稲本団地中央公園
尊が満留にナイフで切りつける。
彼女はその凶刃を素手で握った。
「みち……る……」
刹那は腹部の痛みで動けないまま、彼女の手から血が滴るのを見つめた。
「遙香様と法眼様に比べれば、アンタたち親子なんてただの凡人よ。とくにアンタは、ワガママな子供にすぎない!」
「黙れ!」
金切り声を上げて、尊はナイフを力尽くでナイフを引き抜いた。
「ウッ」
満留が血まみれの手を思わず庇う。
数歩後によろめいた尊は体勢を整え、再び満留を切りつけようとする。
「よけて……!」
大声を出したつもりだが、掠れた声しか刹那は出せなかった。
尊のナイフが満留の顔を切り裂く……
「ぎゃぁああぁあああぁあああああ!」
空中から今までにない大きな爆裂音がしたかと思うと、満留の顔を刃が切り裂く直前に尊が悲鳴を上げ、両腕を痙攣させながら膝から崩れた。
思わず視線を上に向ける。
ガシャドクロの頭蓋骨と、鬼多見の姿をダブらせた永遠が対峙していた。
昴……
その姿は、永遠が役を射止めた『デーヴァ』の主人公・鳴神昴そのものだ。
「裂焔斬ッ!」
巨大な焔の斧が出現し、髑髏を粉砕した。
「ゴガァ……!」
尊が痙攣しながらのたうち回る、彼の顔は焼け爛れていた。
さすがあたしの妹と叔父さん。
「ク……クソ……ナメやがって……」
尊がブツブツと聞き取りにくい声で呪文を唱えた。
なに……?
空から異様な気配を感じ、視線を上げる。
残っていたガシャドクロの骨が御札に姿を変え、自ら燃え上がると漆黒の霧となる。




