女神さま?
「起きて下さ〜い」
「!!??」
耳元で大きな声で叫ばれて俺は文字通り飛び起きた。
「やっと起きましたね〜。よかった〜。」
女性が俺の顔を覗き込んでニコリと微笑んだ。
「あ…っ?えっ?な、なに…」
ここはどこ?とか、あなたは誰?とか、あれ、俺さっきまで何やってたんだっけ?色んな考えが寝起きの頭の中を駆け巡った。そんな思考の中からどれを先に言葉に出せばいいのか、俺は正直混乱していた。その様子を見て、女性が口を開いた。
「あなたはぁ〜死んだんですよ〜」
内容とは反して、それは驚くほど穏やかな口調だった。
それを聞いた瞬間、高層ビルから飛び降りた瞬間のことが思い出された。自然と笑いが溢れる。
「ああ、よかった…うまく…死ねたんだ…はは…」
安心したような、張り詰めていた糸がプツンと切れたような、妙な感覚だった。
「あらあら、死んでしまったのに笑うなんて…おかしな人ですね〜」
女性は首を傾げた。
改めて見ると、とても綺麗な女性だ。
長い金髪に、まっ白い肌。大きなクリッとした瞳に、桃色の頬。純白のドレスの姿。それはまるで…
「女神さま…」
「わかりますか!!!???」
女神さまみたいだ、と言おうとしたのに覆いかぶさるように女性がそれを遮った。
「やだぁ〜わかっちゃいます〜?」
うふふっと、女性はニヤけながら体をくねらせた。
「そうなんです!私、女神なんです!」
前言撤回だ。女神さまみたいなんかじゃない。なんかヤバイ人なのかもしれない。俺は死んでいるにも関わらず命の危険を感じた。
「あ、あの、じゃあ、俺はこれで…」
「どこ行くんですか!」
逃げようとする俺の手をグワッと女性…女神さまは掴んだ。