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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第五章 魔族の都市
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掃きだめの街の頭

俺らの目の前に現れたのは、人。

だが、顔がやたら毛深い。

つーか、オオカミだ。

人型のオオカミ。


「おめえら、匂いが違うな。 まさか、人間か?」


「だとしたら、どうする?」


 すると、オオカミ男はガッハッハ、と声を出して笑った。


「マジで、人間かよ! どうやってこっちに来たんだ? まあ、こっちに来て話しようや」


 オオカミ男は、そう言って向こう側へと行ってしまった。


「……どうすっか?」


「後、ついてってみようよ」


 あの様子からして、敵っぽくはねーな。

とりあえず、話が通じる相手なら、色々教えてもらえるかも知れない。

俺たちは、男の後を追った。






 

 オオカミ男は、ブルーシートの屋根の部屋で暮らしていた。

完全、ホームレスだわ。


「汚くてすまねえな。 適当にあぐらかいてくれや」


 確かに、客人をもてなすような部屋じゃない。

俺は、さりげなく床に散らばったゴミをどけて、あぐらをかいた。


「……で、あんたは何者なんだ?」


「俺の名前は、スラッシュだ。 この掃きだめの街の頭ってとこか」


 掃きだめの街。

スラッシュが言うには、ここはゴミ処理場であり、同時に罪を犯した魔族の監獄の役割を兼ねているらしい。

魔族の世界にもちゃんと法律があって、犯罪者はそれに則って裁かれるらしいが、もっとも重い罪を犯したものは、死刑か、姿を獣に変えられて、ここに落とされるらしい。


「魔族だったころの記憶を持ってんのは、俺だけになっちまった。 上の世界で、誰かが自分のことを覚えていてさえくれれば、見てくれはこんなんだが、犬畜生に成り下がることはねえ。 だが、それも時間の問題だがな」


「誰かが、あなたのことを覚えてくれてるの?」


「家族がいんだ。 俺がこっちに来てから、もう10年も経っちまったから、ガキも嫁さんも、俺のこと、そろそろ忘れちまうんじゃねーかな」


 ふっ、と自虐的な笑みを漏らすと、よくわからない飲み物を口に運ぶ。


「戻りたくはないの?」


「簡単に戻れんなら、監獄にはならねーだろ。 でも、トライしてみたことはあるぜ」


 スラッシュは、一度、このゴミ溜めの中から、プロペラと車のエンジンを見つけてきて、手製のヘリコプターを作ったことがあったらしい。

だが、所詮手作り。

10センチくらいしか宙に浮かなかったらしい。


「ま、そういう物づくりのセンスは俺にはねーってことだ」


 また、ガハハ、と豪快に笑う。


「……つか、それじゃ困るんだよな。 何とかして、上に行く方法はねーのかよ?」


「上の世界を支えてんのは、世界樹だ。 その世界樹をよじ登れば、上に行けるハズだぜ」


 船から見えた、この島の軸の部分。

リンゴの芯みたいなアレは、世界樹っつー、バカでかい木だったのか。


「そういえばさ、何で俺たちを見て驚いたの?」


 ヒロハルが、質問を投げかける。


「俺ら魔族には、角がある。 その角は、魔力を発信したり、受信したりするんだが、たまに別世界の映像を拾うことがあんだよ。 つまりは、夢ん中で、お前ら人間の世界を覗けんだ。 それで、存在は知っていたが、どっからそっちに行けるかってのは、誰も知らねえ。 だから、俺たちはお前らの世界を楽園って呼んで、いつか行ってみてーなー、みたいな憧れを抱いてるっつーわけよ」


 ……だから、俺ら人間を見つけて、感嘆したってわけか。

魔族は俺らの世界を知らないって言ってたが、必ずしもそうじゃない。

見つけた奴が、こっちに紛れ込んで来てるのが現状だ。 


「世界樹を、登るしかねーみてーだな」


 俺は、立ち上がって、そう言った。


「やめとけ、骨折り損だぞ」


「まあ、見てろよ」


 俺は、背負っていた剣を引き抜いて、一礼して素振りした。

すると、剣先からあるものが飛び出した。


「なんだ、これ」


 ……熊手?


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