チズルサイド3
ラルクさんはその場で耳に手をやり、誰かと通話? を始めた。
「……あ、ラルクです。 今、ダイジョブすか? あの、今、店に人間が来店してまして……」
しばらくして、会話を終えると、こちらに向き直った。
「お前らを一目見たいってよ。 今から、うちの奴が車でオーナーのいるタワーに案内するから」
やった!
まさか、こんなトントン拍子で話が進むとは。
「トカゲに、参加できるんですよね?」
「それはまだ分からねーよ。 ただ、忘れんなよ。 俺らは魔族なんだ。 ノーリスクで願いが叶えられるとは思わねーこった」
……魔族。
それがどんな種族なのかは、私はまだ詳しくは知らない。
でも、目の前にいるラルクさんは、悪い人じゃなさそうだ。
「何で、そんな良くしてくれるの?」
唐突に、ヒロハルが尋ねた。
「俺たちは、別に戦争してるわけじゃねー。 お前らとは趣味が合わねーかも知れねーけどな」
戦争してる自覚がない?
前に、スノーポイントに来た奴ら、あれも魔族だったハズ。
……どういうこと?
「会いに行くんだろ? 俺が車まで案内してやるよ」
ラルクが席を立つと、私とヒロハルもそれに続いた。
店に出る間、小声でヒロハルに尋ねる。
「ねえ、スノーポイントの一件、あれは魔族の人らの仕業よね?」
「……と、思うけど。 ラルクは知らないみたいだね」
やっぱり、そうよね。
しらばっくれてる風でもない。
考えられるのは、一般人には秘密裏に、そういうことをしてる連中がいるってことだ。
それが分かったからって、どうすれば進攻を食い止められるのか、全然わからないけど。
……まあ、なるようになるわよね。
外に出ると、雪かき丸よりずっと小さい、黒い乗り物が止められていた。
車、と呼ばれる乗り物に乗り、平べったい道路を走ること、1時間くらい。
目的地に到着したみたい。
「ここはヒルズタワー。 このタワーの最上階に、オーナーのミツマメがいる」
「世界樹よりは小さいけど、それでも……」
とてつもなく、大きい。
人が作った建物とは、とても思えない。
案内人に続いて、私たちは自動で開く扉をくぐった。
「ねえ、最上階って、階段使うのかな?」
ヒロハルの問いに、案内人が答える。
「ベーターを使えば、あっという間だ」
ベーターって、何?
案内人が四角い扉の前で待っているから、私らもそれにならう。
すると、突然、それが開いた。
「これに乗り込めば、階段など必要ない」
どういう原理なの?
見るもの全てが初めてだから、何か疲れちゃうわね……
言われるがまま、ベーターに乗り込むと、中はガラス張りになっており、外の景色が見える。
グングン上昇し、まるで、空を飛んでるみたいだ。
てか、何でわざわざガラス張りにしたのよ!
「ねーちゃん、もう着いた?」
ヒロハルは、怖くて目をつぶっているらしい。
チン、と音がすると、扉が開いた。
「着いたみたいよ」
最上階は、赤いカーペットが敷かれていて、とても豪華だ。
「ミツマメは、この世界を統べる、釜の7人衆の一人。 失礼のないようにな」
釜の7人衆……
よくわからないけど、私は、ミツマメのいる部屋の扉をノックした。




