赤井流星 その7
「今日中に払えばいんだろっ、待ってろ!」
まさか、こんなトラブルに見舞われるとは……
荒野まで順調だったのが、ウソみてーだ。
「俺は、ぜってーゴメンだぞ……」
メロンパンがしてた、泥臭い旅なんかな。
とにかく、俺は、宿から飛び出し、日陰雑貨店へと向かった。
店の前に向かうと、女性店員が開店の準備をしている。
「はあっ、はあっ…… あ、あの、ハナ、いますか?」
「ハナ? もう出勤してますけど、お友達?」
「ああ、ミナトの知り合いが来たっつって、取り次いでくれねーか?」
店員は、ちょっと待ってて、と言って店の奥へと向かった。
ここで、何としてでも金を借りる必要がある。
それから、仲間になって欲しい旨を説明する。
優先すべきは、金だ。
少し待っていると、ハナが扉を開けて、出てきた。
朝から工房に入っているのか、腕をまくり、タオルを首にかけている。
「……えーと、私に何か?」
「ああ、ミナト、分かるだろ? 俺、あいつの知り合いなんだ」
「……ミナトの知り合い? 確かに、しゃべり方とか似てるかも。 ちょっと忙しいから、要件、先に言ってくれる?」
「金が欲しいんだ。 3シルバー、それだけ貸してくれ」
するとハナは、訝しげな表情で、俺のことを睨む。
そりゃあ、いきなり知り合いの知り合いに金貸してくれっていわれて、ハイハイと貸すお人好しはいないか。
でも、したらどーすりゃいい!?
「……」
「な、なあ!」
「すいません、お金が欲しければ、自分で稼いで下さい」
冗談じゃねぇ!
あんな、汗水たらし働くのなんざ、死んでもゴメンだ。
店の奥から、声がする。
「いつまで立ち話してんだ、バカヤローッ」
「今戻りますからーっ。 私、忙しいんで」
バタン、と扉を閉められた。
金を借りるのにしくじっただけじゃなく、信頼まで失うとは。
まあ、初めから信頼なんて無かったかもだが。
……失敗だ。
だが、まだアテはある。
メガネだ。
あいつは今、ドラゴン観光っつー仕事に携わっている。
まだ始めたばっかで、事務所なんか構える資金もねーだろーし、一体、どこを探せばメガネにたどり着けんだ?
「……」
試しに、雪原地帯の入り口まで行ってみるか。
もしかしたら、ドラゴンに向かう為の船 (雪かき丸)があって、そこにメガネがいるかも知れねー。
メガネ→チビ でした
修正は面倒なのでしません汗




