、未来になりきって話をしてもらうんだよ。直人くんが小説家になっている未来になりきってね」

 そう言ってマスターは「未来」の下に「小説家」と書き足して何度も指差して話をした。

「未来になりきって…」

「うん。それがもう実現していることとして芙美恵ちゃんと話をするといいのよ」

 マイさんがにっこり笑ってそう言ってくれた。

「そんなこと、できるかなぁ」

 オレは不安半分、そして本当にそんなことで夢が実現できるのかという疑い半分の目でそう答えた。だが芙美恵は目をらんらんとさせている。

「ねぇ、直人の未来じゃなくて私の未来をさきにしゃべらせてよ。なんだかワクワクしてきちゃった」

「じゃぁ私とやってみる?」

「わぁ、マイさんとおしゃべりできるんだ。うれしいっ」

 こうして芙美恵とマイさんの会話が始まった。芙美恵が語った未来は翻訳家として活躍している姿であった。翻訳家といっても海外の英文書を日本語に訳すのではない。その逆だ。日本の優れた文学や小説を英文書に訳すことで日本に住む外国人を手始めに海外でその名を広げている、ということだった。その未来をすでに活躍しているものとして熱く語る芙美恵。その表情はとても活き活きとしていた。ここでお客さんが入ってきたら、芙美恵がこの若さで活躍している翻訳家と間違うのではないかと思うくらいだ。

「芙美恵ちゃん、どうだった?」

「うん、とっても楽しかったです。そしてそれが夢じゃなく本当にできそうな気がしました。よぉし、がんばるぞ!」

 芙美恵のその姿を見て、オレもなんだか気持ちがウズウズしてきた。

「あ、あのぉ…オレも試してみてもいいですか?」

 オレは恐る恐るそう言ってみた。

「もちろん。あ、でも話し相手はマスターの方が適任かも。ね、いいでしょ」

 マイさんがそう提案。そばにいたマスターはもちろんとうなずいてくれた。

「よし、じゃぁ小説家直人くんの今の生活をちょっとインタビューしてみるか。それではよろしくお願いします。先生は今大変ご活躍ですが、毎日どのような生活を送っているのですか?」

 そう言ってマスターは記者になりきってオレにインタビューを始めた。少し照れくさかったが、オレもマスターの演技に習って大作家になりきってそのインタビューに答え始めた。そのインタビューの中でマスターはこんな事を質問してきた。

「今ここまで活躍するまではいろいろと苦労してきたと思いますが、自分の中でブレイクしたきっかけというのはなにかありますか?」

ここでオレは一瞬考えたが、脳で考えるよりも先に言葉の方が口から飛び出した。

「はい、学生時代に一度小説家になることをあきらめたことがありました。しかしその時に知り合った方たちに励まされて、夢をあきらめずにやり続けたんです。そうしたら自分の作品が広く読まれるようになって」

「へぇ、すごいですね! それがきっかけで今があるのですね」

「はい、夢をあきらめずに、夢を信じて、夢に向かって行動すること。これが成功の秘訣だと思っています」

 自分でもびっくりした。まさかこんな言葉が自分の口から出てこようとは。

 このとき、ちょっと前まで持っていた不安や疑いの気持ちは全く無くなっていた。それどころか小説家になれるという、何の根拠もないけれど大きな自信がオレの中に湧いてきた。

「直人、なれるよ。小説家になれるよ。絶対になれるよ」

 芙美恵が目頭を押さえて、泣きそうな声でそう言ってきた。

「直人くん、今の気持ちはどうだい?」

「はい、マスターのおかげでなんだかやれそうな気がしてきました」

 これは素直な気持ちだ。

「うん、君ならぜったいにやれるよ。しかしこのままだとまた自分の未来に不安を抱いたり、疑いを持ったりする状態に戻ってしまうだろう。だからこそ、芙美恵ちゃんと二人でこの会話をときどきやって欲しいんだ。そうすることでどんな困難に直面しても、そうなろうという意欲ある自分になることができるよ。私とマイもこれを繰り返して今の自分たちをつくりあげたんだよ」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

 このときオレはマスターの言葉に妙に素直になれた。やはり未来になりきって話をすることの効果を体感したからだろう。

「ところでマイさんはこの方法でいろんなことを実現してきたんですよね。よかったらその話を聞かせてくれませんか?」

 芙美恵はマイさんのことを羨望のまなざしで見ている。

「うん、オレもぜひ聞いてみたい!」

 オレも芙美恵の言葉に賛同。

「そうねぇ…」

 困ってるマイさんにマスターがこんなことを言った。「ほら、学生時代に車が手に入った話。あれをしてみなよ」

「へぇ、どんな風にしたんですか?」

 これはとても興味がある。

「あ、あれね。私ね、免許を取ったときにやっぱり車が欲しかったのよ。でも学生って身分だからそんなに贅沢はできないかなぁって思ったの。そんなときにこの方法を教えてくれた人と話しをしたのよ。このときに私のお父さんにも未来をイメージさせるといいって教わったの」

「どういうことですか?」

「私だけが未来をイメージさせるんじゃなくて、お父さんにも私が車を持ったらどれだけ便利なのかをイメージさせたのよ。そしたら…」

「そしたら?」

「なんとあっさりOKが出たの。これをマスターやその人にも話したらビックリだったわ」

「それはすごいや! マイさんも当然ビックリしたんですよね」

「ううん、私の中じゃ車が手にはいることは当たり前だったから。だから当然のことが起きたんだと思ったわ」

「これがマイのすごいところなんですよ。マイは自分がこうしたい、これを手に入れたいと思ったら、それがそうなることを当然だと思ってしまうんです。だから何でも手に入ってしまうんですよ」

 マスターがそう解説を加えてくれた。そうか、それがマイさんの伝説の秘密なのか。

「じゃぁ、今まで手に入れたものの中で一番すごいものって何ですか?」

芙美恵が調子に乗ってそんな質問をマイさんにぶつけた。

「え、一番すごいもの…そうねぇ…」

 マイさんはちょっと困った顔。でもすぐに顔を上げてこう答えてくれた。

「私が手に入れた一番すごいもの。それはね、こうやって集ってくれる多くの仲間かな。こんなふうに気の合う仲間と楽しく一緒に毎日が過ごせる。それが私にとって一番すごいものかな」

「ちぇっ、彼氏じゃないのか」

 芙美恵は何かを期待していたようでちょっと残念がっていた。

「あはっ。まぁそれも今言った中の一つではあるけどね」

 マイさんはちょっと照れながらも、さらにこんな言葉を続けた。

「だから今、こうやってカフェ・シェリーにいられるのよ」

「え、どういうことですか?」

 オレはちょっと意味がわからなかった。だが芙美恵は何かわかったみたいだった。

「あ~、ひょっとしてそうなんだ!」

「え、な、なんなんだよ。芙美恵、教えてくれよ」

 芙美恵は意地悪な表情でオレを見つめた。

「まったく、男ってのはホント鈍感なんだから。直人、教えて欲しい?」

「そ、そりゃぁ教えて欲しいさ。どういうことなんだよ、芙美恵?」

「じゃぁ、私と一つ約束してくれる?」

「なんだよ、どんなことを約束すりゃいいんだよ?」

「約束するって誓うのなら教えてあげるっ」

 うぅ~、なんか不利な立場だなぁ。でも教えて欲しい気持ちの方が強いのは間違いない。

「わかった、わかったよ。約束するって誓うから教えてくれよ。なにを約束すりゃぁいいんだよ?」

「簡単な事よ。私と直人の夢が叶うまで、マスターとマイさんみたいに未来の話を一緒にして欲しいの。ね、約束してくれる?」

 なんだ、そんなことか。オレはホッとした。

「それならお安いご用だ。いつでも話の聞き役になってやるぞ」

「ダ~メ。直人も自分の夢を話してもらわなきゃ、ねっ」

 芙美恵はウインクをしてオレを誘った。

 その日からオレと芙美恵の奇妙な会話の毎日がスタートした。だがオレは前のように自分の未来に不安や疑問はみじんも感じなくなった。

 そして再び小説を書くことをスタートさせた。

 前と違うのは、書いた小説に対して素直に反応してくれる仲間ができたこと。芙美恵やカフェ・シェリーのマスター、そしてマイさん。さらにはカフェ・シェリーを通じて知り合った友達。また前にオレのことをバカにしていた友達さえも、今ではオレの小説を楽しみに読んでくれている。デビューするにはまだまだ腕を磨かなきゃいけないけれど、これからは自分の夢に向かって進んでいくことは絶対にやめるつもりはない。

 え、芙美恵から何を教えてもらったのかって?

 いやいや、オレも恋愛話にはなかなか疎いなぁ、というのがわかった。なんてことはない、マイさんの彼氏というのは…

 おっと、これはそのうちオレの小説ネタとしてとっておくことにしよう。

 さぁて、今日も芙美恵と自分たちの未来を語る時間がやってきた。あ、ちなみにオレと芙美恵の未来には、いつの間にかおまけがいることになっている。

 え、おまけって何かって? それくらいはわかるでしょう。

 ま、芙美恵と一緒に未来を歩くのもいいかな。


<夢に向かって 完>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ