赤井流星 その2
しばらくして、日が暮れ始めた。
「今日は、ここら辺にしとくか」
俺は、リュックから四角い箱を取り出し、栓を抜いてその場に投げた。
すると、その箱は周囲の空気を取り込んで、風船のように膨らんだ。
いわゆる、テントだ。
畳む時は、もう片方の栓を抜けば、勝手に小さくなる。
「一日じゃ、ぜってー無理」
メロンパンは、この道を昼夜ぶっ通しで歩いてたっけか。
こういうグッズ、持たせてやれば良かったか?
「まあ、いいか」
俺は、リュックに手を突っ込んで、ミネラルウォーターを取り出した。
このリュック、中の物を圧縮する機能がついていて、かなりの量を詰め込むことができるが、その分重い。
重さを軽減する反発パッドが背負う箇所についてるから、いくぶんかはマシだが。
この後、ガスコンロを取り出して、お湯を沸かした。
中にインスタントラーメンを投入し、しばらく待って、完成。
「ハフハフ、んめぇ」
こいつが一番無難だ。
よく分からねーキノコ料理なんて、食べる気にならねーよ。
ズルズルラーメンをすすっていると、草むらの向こうから、妙なトカゲが現れた。
黒パーカーのトカゲ。
コアの影響で突然変異した、好戦的なトカゲだ。
「ゲッゲッゲ」
インスタントラーメンの匂いにつられたか。
トカゲがこちらに向かって走り出して来る。
俺は、腰に差していた銃を抜き、銃口を向け、トリガーを引いた。
シュ、とワイヤーが伸び、トカゲの体に刺さる。
そして、強力な電流が流れた。
「ギャアアアアーッ」
ペタン、とその場に仰向けに倒れる。
スタンガンだ。
「文明の利器、ってな」
剣でいちいち戦ってやる必要はない。
そもそも、剣をまともに扱うには、かなりきつめの鍛錬が必要だ。
それは、メロンパンが証明してる。
……あるなら渡せや! みたいなツッコミが聞こえたのは、気のせいか。




