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F棟504号室 弐
「ダメよ、社長の許可なしにできない」
遙香の答えは悠輝と同じだった。
「わかってる、だから許可を今から取ります」
刹那はスマホを出して事務所に連絡をした。幸か不幸か社長は直ぐに電話に出て、彼女は交渉を始めた。
漏れてくる会話から社長が反対しているのは佳奈にも判った。それでも刹那は食い下がった。
「おばさん、あたしは幸運が欲しくて座敷童子を憑かせるわけじゃない。逆に、マネージャーの能力で仕事を取るのもやめるつもり。
うん、解ってる。だから座敷童子の力は副業に使う。
え?
心配ないわ、そっちはマネージャーに何とかしてもらうから。
万能でしょ? あたしたちのマネージャーは。座敷童子くらい、簡単にコントロールできるわ」
いいながら視線を遙香に向けた。
「なに勝手なこと言ってんの? たしかに悠輝と違ってそれくらいできるけど……面倒なんだから」
顔を顰める。
「だいじょうぶ、拒否られなかった。
うん、うん、わかってる、事務所に迷惑はかけない」
刹那はそう言うと電話を切った。
「さて、これで問題解決ね」
「あたしが面倒なのはどうなるのよ?」
ウンザリした顔でぼやいた。




