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メタリック・ファンタジー  作者: oga
番外編
97/105

赤井流星 その17

「あれか」


 俺は、ドローンを操作して、世界樹の上空までやって来た。

既に辺りは暗く、電気の明かりが街に瞬いている。

空を飛ぶ巨大なスタジアムが見えるが、あれはトカゲの会場か。

そして、街の都市部に、一際でかい建物がある。

ヒルズタワーだ。

その頭頂部に、ヘリポート的なスペースがあるのを確認すると、俺はそこに着地すべく、ドローンを降下させた。

ハンドルを操作し、上手いこと地面に降り立つ。

外に出ると、強い風が吹き荒れている。


「うぶっ、毛が引っこ抜けるっつの」


 ヅラだったら間違いなく飛ばされてるわ。

まあ、その心配は当面しなくてもいいだろう。

風に飛ばされないよう注意して、ヘリポートから階段を下りる。

一段下に下がった箇所に、内部に面する自動トビラがあるが、例のごとく、カードが無ければ入れない。


「……っし」


 カードをリーダーにかざすと、トビラが開いた。

ヘリポートのフロアからもう一段下がった所が、居住区では最上階のフロアらしい。

非常階段から共用通路に出ると、赤いカーペットが床に敷かれている。

この一室に、ミツマメがいるはずだ。

通路を直進し、十字路までやって来ると、壁からほんの少し顔を出し、確認。

左手にはエレベーター、右手には、ミツマメの部屋だ。

その扉の前には、黒ずくめのチャラ男っぽい奴が両脇に立っている。


(ホシガキから、俺の名前がミツマメの耳に入ってるハズだ)


 名前を出せば、通してくれるか?

……ここまで来て、引き返せねーしな。


「……ん?」


 黒スーツ2人が、俺に気付く。


「あー、高級男娼クラブの、赤井流星っつー者っす。 ミツマメさんに、会いたいんすけど」

 

「赤井、流星? ……少し待って貰っても構わないか?」


「全然、いっすけど」


 部屋ん中で会議でもしてんのか?

すると、扉越しにおぞましい声が聞こえてきた。


「んがあああーーーっ」


「んふぅ! んふぅ! んふぅ!」


 な、何だ……

ものすげー悲鳴と、おっさんの喘ぎ声が同時に聞こえて来たんだが。

しばらくして、黒スーツが耳に手をかざし、部屋の中へと入っていった。




 



 5分くらい待ってると、扉が開いた。

黒スーツが担架を担ぎ、そこには全裸の男が乗せられている。

ピクピクと痙攣しており、血の気が失せている。

そして、声がした。


「入りなさい」


「……マジ、かよ」


 俺は、恐る恐る、中へと足を踏み入れた。


 


 

 


 

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