20.海辺の決闘、再演-seaside re-duel-(後)
「が、はぁっ……!」
凄絶な衝撃が、このわたし、高杉綾子の身体を貫いた。
正直、いままでの人生で一番「痛かった」。
なにが起こったのか。判断を終える前に。
二発目は、背後からやってきた。
「ご、う、が……っ!」
ばがん、と軽くわたしの身体が千切れながら宙を舞い、壁にたたきつけられて、その壁を破砕しながら再生を開始する。
まるでさっきの意趣返しだ。
不意打ちでぶん殴って壁にたたきつけた代償に、不意打ちでぶん殴られて壁にたたきつけられた。
「く、そ……っ」
わたしは状況をなんとか把握しようとして、
そこに第三撃が、真っ正面から来た。
「お、づ、う……っ」
耐えた。が、
「加速、加速、加速、加速、加速」
聞こえてきたささやき声に、ぞくっ、とする。
そしてその悪寒も消えないうちに、さらなる衝撃が身体に走った。
今度も耐えた――わけではない。
身構えていれば、自己領域の防御力が作動する。だとしても、運動エネルギーを完全に打ち消せない。
結果としてわたしはまたぶっ飛ばされ――
「剛打撃!」
背中に打撃強化。たたきつけられるはずだった壁をぶち砕き、その中へ。
そして足場を失った。
「っ!?」
(エレベーターシャフト!)
やばい。わたしはなんとかして落下を制御しようと
――し終わる前に、肩口に衝撃を食らって叩き落とされた。
(っ、のおっ!)
「跳躍!」
はるか下の地面にたたきつけられる直前、発動した魔術を使って、わたしは大地を蹴りつけて破砕しながら大きく跳躍。
(とにかく落ち着ける状況へ! 上に――)
考えているうちに下からぶち上げるような衝撃を受け、わたしはゴムボールみたいにエレベーターシャフトを跳ね回った。
「ぐ、く、そっ!」
幸い、跳躍の魔術はまだ消えてない。壁に足を引っかけ、次々跳躍して上へ。
「剛打撃!」
途中にあった扉を魔術で破壊し、その中に転がり込む。
自分ですらどこだかわからない、高階の廊下だ。相手からも一時的に見えなくなっただろう。わたしは息と血を吐き出し、
「げ、ほっ……! くそ、なんてデタラメ……!」
吐き捨てた。
いくら、物理的に身体が壊れても再生するからと言って。めちゃくちゃな量の加速重ねがけと共にただ単に突進するなんて……
(……いや。馬鹿にできたもんじゃないわこれ。わたしが人間のままなら死んでたかも)
用意していれば核の直撃でも耐えられる。そんな宣伝文句の第二世代だが、それはあくまで予測された攻撃の場合。
防御魔術の準備はおろか、予想すらしてなかったタイミングで攻撃を食らえば、自己領域の防御力もまともに通用せず、そしていくら再生力に優れていようと身体が四散すればさすがに死ぬ。
わたしはまだごほごほ血を吐きながらも不敵に笑った。
「上等。やっぱわたしとあなたは、同格の化け物だわ。谷津田久則――」
言い終わった直後、下から爆発のような衝撃を受け、わたしはたたらを踏んだ。
「っ、もう!?」
「遅い!」
声だけ残して、谷津田くんらしき火の玉は大きくわたしから距離を取り、
そして真っ正面からぶつかって、わたしをエレベーターシャフトに押し戻した。
「ぐ、ご……!」
――次の瞬間、わたしは身体の下側からとんでもない衝撃を受けて、身体を打ち上げられた。
「がっ!?」
なにが起こってるのか。空間のどこにいるのか。相手はなにを
――意識が追いつく前に次撃。わたしはさらに打ち上げられる。
「ぎっ!?」
どっちが上でどっちが下だ。わからない。どこから
――次撃。わたしはさらに打ち上げられる。
「ぐごっ!?」
空中をきりもみみたいに回転しながら、わたしの身体は次々と打ち上げられ、そして。
打ち上げられた弾みで天井にぶつかって。
「剛打撃!」
次の瞬間、エレベータの横の壁を突き破り、ふたたび外へ。
「っ、ここ、は――」
ダメージがひどい。判断力が低下している。
ここはどこだ。と見回してみれば、辺り一面に広がっていたのは、ガラス越しの夜景だった。
(――。展望台……?)
あってもおかしくはない。というか、誰かからそんな話を聞いた気もする。ランドマークタワーみたいな大きな建物ならば、そういうものもあっただろう。
そこにあったものをわたしは見て、
「はは」
笑った。
夕景はもう遠く、空は夜のとばりが降り始めている。
地を見ればそこには川と建物、そして海。遠くには山。
かつてと比べて、明かりは減ったのだろう。
見える下の大地は、かつてと比べれば貧相に映るのだろう。
けれどそれは、たしかにいまを生きる人々の営みだ。
とてもきれいだった。
空から見下ろす夜景。それは、いまではもう、東京圏では見ること能わざる神秘になってしまっていたはずのものだけれど。
ああ、そうだ――
(志津は間違えてる。なにもかもを)
なんの脈絡もなく、そう思った。
彼は言っていた。横浜に必要なのは、正当な弔いなのだと。
彼は言っていた。高杉綾子を弔えるのは、わたし一人なのだと。
彼は言っていた、かどうかは知らないが。おそらく谷津田久則にも、同じようなことを言っていたのだろう。
それは違う。わたしは思った。
これが横浜なのだ。
そしてこれが、わたしたちなのだ。
志津の言っていることは、亡霊の論理に過ぎない。それは志津が賢かったからこそ到達できたものだが――
賢い志津だからこそ、到達できないものがある。
わたしは軽く、自嘲気味に笑って、
「がっ!?」
そこに、背後からの突進が来た。
エレベーターシャフトから飛び込みながらの、不完全な一撃である。当然、たいしたダメージではない。
が、わたしに怖気が走った。
(こいつ、まさかここからさらに――)
「加速!」
詠唱一閃。
次の瞬間。
わたしは怒濤の突撃を受け、ガラスへ吸い込まれるようにたたきつけられると、そのガラスを割り砕いて空中へと飛ばされた――
「竜刺鉄尖!」
次の瞬間、わたしの身体から伸びた三つもの尾が、ランドマークタワーの外壁に爪のように突き立った。
わたしはぐっ、と大きく下に溜めて、
「うりゃっ!」
――上に向けて、尾の力の渾身を込めて、自分を放り投げる。
結果としてわたしは、ランドマークの頂上を飛び越し、さらに十数メートル上に滞空した後、屋上に向けて墜落した。
「ぐべっ!」
……我ながら、エレガンスに欠ける逃げ方だったけれど。
あそこで叩き落とされた場合、どうなっていたかはわからないが。おそらく谷津田くんには、空中で制動の効かないわたしを倒す策があったのだろう。
が、こちらもそう簡単にやられるわけにはいかない。
やられるわけには、いかないのだ。
「伊達じゃやってらんないのよ、『新生の道』で二番目に強い第二世代なんてね……!」
次の瞬間。
わたしが跳躍して回避すると同時に、火をまとった谷津田くんの身体がわたしがいた地面を突き破って飛び出した。
わたしも谷津田くんも、そのまま着地する。屋上の中でも一段高くなった――おそらくは過去、緊急用に作られていたであろう、ヘリポートの上に。
そして二人は、そこで対峙する。
むちゃくちゃな加速の重ねがけによる、無理な制動のせいだろう。彼は火をまとい、その火はどうやっても消えない。
だが、それで谷津田久則が死ぬことはない。
だったら何の問題もない、というのが、彼の結論だ。
相手は炎をまとい、雷光の速度で駆ける不死身の怪物。
ならば、わたしはなんだ。高杉綾子――?
「祝福を受けし原始の刃、出でよ」
「装備、幻想火薬庫」
ふたりは宣言する。
改めて、死闘の開始を言祝ぐかのように。
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勝負は一瞬で決まる。俺、谷津田久則は、そう考えていた。
はっきり言えば、ここで隠した手がなければ、高杉綾子は詰みだ。
加速を重ねがけした俺の速度は、身をかわせるとかかわせないとか、そういう次元ではない。人間の反射神経では、反応すらできないはずだ。
さっきまではただの体当たりだった。竜牙烈掌をこの身に受けて、用意していた精霊刀が四散したから、それ以外の選択肢がなかった。
だが、精霊刀を用意するための護符も、もういくばくかは回復した。
精霊刀を構えての突進を受ければ、いくら第二世代とてひとたまりもない。
……無論、高杉綾子は、もはや第二世代などという生やさしいものではない。
詳しくは聞いていないが、奴の自己領域は特別製。肉体が死んでも活動を止めず、肉体を勝手に再生して生き返ってしまうそうだ。
ならば、その自己領域を砕く。
精霊刀は対物、対魔、どちらも行ける攻撃魔術だ。対魔側に寄せて何度も切りつければ、しょせんは自己領域、自ずと四散するだろう。
だから俺はまっすぐに、正眼に、剣を携えて。
そのまま火をまとう流星のごとく、高杉と激突する――
そして、あっけないほど簡単に、刃が彼女の身体を貫通し。
俺は勝ったと確信して。
「魔法の矢、溜射」
ささやくような間近な言葉と共に、ぶっ飛んだ。
身体がバラバラになりそうな衝撃と共に吹き飛び、ごろごろごろと転がって、かろうじて屋上の端で止まる。
「が、はあ、っ……!?」
なんだ、いまのは。
俺は顔を上げ、
「…………」
あっけにとられた。
俺の目の先には、たしかに心臓を貫かれた高杉綾子の姿。
そして――その横にふわふわとただよう、薄青い高杉綾子の姿。
「いまの一撃はノーカンにしとくわ」
幽霊じみた形状となった彼女は、肩をすくめて言った。
「不意打ちで決着って、たぶん納得いかないものね。肉体を囮にしてこうすれば絶対当たるって知ってたけど――アンフェアなのはちょっと、ね?」
「なんだ。おまえ。それは」
「ん? だから自己領域。いつもはわたしの身体を守っているけど……なんかそっちの速度が速すぎて、肉体があるとついていけなくてさ。だから外した」
あっけらかん、と、青白く輝く彼女は言った。
どさり、と、心臓を貫かれた身体が力なく地面に倒れる。
「……わけがわからん。俺が聞いていたのと違うぞ。かつて志津がおまえを見たとき、おまえは肉体の死に引きずられて、意識を失っていたと――」
「うん。まあね」
高杉はあっさり言って、
「でもそんな弱点、わたしがほっとくわけないでしょ。志津にも教えなかったけど、隠れて鍛錬して、自己領域を肉体からいつでも分離できるようにしてた。だからもう影響は受けない」
やはりあっさりと付け足した。
……それは。
「そんなことが……できる、のか?」
「だからできてるじゃん。わかってないなあ。わたしは『新生の道』最強クラスの第二世代である以前に、『新生の道』最高クラスの鍛錬マニアだよ? 実際のところ、山下公園で戦ったときは苦労してたよ。いったん身体から離れられるようになると、逆に意識してないと身体から離れちゃってね。かといって志津あたりにバラすと、後が面倒だろうしさあ」
たいしたことでないかのように高杉は言う。
――こいつは。
誰にも言わず、誰にも誇らず。
ただ当然のように、新しい身体を武器として戦う術を、研究していたのだ。なんでしないと思うの? と言わんばかりに――
「はは」
風見との戦いでようやく開眼した俺とは、なにもかもが違う。
だが、それがどうした?
最初から知っていた。相手は不死身の化け物。戦うに当たって不足なし。
俺は奥歯をかみしめ、そして。
――ふたたび突撃した俺の身体を、彼女の青い身体がひらりとかわした。
「遅い遅い!」
「黙れ!」
加速による赤熱で、赤く燃えさかる俺の身体。
純粋な魔力の力で、青く冷たく輝く敵の身体。
追いすがり、突き放され、なおも追いすがり、さらに突き放される。
そのたびに逆撃の射撃魔術を食らい、身体をボロボロにしながらも、さらに追いすがる。
――まるで舞踏会だ。
赤と青に彩られた、天空を彩るきらびやかなダンス。
(ははっ……なんて皮肉だ)
その内実は死闘だと言うのに。
わかっている。俺の護符はそこまで早く再生しない。この勢いでダメージを受け続ければ、やがて地に伏せるのは俺だ。
だから俺は、いったん高杉から距離を取り、小さく深呼吸。
「……なにをする気?」
身構える高杉に、もはや言葉もなく。
俺は突撃を開始しながら、絶叫のような詠唱を、絞り出していた。
「加速する幻想!」
瞬間。
俺の身体が複数に増えた。
否。現実にはもちろん、そういう幻術を使っただけだが――この速度での追いかけっこに、破幻などしている暇もない。
高杉はあわてて、一体目の俺をよけ、二体目をしゃがんでやり過ごし。
そして三体目の、つまりは本体の俺の剣が、その身体を貫いた。
「獲った……!」
「……ごめんね」
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「!?」
谷津田くんが呆然と、わたし、高杉綾子の『身体』を貫いたまま立ちすくむ。
そう。身体を複数に分裂させるのは、彼の専売特許じゃないのだ。
この戦い。この追いかけっこ。舞踏のような武闘の中で、わたしもまた彼の目を盗んで、小細工をしていた。
「これは本体じゃない。本体は……上!?」
谷津田くんは見上げるが、時すでに遅し。
とっくに準備は整っていた。
そう。この準備のために、わたしは彼を挑発し、あんな追いかけっこを演出してみせた。
演出。そう。すべては目くらましの演出である。
わたしが走った青白い軌跡は、ヘリポート上に魔法円を描き。
それに追いすがる彼の炎の軌跡は、祭壇のかがり火の役を果たし。
そしていま擬似的にであるが、生贄を捧げる儀式が完成した。
ここまで揃っていれば――わたしも、この魔術を使える。
それはかつて、第一次品川調査隊、帰還者六人のうちが一人、橘三郷が作った大禁呪。
彼女はこれを、いままさに銀の吐息を吐こうとした魔竜の口に手を突っ込んで魔力を簒奪し、その力でもって発動させて竜殺しの偉業を成した。
わたしにだっておいそれと使えるわけではないその魔術は、だが、それ故に――
いくらなんでも、これを食らって生きてる生命体はいない!
火薬庫の弾薬、残弾57発を一括消費。さらに火薬庫自体を生贄化してブーストアップ。
儀式に加えて、そこまでしてようやく手が届く、わたしの、わたしたちの本当の切り札。
その名も――
「神魔咆吼!」
――銀の奔流が、ソラから塔へと突き刺さり。
それはタワーそのものを根本から打ち崩し、周囲のビルを巻き込みながら、盛大に破砕した。
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「……とまあ、そんなわけで、わたしの身体が消し炭になっちゃったんだよねー」
雨が降ってきていた。
先ほど、夕刻には雲が出てきているな、という程度だったが、よほど早く天気が悪化したらしい。
「だからまあ、しばらくは形ないこの青白い幽霊みたいな身体のままだわ。
いやー、不便よね。もうちょっと早く自己再生してくれてもいいのに。君もそう思うでしょ?」
「……それは俺に対しての嫌味か?」
「そうじゃないけど、再生早くてうらやましいなって。もうほとんど元の身体じゃない、君」
高杉綾子の言葉に、俺――谷津田久則は、うんざりとして言った。
「そんなら、俺に直撃させればよかったんじゃないのか。なんで外したんだよ、あれ」
「ただの喧嘩で命まで取るのはどうかと思うでしょ?」
「ただの喧嘩でこんな魔術使う時点でどうかと思うぞ」
「それを言われると弱いね」
ペロリ、と舌を出して高杉。
……まったく、なんの騒ぎだったんだこれは。
ただの意地の張り合いからこんな馬鹿騒ぎまで発展して――得られたものなど、なにもない。
だが。
「気持ちよかった?」
高杉の言葉に、俺はうなずいた。
「癪だけどな。なんだか、すっきりした」
「そう。なら、無駄ではなかったわね」
さらりと、高杉は言った。
……そう。この馬鹿げた決闘は、すべて気持ちの上で区切りをつけるためのもの。
俺が。あるいは高杉も。自分の生を歩むための、儀式みたいなものだ。
だからといって俺はこいつに感謝などしないが。
「さて、と。そんじゃ改めて相談しよっか」
高杉がそんなことを言ったので、俺は首をかしげた。
「相談? なんの話だ?」
「いやね。こっちはこっちで、いろいろ立て込んでんのよ。こんな細かい騒動で済む話じゃなくてね。もっと大事な……」
地鳴りがした。
地面が揺れる――というより、身体が揺れる。強制的にめまいを味わわされているような不快感。
「……なんだ?」
「わかんない。でも、ひょっとして……」
高杉はそこで言葉を切って、
「逃げましょ。この場、なにかやばいわ」
「……やばい? なんだ、いったいなにが起こって――」
「いいから! 逃げなさい!」
高杉が怒鳴ると同時に。
横合いから来た赤いレーザーが、彼女の身体を貫いた。
「あ、ぎ……!?」
「……え?」
高杉は物理的実体ではない。だからそのレーザー……否。レーザーのように見えたのはあまりに速く貫いたからで、その本体は赤く鋭い、針のようななにかだったが、それは魔術的なものなのだろう。
「は、やく、逃げて……」
俺は一歩、思わず後ずさりをして。
次の瞬間。俺の立っていた場所を含む広域を、赤い奔流が直撃した。
「あ、ぎ、ぎゃ、あぐ、ぐ、が……!」
高杉の身体を無数の針が貫き、ずたずたにする。
「……逃げて!」
俺は、答える術を持たず。
それでも、反射的に走り出すことだけは、なんとかできた。
後ろから、断末魔のような絶叫と音が響く。
その光景から目を背けて。ただひたすらに、俺は走った。
この日。
高杉綾子を名乗る自己領域は、謎の魔術現象に巻き込まれ、消滅した。
---next, death.
【お知らせ】
第二章はここまでになります。
第三章ですが、できれば六月ごろに再開したいなと考えております。ご了承ください。
【魔術紹介】
1)『竜刺鉄尖』
難易度:A- 詠唱:簡易詠唱 種別:自己強化/魔化
竜の尾を模した魔術構造体を自分の身体に取り付け、それを自在に操る魔術。
竜の尾を模しているため、帯びた魔力は一級品。当然、それに応じて消耗する魔力も一級品である。
が、三本同時に操るなんて真似をできるのはさすがに東京圏でも少ないだろう。
2)『加速する幻想』
難易度:A 詠唱:完全詠唱 種別:幻術
非常に高速の分身を作って攻撃する幻術。
幻覚には痛覚への干渉も持っているため、この分身に殴られると普通に痛い。破幻すれば痛みは消えるが、なにぶん速すぎるために、対処の仕方を知らない敵は速攻でボコられて痛みでショック死する。コンセプト自体が「破幻される前に決着すればよかろうなのだ」という特殊な魔術。
もちろん高杉には、というか第二世代には普通効かないが、幻覚と同じかそれ以上の速度で動き回れる谷津田にとっては、切り札たり得る技だった。
本来は。
3)『神魔咆吼』
難易度:SS++ 詠唱:絶唱 種別:攻撃
東京圏で対魔力/威力比における理論値最高限度に近いものを達成した究極の攻撃魔術。発明者は橘三郷。
そのイカれたエピソードからもわかるように、魔竜殺しの切り札として作成されたこの魔術は、砦の外壁でさえも易々と打ち砕く、ある種の切り札である。が、あまりにも消費が激しすぎ、また詠唱も長すぎて、普通は使えない。
これを簡単に撃てると触れ込みの魔術砲塔、つまり神魔咆吼砲塔というものも作られ、一部では使われているが、天然物のこの魔術は威力が段違いであり、一緒にすることはほとんどできない。とはいえ、天然で使える相手はそれこそ天際波白か理堂播人の二人くらいしかこの世界には現存しない。高杉綾子ですら、非常に特殊な条件が揃ったからこそ撃てたわけで、本来ならば使えない魔術である。




