表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタリック・ファンタジー  作者: oga
番外編
86/105

赤井流星 その6

「何なんだよ、お前っ」


「も、申し遅れた。 相部屋の下段を担当する、ゲンジだ」


 ゲンジ、とか名乗るクソッタレは、あたふたとパンツを履いて、ベッドの梯子を下り始めた。

辺りには、体臭みてーな匂いが立ちこめていて、思わず嘔吐く。


「下段担当なら、上ってくんじゃねぇっ」


 俺の叫びは、虚しく部屋に響いた。

既にあの男は身支度を済ませ、部屋から出て行ったらしい。

扉が開きっぱなしだ。

それより、俺の頭の中には、一つの懸念事項が浮かんでいた。


「まっ、まさか……」


 俺の〇貞は、アイツに奪われたのか!?


「ふ、ふざ……」


 その後の言葉を発する事が出来ず、俺は布団の上にへたり込んだ。






 

 どうにか立ち上がり、カウンターに向かう。

ババアが声を掛けてきた。


「昨晩はお楽しみだったわな」


「……」


 ブチギレそうになるのをこらえ、何とか言葉を紡ぐ。


「チェックアウトで」


「はいはい、追加で3シルバーだよ」


 ……は?

金、払ったし。


「前払いで3シルバー、後払いで3シルバーだよ」


 聞いてねーぞ。

あんな思いまでして6シルバーかよ。

だが、金ならある。

……そういえば、部屋にリュックを置きっぱなしだ。


「ちっ…… ちょっと、待ってろ」


 部屋に戻って、リュックを探す。

だが、無い。

リュックが、無い。


「ババアーーーッ」


 俺は怒鳴り声を上げ、ババアに詰め寄った。


「リュックがねぇ! どこに隠した!」


「あんたが油断したのが、悪いんだろっ! ……あんたが一緒に寝てたのはね、スラム街出身、盗賊のゲンジだよ。 きっと盗られちまったのさ」


 盗られただと……

ふざけんじゃねぇぞ……

俺の心臓が、バクバクと音を立てている。


「残り3シルバー払えないなら、働くしかないねぇ」


「……働く?」


「私は、こういうモンさ」


 ババアは、名刺を渡してきた。


「……高級、男娼クラブ?」


「私はオーナーのホシガキだ。 あんたみたいな上玉、滅多にお目にかかれないわな。 今日中に3シルバー払えなかったら、ここで男娼として働いてもらうからね」


 ……こいつ、羽目やがったな。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ