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亡霊と不死者の時間-Things separating ATHANATOI from ghosts-  作者: すたりむ
第二章:政治決着⇒政治決着?
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17.海辺の戦闘-seaside battle-(後)

「山下公園へ!」

(はい!)


 背中に乗ったわたしの指示に、魔術通信テレパスで白狼と化した小辻くんが応えた。

 後ろからは、おそらくは電動二輪の類だろう。追跡してくる音が聞こえる。

 予定通り……というか、期待通り。相手はわたしたちを追いかけてくる道を選んだようだ。

 相手からすれば、最重要警戒対象のわたしを殺せる、またとないチャンス。


(に、見えるはずよね……実際には違う(・・・・・・)けど)


 支部長がわたしを追い詰めるための鍵は、『昨日の爆弾テロの犯人は高杉綾子だ』という主張。これは横峰さんから確認が取れている。横浜市に対して、わたしの身柄引き渡し要求があったそうだ。

 この引き渡しを拒絶してもらうために、わたしたちはいろんな策を取る必要があった。まずエルによる、「複数の犯罪グループによる犯行声明」という攪乱。横浜市の警官をあいつらの手勢に襲わせる小細工。そして「左右の靴」の策による、裏での横浜市と『再生機構』の味方化。

 それら小細工の結果、横浜市に「高杉綾子が犯人であるとは思われない」と主張する大義名分を与え、さらに実際にそう主張してもらうことができた。これでようやく、こちら側は支部長との拮抗状態を作ることができたわけである。


 が、相変わらず『新生の道』における支部長の立場は盤石。

 横浜市にいくら非難されようと、彼の立場が揺らぐことはない。そもそも、我々を襲ってきて捕まった手勢は全員川崎の傭兵。つまり『新生の道』とは表向き『なんの関係もない他人』である。たとえ彼らを拷問して支部長の関与を認めさせたところで、『新生の道』本体を動かすには弱い。

 つまり、現状はよく言って膠着状態。悪く言うと、時間が経つにつれてわたしの立場が悪くなる一方だった。相手からすればこちらを攻撃する以外にも、家族を人質にして出頭させるとか、いろんな手段がある。こちらには逆に、相手に『新生の道』内部に引きこもられているうちは、手を出しようがない。


 ……まあ、それも全部、過去の話だ。

 支部長が関与していることを確定させる音声データの採取(・・・・・・・・)は終わった。大東はご丁寧に、支部長室で支部長自身と会ったことまで、べらべらとしゃべってくれた。

 このデータはさすがに『新生の道』も無視できない。というか、第七軍と「非主流派」の面々が、黙っていないだろう。支部長の政治的な状況は大幅に悪化し、わたしは俄然、有利になる。

 それでも、支部長には言い逃れの方法がないわけではない。

 つまり、こっそり傭兵との関係を清算して、音声データを捏造だと言い張れば、逃げられる可能性がある。

 しかしそのためには、音声データの入手元である傭兵の身柄をこちらに押さえられないことが最低限、必要不可欠。


(だからこそ、これが狙い通り。相手を罠におびきよせ、一網打尽にする……!)

「次の路地、右! そろそろ大さん橋の横に出るわよ!」

(はい! ……高杉さん!)

「っ!」


 ぢっ! と相手から放たれた魔術光球がわたしの頭をかすめた。

 この距離、この速度でこの精度。なかなかやる!


(高杉さん! 前、島田さんが見えます!)

「連絡員ね。予定通り! 今日の山下公園は人払いが済んでる! 被害を与える心配はないし、全力で暴れるわよ!」


 わたしはそう言って、笑った。



--------------------



 そして、公園の中。わたしと彼らは、対峙した。

 もう日も落ち、空はきれいなグラデーションを描いて、夜のとばりが降りてきている。

 わたしが南側、相手が北側。わたしの右手には海。左手には林。

 いい広場だった。殴り合いにはとても好都合。


「ちっ、シェイプシフターかよ。そういや資料の中にあったな……にしても」


 大東は、人型に戻ってわたしの右に立った小辻くんを見てそう言って、それからまわりを見渡し、


「人がいねえな。これがいつもの姿……なわけねえか。人払いを済ましてた。つまり誘い込んだな?」

「うん。まあね」


 わたしは軽く肩をすくめて、


「その程度のことはわかるのね。意外だわ」

「おちょくんなよババア! ご丁寧にどんな罠を用意してるか知らねえが、あたしたちに勝てると思ってんのか!?」


 言ったのは、例のおかっぱ赤黒娘である。名前は……さっきは、桂木って言ってたか。下の名前は知らない。興味もない。

 さておき。


「ティーンエイジャーにババアって。ロリコンみたいな価値観ね、あなた」

「いま問題なのはそこじゃねえ! 話逸らすなバーカ!」

「あー、桂木。おまえ出てくると話進まねえからちょっと黙ってて」


 大東が言って、それから続けた。


「しかし、だからといって憤慨ものだね。俺たち『セカンド・パーティ』はこれでも、傭兵ギルドとしては実力派で売っててさ。

 そちらに『暴風の暴君タイラント・オブ・テンペスト』がいることは知ってるけどよ。それでも、その程度の戦力で俺たちを倒せるつもりか?」

「うん」


 わたしは答え、それから首をかしげた。


「ところでこの問答ってまた時間稼ぎ?

 いいわよ。今日には始末つけちゃいたいから、別働隊がいるなら残らず出してよ。せっかく無礼講(・・・)にするために人払いしたんだからさ」

「わかってるねえ……だが、出すんならそちらからだ。

 まさか誘い込んでおいて、戦力がこれだけってことはねえだろ? 出せよ、増援」

「……ふうん」


 ここで予定変更して、増援を出さずにたたきのめすことも考えたが。


「まあ、いいでしょ。じゃあ遠慮なく出してあげる。

 出でよ! 山下公園に巣食う魔、我がしもべたる邪悪な者どもよ!」


 わたしが声を上げると同時に、ぱっぱぱー、という大きなラッパの音が響いた。


「え?」

「ふーははははははははっ! とうっ」


 ざざざざざざ、と風のような足音と共に、そいつらはわたしたちから見て左手の林から、一斉に躍り出てきた。


「誰がしもべで誰が邪悪だと文句は言うまい。今回だけの共闘、すなわちスペシャルイベントなるが故に!

 初めまして邪悪なる子供達よ! 我が名は正義の使者、マスカレード仮面T! そして後ろに控えるは「新生の道の敵絶許連合」の戦闘員さんたちである!」

「「「「ぎー!」」」」

「う、うわ……なんだこいつら!?」


 おかっぱ赤黒の桂木が、めっちゃキモいものを見る目で言った。


 ……まあ、理にはかなっているのだ。

 今回の件に、『再生機構』が直接関わったとなると、いろいろ面倒なことになる。なので適当に覆面被った謎の戦力として参戦してもらうというのは、合理的だ。

 が、マジでヒーローショーの戦闘服着てくると言われたときには、さすがにわたしも驚いた。

 止めなかったけど。だってその方が面白いし。


「残りは予定通り?」

「すべて順調である! 田中殿は人払いの維持と被害の軽減に努める模様!」

「それは重畳。……ところで、Tってなんの略?」

「うむ。実はまだ会議で決まってないのである! なのでそこは突っ込まない方向で!」

「……あ、そう」


 頭文字だけ決めて内容まだ決まってないんかい。

 ぽかーん、という感じで見ていた桂木と違って、始終を冷淡な目で見つめていた大東は、けっ、と吐き捨てた。


「つまんねえ茶番だ。戦力にはなってるようだが、それだけだな」

「あらそう。それで、そっちは? これでも期待してるんだけど、がっかりさせないでよね?」

「はっ」


 大東は鼻で笑った。


「安心しろ。たったいま、時間稼ぎは完了した(・・・・・・・・・)。全員、集まってるぜ――来な!」


 大東の声と同時に。


「……っ、広域防護結界ワイドレンジ・バリアー!」


 わたしの声と共に広がった障壁が小辻くんとマスカレード仮面、そして戦闘員の皆さんを覆うのと同時に、そこに超大規模な爆炎の嵐が突き刺さった。

 轟音とともに、大気がびりびりと震える。

 マスカレード仮面は目を剥いて、


「な、なんだとおっ!? 戦術魔砲の類か!? だがこんな数、どうやって横浜に持ち込んで――」

「はっはあ!」


 大東が笑った。


「なめんな、人間ども(・・・・)! 俺たちがなんで『セカンド・パーティ』なんて看板背負ってるのか、まだわかんねえのか!」

「な、ま、まさか……!」

「そう!」


 大東は、――ぞろぞろと集まってくる、おそらくはさっき遠距離砲撃をしたとおぼしき子供達を手で指し示し、


「俺たちは『パーティ』の申し子! 百地先生の薫陶を得て魔術を知った子供達――その構成員、ここにいる十三名全員(・・・・・・・・・・)が、第二世代セカンドって寸法だ!」

「……っ!」


 マスカレード仮面……松山は、ごくりと大きくつばを飲んだ。

 本当だとすると。いや、あれだけの火力を出せる以上は本当なのだろうが、とんでもない大戦力である。

 これが横浜ではなく前線のフォートで、心臓部にこんな戦力を無警戒で送り込まれたら、即、壊滅の危機だろう。

 よくもまあ、支部長もこれだけの戦力をかき集めたなあ……と思っていると、左に寄ってきた松山がわたしにささやいた。


「おい、どうする高杉綾子。正直、人払いに割く戦力はないぞ。田中殿を呼び戻して総力戦、いやそれでもこれほどの敵勢力、勝てるかどうか――」

「んー……そうね」


 わたしは少し考えてから、


「とりあえず……戦闘員の皆さん、それから風見は現状維持ね。どうせまだ隠し球がある(・・・・・・・・)だろうし、それにわたしが対処できそうになかったら対応をお願い」

「は?」「え?」


 困惑した声が、横からも前からも上がった。

 わたしは気にせず、


「小辻くん。あの二人(・・・・)が群を抜いて強いから足止め、お願いできる?」

「はい、もちろん。こういうの慣れてますから」


 小辻くんは特に動揺せずに、ごく平静にうなずいた。

 はっ、と我に返った大東が、真剣な顔で、


「おい、おまえなにを言って――」

「そーうび、幻想火薬庫ファンタズマル・ストレージ


 わたしは楽しく、笑って拳をにぎると、


「んじゃ始めますか。

 懐かしいわね、こういうの。第二世代セカンド二桁が相手なんて、さすがに五年ぶり(・・・・)かな?」

「は、え、ちょ――」

韋駄天ダッシュ!」


 ずどん、と音を立てて、わたしの足が地面を穿ち、身体は前へ。

 そのまま最短距離で近寄ったのは、例のおかっぱ赤黒娘――桂木。


「桂木!」

「あ、秘術ストリー……」

剛打撃スマッシュ!」

「ごぎゅっ!?」


 桂木の胃に、仮装弾丸一発で強化した拳をぶち当て、悶絶させる。

 案外タフで倒せなかったが、まあよし! 次!


加速アクセル!」


 次いで加速魔術と同時にいちばん近い男の子に走る。後ろでなにかしようとした大東に、狼と化した小辻くんが邪魔に入った音を聞きながら、


突撃チャージ!」

「ぐへえ!」


 木の葉のように吹き飛んだ相手のことはもう見もせず、次は立ち尽くしている二人に一気に近接して、


斬打撃スラッシュ!」

「ぎゃっ!?」「あがっ……!」


 胴をなぎ払ってふたりとも吹っ飛ばす。さらに近いのは、と目を動かして、


「っ、呪宝陣テリトリー・カースドワース、ろ、」

恐爆砲ホリブル・スマッシュ!」

「っきゃあああ!?」


 なにかを発動しようとした陣ごと、女の子はわたしの嵐のような魔力砲で吹き飛ばされた。


「あと九人!」

「りょ、涼真! 助け――」

縛呪バインド!」

「が、ぎ……!」


 倒れた少年を踏みつけて前へ。あと八人。


「なめんな! 螺旋爆砕陣スパイラル・エクスプロージョン――!」


 少し遠くの少女が叫ぶと同時に、わたしは身体をそちらに向け、一直線にダッシュ。


「な、なんでさ――!?」


 少女が放つ爆裂魔法がわたしの身体を打ち、なんともない(・・・・・・)


「やっほう!」

「た、たすけっ……」

破砕クラッシュ!」

「きゃあああ!」


 あと七人。


「全員だ、全員で狙え!」

「で、でも秘術流ストリーム使ってる余裕も――」

「はい、強制昏睡メイク・アスリープ!」

「あぐっ」


 どさり。あと六人。

 そろそろレパートリーが尽きてきた。どーしよ。

 とか思っていると、どざざざざざざ、と水音。


「りょ、涼真! あんな馬鹿みたいに高い兵装、ここで使っちゃうの!?」

「他に方法ないだろ! バケモノ女、見ろ! これが俺たちの真の切り札――」


 大東の声は、途中から聞こえなくなった。

 いや、音が途絶えた、というのではなく。

 極度に集中したわたしの感性が、邪魔な音を聞くことを拒絶しただけ。


(やっぱり海に隠してた。なんだか知らないけれど――)


 どばあああ、と海水を分けて立ち上がったそれに向けて、


加速アクセル跳躍ジャンプ!」


 跳んだ。

 韋駄天ダッシュ重加速ダブルアクセル跳躍ジャンプの乗ったわたしの身体は、猛烈な速度でその『なにか』に向けてすっ飛んでいき――


(あ、これ火力足りないな)


 直接見た魔術文様を軽く見定めて、思う。

 たぶんどこかの異界で掘り出された魔術異物アンティークだろう。見た目は青銅の巨人のようななにかだが、硬度が尋常でないのを、魔力流の感覚からびりびり感じる。おそらくは、完全詠唱フルコーラス竜牙烈掌ドラゴン・ファングでもはじき返される。

 ――面白い。

 わたしはぞくぞくした(・・・・・・・・・・)

 これを倒せないこと、ではなく。



 数年前。まだ挫折を知らなかった頃。

 わたしは天際さんのサポートを志願した後、どうやったら具体的に彼女の力になるか、かなり具体的に考えた。

 わたしが考えるに、天際さんやわたしの特異性は、近距離戦の得意さにこそある。

 それは竜牙烈掌ドラゴン・ファングが使える特異性から来るものだが、天際さんは強すぎてさらにそれに囚われない様々な戦術が可能だった。だからこそ、わたしは、近接攻撃に特化するのが最もよいと思ったのだ。

 そのときに作った、わたし専用の攻撃魔術(・・・・・・・・・・)

 天際さんについていくこともなく、その後の戦いでも必要になることがなかった、最後の最後まで余分なその魔術は――

 いま、このタイミングではしかし、最善手(・・・)たり得る。



 魔力を限界まで回す。幻想火薬庫ファンタズマル・ストレージの弾薬、八割消費。後、火薬庫ストレージそのものを生贄化サクリファイス

 残った魔力を身体の表面に這わせ、詠唱加速スタンピード。これも限界まで回す。

 ――それでも足りない。

 本当に、どうしてこんな魔術を設計してしまったのか。

 忙しい近接戦で、ここまでしないと発動できない詠唱の魔術なんて、どうかしている。しかもこれは、完全詠唱フルコーラスはおろか、簡易詠唱ショートですらない。絶唱シャウトと呼ばれる、さらなる簡易形態なのだ。


 だが、その威力たるや。


 最後のダメ押しで、韋駄天ダッシュ重加速ダブルアクセルまで生贄化サクリファイスして、かろうじて間に合わせ。

 この魔術を実戦で使わせてくれたすべてに感謝を込めて。

 わたしは拳を、まだ動き出そうとしたばかりの青銅人形に向けて突き出し、接触する寸前に叫んだ。


銅の街の錬金術コペルニック・アルケミー――!」



 次の瞬間。

 天地揺るがす轟音と共に、青銅人形は木っ端微塵に爆散した。



「っと!」


 反動で吹っ飛ばされ、地面に戻ってきた身体がたたらを踏む。

 それをなんとか押さえて、わたしは海の方から、陸の方へと向き直った。


「いやー、きつかったわ! あれでギリギリとか、さすがのタフネスね!

 で、次の切り札は? まだあるよね? あるんでしょ? わたしも余力はわずかだし、さっさと出しなさいよ?」


 言ったのだが。


(あれ?)


 戦闘が止まっている。

 いや、小辻くんは止まっていない。ちゃんと安全地帯をわきまえてあたりをうかがっているのだが、他の戦闘参加者、それからマスカレード仮面たちまで、なぜか一様に押し黙って、わたしを見ていた。


「えーと?」

「……うん」


 大東はうなずいて、そして両手を上げた。


「降参します。すんませんっした」






---next, confronted with.

【解説】

 今回の戦闘について軽く余談。

 まず高杉さんですが、「余力があったので」遊んでます。

 最初に桂木を殴ったのは、意表を突いてうまく行けば一発で倒せないかな、というのと、牽制のため。最初から小辻くんには桂木と大東の相手を命じている通り、高杉さんの狙いは残り11名です。というか、「弱い奴から削る」を徹底してます。

 その上で、相手が死なない魔術を選んで、攻撃一回ごとに違う術で倒す縛りとかやってます。


 なぜこんなに高杉さんは楽勝だったのか? という話は、この後に本編で語るということにして。

 小辻くんですが。完全に天際さんに慣らされてます。

 というか、天際さんにとどまることなく、基本的に小辻くんは無双できる相手と組むことが多いので、そのサポートの仕方はよくわかっております。

 なので高杉さんが見せた異常な戦力も、「まあ天際さんほどじゃないし……」で終わってしまうのです。彼がひとりだけまったく動揺していないのは、そういうことです。


 一方で、マスカレード仮面こと松山も、それから遠くで戦いを傍観していた田中も、完全にあぜんとしてます。「ここまでとは思ってなかった」という感じですね。

 風見はいつも通りです。最後まで、不意打ちのために地面に伏せて擬態したまま終わりましたので。


 見れば見るほど、高杉相手に立ち回れた谷津田くんがやべー奴であることがよくわかる戦闘ですが、そこは相性。

 たぶん谷津田くんの方は、今回高杉の代わりをやれと言われても無理でしょう。まず、魔力が持ちません。



【魔術紹介】


1)『広域防護結界ワイドレンジ・バリアー

2)『突撃(チャージ)

3)『斬打撃(スラッシュ)

4)『呪宝陣テリトリー・カースドワース

5)『恐爆砲(ホリブル・スマッシュ)

6)『縛呪(バインド)

7)『螺旋爆砕陣スパイラル・エクスプロージョン

8)『破砕(クラッシュ)

9)『強制昏睡(メイク・アスリープ)

 あ、解説いいっすか。いいっすね。すんません。


10)『銅の街の錬金術コペルニック・アルケミー

難易度:SS- 詠唱:絶唱(シャウト) 種別:打撃/転換

 天才、高杉綾子の作った、一世一代の最強近接攻撃魔術。

 いわゆる「コペルニクス的転回」という概念と、コペルニクスの姓の元になったコペルニキの街の銅山、そして近代化学の原典となった錬金術の観念を魔術的に融合させて作られた、非常に個性的な攻撃魔術。相手の「防御」という「概念」を錬金術によって「攻撃力」に「転回」させて撃ち放つ。

 ゲーム的に言うと、相手の防御力+こちらの基礎攻撃力が最終攻撃力になる。こちらの基礎攻撃力は竜牙烈掌(ドラゴン・ファング)以上。事前の予備知識なしでこれを防げる相手が東京圏のどこにも存在しないという意味で、天際波白すら到達できていない境地に達した魔術であると言える。

 余談だが、この魔術の存在を高杉は誰にも話していない。お披露目も今回が初。知っていたら、天際波白は高杉を横浜なんかに放ってはおかなかっただろう。彼女、こういう凝った魔術が、実は大好きなのである。

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